4. パーソナルジムの解約料が高すぎると感じたら 消費者契約法の「平均的な損害」と、一緒に契約したエステの扱い
パーソナルジムの途中解約で解約料や違約金を求められたときに関係するのが、消費者契約法9条です。条文では、解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金を定める条項で、その額が「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」は、超える部分を無効としています。
同じ9条の2項では、事業者は消費者から求められたとき、損害賠償の額の予定や違約金の「算定の根拠」の概要を説明するよう努めなければならないとしています。どの額が平均的な損害を超えるかは、契約ごとの事情で判断されるものです。
また、パーソナルトレーニングと一緒にエステなどの関連サービスを勧められる事例もあります。国民生活センターは、関連サービスのうち特定継続的役務提供に当たる契約をしている場合には、クーリング・オフを主張できる可能性があるとしています。エステティックが対象になるのは、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約です。
5. 【数字から見えること】パーソナルジムの相談は契約額10万円以上が半数を超える(2025年度・金額が分かる991件)
国民生活センターの集計で、2025年度の相談のうち契約購入金額が分かる991件を見ると、最も多いのは10万円以上50万円未満の428件(43.2%)です。50万円以上の115件(11.6%)と合わせると、10万円以上が約55%を占めます。
件数の伸びも続いています。2025年度の1457件は前年度の885件より約65%多く、2026年度も8月31日までの登録分で537件と、前年同期の468件を約15%上回っています。
上限のある役務では、契約額が大きくなると、提供済みの分に加えて請求できる額は定額の上限で止まります。仮にエステティックで契約額50万円を前払いし、半分の期間で解約すると、加えて請求できる額の上限は2万円で、契約残額25万円の約8%です(試算のため、実際のケースとは異なる可能性があります)。パーソナルジムにはこの仕組みがないため、契約額が大きいほど、契約書の解約の規定を読む意味が大きくなります。
相談の契約当事者は女性が85.2%で、平均年齢は36.7歳、20歳代以下が36.2%と最も多くなっています(2025年度、性別・年代が分かる相談の集計)。
ハードルが高く感じるかもしれませんが、契約の前に「途中でやめたら、いくら返ってくるか」を具体的な金額で確かめておくことは重要です。また、解約を申し出たあとは、精算額の内訳を書面やメールで受け取ると、契約書の規定と照らし合わせやすくなります。
6. まとめ
パーソナルジムは、消費者庁が示す特定継続的役務提供の7つの役務に入っておらず、途中解約の返金は契約書や利用規約の規定が基準になります。エステや語学教室のような中途解約の上限がないぶん、契約の前に解約の条件を確かめておくことが大切です。
請求された解約料や精算の内容に納得できないときは、一人で抱え込まず、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、お住まいの地域の消費生活センター等を案内してもらえます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の返金額は、契約書・利用規約の規定や利用の状況によって変わります。制度の最新の内容は、消費者庁の公表でご確認ください。
参考資料
塚本 奈津子