4. 大学院の授業料の改定時期は大学ごとに違い、博士後期課程は扱いが分かれる

学士課程は3大学とも2026年4月以降。大学院と博士後期課程の扱いは分かれる2/2

図表

出所:電気通信大学「2026年4月以降の授業料の改定について」、埼玉大学「機能強化のための授業料改定について」、山口大学「令和8年4月以降の授業料改定決定のお知らせ」をもとにLIMO編集部作成

学士課程は3大学とも同じ時期ですが、大学院では時期も対象も異なります。

4.1 電気通信大学は博士前期課程を2030年4月以降、博士後期課程は据え置く

電気通信大学は、博士前期課程の授業料を2030年4月以降の入学者から改定するとしています。博士後期課程は据え置きで、入学料と検定料も据え置きです。三年次編入生は、学年進行に合わせて2028年4月入学者から適用されます。

4.2 山口大学は博士前期課程を2027年4月以降、博士後期課程は現行どおり

山口大学は、大学院の博士前期課程(修士課程、専門職学位課程を含む)を令和9年(2027年)4月以降の入学者から改定するとしています。博士後期課程は現行どおりです。三年次編入は令和10年(2028年)4月入学者から、医学部医学科の二年次編入は令和9年(2027年)4月入学者から適用されます。

4.3 埼玉大学は、修士・博士前期・専門職・博士後期の大学院を2027年4月以降にまとめて改定

埼玉大学は、大学院(修士、博士前期、専門職、博士後期)の授業料を、令和9年(2027年)4月以降の入学者から改定するとしています。博士後期課程も対象に含まれる点は、電気通信大学や山口大学と異なります。三年次編入生は令和10年(2028年)4月入学者以降が対象です。

5. 在学生への適用は、埼玉大学と山口大学が適用しないと明記している

埼玉大学は、改定は在学生には適用されないと説明しています。現在の課程に在籍している間は、現行の額のままです。在籍する課程を修了し、新たに入学や進学をした場合は、その時点の改定後の額が適用されます。

山口大学も、現在の在学生には適用しないと記載しています。電気通信大学の発表ページには、在学生への適用についての記載が確認できませんでした。

6. 2027年度からは熊本大学が在学生を含む全学年で、香川大学が新入生から改定する

国立大学では、2027年度に向けても授業料の改定が公表されています。両大学の発表の範囲で整理します。

6.1 熊本大学は2027年度から、学部・大学院とも年59万4600円に。在学生を含む全学年で実施

熊本大学は、2027年度の授業料から、学部・学環と大学院を現行の53万5800円から59万4600円(5万8800円増)に改定すると発表しています。標準額の120%の上限である64万2960円より低い額です。全学年一斉に実施するとされ、在学生も対象に含まれます。入学料と検定料は変更がありません。

学長メッセージでは、物価高騰や賃上げの影響が大学の自助努力による節減効果を上回っていることを理由に挙げています。2028年度以降は、物価動向を踏まえて定期的に確認する「スライド制」の考え方を導入するとしています。

6.2 香川大学は2027年度入学者から学士課程の昼間コースを年64万2960円に。在学生は改定しない

香川大学は、令和8年(2026年)8月26日付の発表で、令和9年(2027年)度以降の入学者の授業料改定を示しました。学士課程の昼間コースは53万5800円から64万2960円に、夜間主コースは26万7900円から32万1480円になります。修士課程、博士前期課程、専門職学位課程は2028年度入学者からで、博士後期課程は据え置きです。在学生は改定しないと明記しています。

理由には、運営費交付金の減額や物価高騰で財務状況が厳しくなっていることと、授業料が平成17年度以降22年間改定されていないことを挙げています。

7. 改定とあわせて、大学は減免の拡充や新たな奨学金などの支援を示している

授業料の改定と同時に、経済的な支援の方針が示されています。各大学の発表の範囲で整理します。

  • 埼玉大学:高等教育の修学支援新制度の対象となる学部生は、増額分を含めて減免される。制度の対象外の大学院生などには、大学独自の減免を拡充し、成績優秀者の免除対象を増やして大学院生の免除基準を見直す
  • 山口大学:改定後の授業料も、現行の授業料減免と同様に、減免の割合に応じて減免する。申請手続きの重複や申請漏れが生じないよう、負担の軽減に努める
  • 電気通信大学:経済的な理由で進学の機会が損なわれないよう、大学独自の授業料減免を拡充し、新たな奨学金制度を創設する
  • 熊本大学:修学支援新制度で減免を受ける世帯は値上げ分が免除される。大学独自の制度では、対象の世帯年収の基準を380万円以下から425万円以下に引き上げる
  • 香川大学:修学支援新制度では、改定額分の減免を行い、支援対象学生の負担額は現状のまま増えない扱い。学生短期貸付金の限度額や、教育ローンの利子補給の上限も引き上げる

減免の対象になる要件や手続きは、大学ごとの規程で決まります。具体的な内容は、各大学の学務や財務の窓口で確かめられます。

8. 志望校の授業料は、発表の理由と対象時期をあわせて確かめる

改定の内容は、課程や入学時期ごとに異なります。志望校について、次の点を確かめておきます。

  • 大学の発表や学生募集要項で、自分が入学する課程と年度の授業料の額を確かめる
  • 大学院を考えているなら、博士前期課程と博士後期課程で時期や扱いが違うかを確かめる
  • 在学生に改定が適用されるかどうかを、大学の発表で確かめる
  • 減免や奨学金の窓口と、申込みの時期を、入学前に確認する
  • 標準額の見直しは提案の段階のため、入学の直前まで大学の最新の学費案内を確かめる

9. まとめ

埼玉大学、山口大学、電気通信大学は、授業料を改定する理由として、物価や社会環境の変化の中で教育環境を保つために、安定した収入が必要なことを挙げています。学士課程は2026年4月入学者から、標準額の120%にあたる年64万2960円です(夜間主コースを除く)。

大学院の時期や、博士後期課程の扱い、在学生への適用は、大学ごとに違います。2027年度には、熊本大学が在学生を含む全学年で年59万4600円に、香川大学が新入生から年64万2960円に改定する予定です。減免の拡充や奨学金の創設も、あわせて示されています。

志望校の発表や募集要項で、入学する年度の額と、改定の理由、減免の仕組みを確かめてください。

参考資料

池上 翠