5. 東京都内の火葬場は29施設、直近1年に稼働したのは27施設
厚生労働省の衛生行政報告例で東京都全体を見ると、火葬場は29施設で、うち27施設が直近1年に稼働しています。経営主体別では、公営が21施設のうち19施設、「その他」が8施設のうち8施設の稼働です。公益社団・財団法人と宗教法人の火葬場はありません。
東京都の火葬件数は13万7716件で、稼働している27施設で割ると、1施設あたり約5101件です(編集部算出)。全国平均の約1186件の約4.3倍にあたり、都道府県別では神奈川県に次いで2番目に多い水準でした。1施設あたりの件数は、全国平均と比べて大きく開いています。火葬場を調べる際は、お住まいの地域の施設数や稼働状況が、全国の傾向と同じとは限らない点も意識しておきたいところです。
6. 火葬に関する法律上のルールも確認しておきましょう
火葬には、「墓地、埋葬等に関する法律」で定められたルールがあります。第2条は火葬場を「火葬を行うために都道府県知事の許可を受けた施設」と定義しており、第10条では、火葬場を経営しようとする者は都道府県知事の許可を受けなければなりません。
火葬の時期は、第3条の規定が根拠です。死亡または死産から24時間を経過した後でなければ、火葬はできません。ただし、他の法令に別段の定めがある場合や、妊娠7か月に満たない死産の場合は、この制限の対象外です。
7. 火葬料金は葬儀費用の一部 総額と公的な給付も確認を
本記事で見てきた火葬料金は、葬儀費用のうち火葬にかかる部分にあたります。東京都の調査では、公営の住民料金は無料が33%、2万円未満が57%でした。一方、一般料金や民営では8万円以上の施設もあり、どの火葬場を使うかで葬儀費用全体の見通しも変わってくるでしょう。
費用の負担を和らげる公的な給付も用意されています。全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険では、被保険者が亡くなると、生計を維持されていた方に埋葬料5万円が受け取れる仕組みです。生計を維持されていた方がいない場合は、埋葬を行った方に、5万円の範囲内で実際にかかった費用(埋葬費)が支給されます。国民健康保険には葬祭費の給付があり、要件や内容は保険者ごとの条例や規約で定められるため、金額は自治体ごとに異なる点に注意が必要です。
見積もりを比べる際は、火葬料金が含まれているか、住民料金が適用されるかを確かめておくと、総額を比較しやすいでしょう。給付の対象かどうかや申請の手続きは、加入している保険の窓口で確認してください。
8. まとめにかえて|「近くの火葬場」は、思っているより選べないかもしれない
全国には3492施設の火葬場がありますが、直近1年間に稼働実績があるのは約38%の1342施設にとどまります。1施設あたりの火葬件数には地域差があり、東京都の調査では、公営の住民料金は無料から4万円以上6万円未満の区分まで、民営では8万円以上が73%を占めていました。
万が一のときに慌てないための最初の一歩は、お住まいの自治体にある火葬場の運営主体(公営・民営)と、住民料金の設定を公式ページで確かめておくことです。葬儀費用の総額を考えるうえでは、公的な給付も視野に入れておくとよいでしょう。家族で、どのような葬儀や火葬を希望するのか、日ごろから話し合っておくことも、備えの一つといえます。
本記事は、公的機関が公表した統計や制度にもとづく一般的な解説であり、個別の事情に対する社会保険・法律上の判断を示すものではありません。給付の対象や申請手続きは加入先の保険者や自治体の窓口に、火葬料金は各火葬場や葬儀社などにご確認ください。