5. 実家の仏壇は売却を止めないが、相続登記と空き家の3000万円控除の期限は動かせない

実家に仏壇が残ったままでも、売却を止める法律の決まりはありません。仏壇は祭祀を主宰する人が引き継ぐもので、処分する場合も粗大ごみの手数料は名古屋市で2000円です。

一方、相続登記の登録免許税は評価額1000万円あたり約4万円で、2024年4月より前に相続を知った場合は2027年3月31日が申請の期限です。空き家の3000万円控除を使えないと、売却の利益1000万円あたり約203.2万円の税がかかります。家が建てられた年と相続が始まった年を、登記簿や固定資産課税明細書で先に確かめておきましょう。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の税額は、取得費や譲渡費用、相続した人の数などで変わります。特例の適用は税務署で、相続登記の手続きは法務局で、粗大ごみの出し方と手数料は市区町村でご確認ください。

ここからは、相続人が3人以上の場合の控除の合計と、相続が始まった年ごとの売る期限を確かめ、元銀行員の視点で期限の優先順位を見ていきます。

6. 空き家の3000万円控除は相続人が3人以上だと?1人2000万円になり、合計は2人のときと同じ6000万円

2024年1月1日以後の売却では、家と敷地を相続した人が3人以上になると、1人あたりの控除が3000万円から2000万円になります。相続した人の数ごとに、控除の合計を並べると次のとおりです。

  • 【1人で相続】3000万円
  • 【2人で相続】1人3000万円、合計6000万円
  • 【3人で相続】1人2000万円、合計6000万円
  • 【4人で相続】1人2000万円、合計8000万円

2人から3人に増えても、控除の合計は6000万円のままです。売却代金の1億円以下という要件は、ほかの相続人が売った分も合わせて判定されます。

売る期限は、相続が始まった年で変わります。2026年4月1日現在の法令では、次のとおりです。

  • 【2023年に相続が始まった場合】2026年12月31日(木)までに売る
  • 【2024年以後に相続が始まった場合】制度の期限の2027年12月31日(金)までに売る

亡くなった人が老人ホームなどに入所していた場合も、一定の要件を満たせば対象になります。制度の期限が延びるかどうかは、今後の税制改正で確かめることになります。

7. 【元銀行員の視点】検証:1000万円あたりで並べると、仏壇の処分より相続登記と空き家の3000万円控除の期限

試算を1000万円あたりにそろえると、仏壇の処分は名古屋市の粗大ごみで2000円、相続登記の登録免許税は評価額1000万円あたり約4万円、空き家の3000万円控除を使えない場合の税は売却の利益1000万円あたり約203.2万円でした。登録免許税は仏壇の処分の20倍、税は登録免許税の約50.8倍にあたります。

仏壇が残っていることは、実家を売る手続きを止める理由にはなりにくいものです。一方で、相続登記の名義と、空き家の3000万円控除の期限は、売買契約の話し合いでは動かせません。

銀行で住宅ローンのご相談をお受けしていた頃も、家と土地を担保にするお手続きは、登記簿で名義を確かめるところから始まっていました。実家を売る場合も、名義を引き継いだ人に移す相続登記が先に必要になります。

期限を並べると、2023年に相続が始まった実家は、2026年12月31日(木)までに売ることが空き家の3000万円控除の条件で、残りは約2か月です。2024年4月より前に相続を知った場合は、2027年3月31日(水)が相続登記の期限で、評価額100万円以下の土地の登録免許税の免税も同じ日までです。

仏壇の行き先は家族・親族で、閉眼供養をするかどうかは菩提寺や宗派の考え方で決めることができます。そのうえで、相続が始まった年と家が建てられた年を、登記簿や固定資産課税明細書で先に確かめておいていただきたいところです。

8. まとめ

実家に仏壇が残ったままでも、売却を止める法律の決まりはありません。仏壇は祭祀を主宰する人が引き継ぐもので、処分する場合も粗大ごみの手数料は名古屋市で2000円、東京都中央区で200円から3200円です。

金額の差が大きいのは、売る前の相続登記と、空き家の3000万円控除の要件と期限のほうです。2027年3月31日と2027年12月31日の2つの期限を手がかりに、法務局や税務署、市区町村の窓口で確かめながら段取りを組んでいただきたいところです。

参考資料

中本 智恵