6. 【証券会社出身の視点】検証:相続放棄は、借金と証券口座などのプラスの財産を同じ表に並べてから判断する

相続放棄を考えるときにまず必要なのは、借金とプラスの財産を同じ表に並べることです。借金は請求書や郵便物で気づきやすい一方、証券口座や投資信託は通知が年に数回しか届かず、見落とされやすい財産です。

故人の郵便物やネット口座の記録を確かめ、証券会社や銀行に残高証明書を依頼すると、解約や売却をしないまま金額を確かめることができます。

株式や投資信託は値動きがあるため、調べた時点の時価で借金と比べることになります。値上がりしていればプラスの財産が借金を上回ることもあるので、借金が見つかった段階で、プラスの財産の額も一緒に確かめてみると判断しやすくなります。

また、ここまでの試算のとおり、子が相続放棄すると、配偶者や故人の親・きょうだいの負担が増えます。誰が放棄するのかを家族で共有しておくと、親族に突然請求が届くことを避けやすくなります。

3か月という期限は、財産を調べるには長くありません。借金の存在が分かった段階で、家庭裁判所や専門家への確認と、口座の確認を並行して進めると、期限に間に合わせやすくなります。

7. まとめ

相続放棄は、家庭裁判所で受理されてはじめて借金の請求を断れる手続きです。期限は知った時から3か月以内で、その前に遺産を使うと放棄できなくなることがあります。

借金100万円あたりで試算すると、故人の父母がすでに亡くなっている場合、子2人だけが相続放棄すると、配偶者の負担は約50万円から約75万円に増え、故人のきょうだいにも請求が回ることがあります。放棄を考えるときは、家族全体で誰が相続人になるのかを確かめたうえで判断すると安心かもしれませんね。

※本記事の試算は、法定相続分に沿った一定の前提に基づく概算です。実際の手続きや判断については、申述先の家庭裁判所や弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。

7.1 参考資料

安達 さやか