身近に火葬場があると思っていても、いざというときに料金や利用できる施設まで把握している方は多くないのではないでしょうか。厚生労働省の「令和7(2025)年度衛生行政報告例」によると、全国の火葬場3492施設のうち、直近1年間に稼働実績があったのは1342施設(約38%)にとどまります。

東京都の調査では、公営火葬場の住民料金は無料から4万円以上6万円未満の区分まで、民営火葬場では8万円以上が73%を占める結果でした。本記事では、火葬場の施設数と稼働状況、地域ごとの火葬件数の違い、火葬料金の仕組みを、公的機関の公表データをもとに整理します。

1. 全国の火葬場は3492施設、直近1年で稼働していたのは1342施設

火葬場の経営主体別 施設数と直近1年の稼働施設数1/3

火葬場の経営主体別 施設数と直近1年の稼働施設数

出所:厚生労働省「令和7(2025)年度衛生行政報告例」第5表をもとにLIMO編集部作成

厚生労働省の「令和7(2025)年度衛生行政報告例」(令和7年度末現在)によると、全国の火葬場は3492施設。このうち、過去1年以内に稼働実績があった施設は1342施設で、全体の約38%です。

経営主体別に見ると、地方公共団体(公営)は1826施設のうち1310施設が稼働しています。公益社団・財団法人は2施設すべてが稼働、宗教法人は28施設のうち2施設、「その他」に分類される1636施設では28施設が稼働という内訳です。

  • 地方公共団体(公営):1826施設のうち1310施設が稼働
  • 公益社団・財団法人:2施設のうち2施設が稼働
  • 宗教法人:28施設のうち2施設が稼働
  • その他:1636施設のうち28施設が稼働

稼働実績のない施設が、全国に均等に散らばっているわけではありません。施設数と稼働施設数の差が大きいのは、三重県(640施設のうち稼働27施設)、福井県(556施設のうち稼働14施設)、石川県(435施設のうち稼働12施設)です。この3県だけで、稼働していない2150施設のうち1578施設を占めます(編集部算出)。

ただし、「その他」の詳しい内訳や、稼働実績が少ない理由は、資料に記載されていません。実際に稼働している火葬場は全体の約38%という事実を、まず押さえておきましょう。

2. 1施設あたりの火葬件数に、これだけの差

都道府県別 1施設あたりの年間火葬件数(多い県・少ない県)2/3

都道府県別 1施設あたりの年間火葬件数(多い県・少ない県)

出所:厚生労働省「令和7(2025)年度衛生行政報告例」第5表、第6表-1をもとにLIMO編集部作成

全国で1年間に行われた火葬件数(死体と死胎の合計)は159万1615件です。稼働している1342施設で割ると、1施設あたりの年間火葬件数は全国平均で約1186件となります(編集部算出)。

ただし、都道府県別に見ると大きな差があります。多いのは神奈川県の約5272件(20施設で10万5442件)、東京都の約5101件(27施設で13万7716件)、埼玉県の約3875件(22施設で8万5250件)で、首都圏に集中する形です。千葉県は約2825件、大阪府は約2688件、京都府は約2428件、愛知県は約2398件と、いずれも全国平均を上回りました。

反対に少ないのは、島根県の約384件(27施設で1万377件)と岐阜県の約416件(64施設で2万6594件)です。山口県は約485件、北海道は約488件(154施設)、香川県は約535件でした。たとえば神奈川県の約5272件は全国平均の約4.4倍、島根県の約384件は約3分の1にあたります(編集部算出)。

なお、これらの数値は各都道府県の火葬件数を稼働施設数で割った編集部の算出値です。各施設の炉の数や規模、稼働時間は考慮していません。特定の地域の負担が重いと断定はできませんが、お住まいの地域の火葬場事情を知る一つの目安になるでしょう。