4. 相続放棄の前に遺産を使うと?預金を引き出して使ったり売却したりすると放棄できなくなることがある
民法第921条により、相続人が遺産の全部または一部を処分したときは、相続を認めた(単純承認した)ものとみなされます。そうなると、あとから相続放棄はできません。
- 【処分に当たりうる例】故人の預金を引き出して自分のために使う、故人の車や不動産を売る、故人の株式や投資信託を解約する
- 【相続放棄のあとも注意】遺産を隠したり、使ってしまったりすると、相続を認めたものとみなされることがある
葬儀費用への充当など、処分に当たるかどうかの判断が分かれる場面もあります。迷うときは、手を付ける前に家庭裁判所や弁護士・司法書士に確認しておくと安心です。
5. 相続放棄のあとに借金の請求が届いたら?受理を示す書面で伝える
相続放棄が受理されたあとも、借金の請求が届くことがあります。そのときは、受理されたことを示す書面で相続放棄を伝えることになります。
- 【相続放棄申述受理通知書】受理されると家庭裁判所から送られる書面(取り扱いは申述先の家庭裁判所で確認)。写しを債権者に送って相続放棄を伝える
- 【相続放棄申述受理証明書】債権者から求められたときは、家庭裁判所に申請して取り寄せる
また、民法第940条により、相続放棄をした時に遺産を実際に預かっている人は、次の相続人などに引き渡すまで、その財産を保存する義務を負います。故人の家に住んでいる場合などは注意が必要です。
借金とプラスの財産のどちらが多いか分からないときは、受け取った財産の範囲で借金を返す「限定承認」という方法もあります。ただし、限定承認は相続人全員がそろって家庭裁判所に申し立てる必要があります。