4. 【iDeCo受取シミュレーション】一時金 vs 年金、どちらが有利?

iDeCoの給付金は、基本的に以下の3つの方法で受け取れます。

一時金 一括で給付金を受け取る。受け取った給付金は退職所得として扱われる。
年金 一定期間に分けて給付金を受け取る。受け取った給付金は公的年金等に係る雑所得として扱われる。
併用 一時金と年金を組み合わせて受け取る。退職所得・公的年金等に係る雑所得それぞれが生じる。

一時金で受け取った場合、その給付金は退職所得控除の対象です。退職所得控除の基本的な計算式は、以下のとおりです。

勤続年数・加入期間 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数−20年)

通常は勤続年数をもとに算出しますが、iDeCoの一時金の場合は掛金の拠出期間をもとに計算します。

たとえば、掛金を拠出した期間が30年の場合、退職所得控除の基本額は1500万円です。

  • 800万円+70万円×(30年−20年)=1500万円

会社の退職金など、ほかの退職手当を受け取っていない場合、iDeCoの一時金が1500万円以下であれば、退職所得の金額は原則として0円になります。ただし、会社の退職金の受取時期によっては、控除額が調整される可能性があるため、注意しましょう。

一方、年金形式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。公的年金等控除は、iDeCoの給付金に加えて、公的年金や企業年金などを合算した「公的年金等の収入の合計額」によって控除額が変わる仕組みです。年金以外の所得が1000万円以下の場合、60歳〜65歳未満では最低60万円、65歳以上では最低110万円が控除されます。

控除額によって、課税される所得金額も変わります。所得金額は所得税や住民税、社会保険料に影響を及ぼすため、公的年金の受給額や年間の公的年金にかかる雑所得の合計額をよく確かめ、一時金形式とどちらのほうが負担が軽いか比較してみるとよいでしょう。

5. 新NISA・ふるさと納税との併用試算について

iDeCoとあわせて、新NISAやふるさと納税の活用を検討している人もいるでしょう。それぞれの制度は、仕組みや目的が異なります。

iDeCoは、税制優遇に強みがある制度ですが、60歳まで運用した資産は引き出せません。そのため、老後資金をつくるのに適した制度です。新NISAは、運用益が非課税になるのが特徴です。iDeCoとは異なりいつでも売却でき、売却時に狭まる非課税枠も翌年に復活するため、運用しながら必要なときに取り崩しができます。

ふるさと納税は、自治体に一定額を寄附することで「寄附額-2000円」が所得税・住民税から控除される制度です。iDeCoやNISAのように節税できるわけではありませんが、税控除や返礼品を受け取れる点に強みがあります。

各制度を併用した際のシミュレーションをする際は、以下のポイントが重要になります。

  • iDeCo・NISA:資金を使う時期や引き出しやすさを踏まえて掛金・積立額を配分する
  • iDeCo・ふるさと納税:iDeCoの所得控除とふるさと納税の税控除をフル活用できるか確かめる

とくに、iDeCoとふるさと納税を併用する際は、ふるさと納税の控除上限額がいくらになるかチェックしておくとよいでしょう。ふるさと納税の上限額は、年収や家族構成、その他控除によって異なります。それぞれの制度に合致した試算ツールを活用するのが望ましいです。

6. 【公式ツール】iDeCoのシミュレーションができるツールの一覧

iDeCoのシミュレーションには、公的機関や金融機関(各運営管理機関)が提供するツールを利用できます。いくつか例を見てみましょう。

ツール提供元 特徴
国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト) かんたん実感!iDeCoシミュレーション
・年収から節税額を即試算
厚生労働省 公的年金シミュレーター
・iDeCoの試算に加え公的年金の試算が可能
金融機関(運営管理機関) 運用利回り別の資産額や受取額の試算

一般的な操作の流れは、次のとおりです。

  1. 職業、年齢、収入などを入力する
  2. 掛金月額を設定する
  3. 想定運用利回りや運用期間を設定する
  4. 必要に応じて受取開始年齢などを設定する
  5. 税負担軽減額や将来資産額を確認する

ツールによって、入力項目や計算方法は異なります。できる限り、掛金や運用期間、想定利回りなど条件を揃えて、各ツールでの結果を比較してみるとよいです。

なお、シミュレーション結果はあくまで概算です。実際の税負担や受取額は、所得や各種控除、社会保険料、運用成績、受取時の税制などによって異なります。

また、運営管理機関のツールを利用する場合でも、試算結果だけで具体的な金融商品を選ばず、手数料、運用方針、リスクなども確認したうえで判断するのが望ましいです。