親から相続した実家に、仏壇が残ったまま。仏壇があると実家は売れないのでは、と手が止まる人もいるかもしれません。実家を売るときは、仏壇の行き先のほかに、売る前の相続登記と、空き家の3000万円控除の期限も関わってきます。
銀行で住宅ローンのご相談をお受けしていた経験からお伝えすると、家を担保にするお手続きは、登記簿に誰の名前が載っているかを確かめるところから始まります。ここでは、仏壇の扱いを法律の決まりで確かめたうえで、実家を売る前に必要な相続登記と、空き家の3000万円控除の要件と期限を整理します。
あわせて、仏壇の処分費用、相続登記の登録免許税、空き家の3000万円控除を使えない場合の税を、1000万円あたりの金額にそろえて試算します。記事後半では、相続人が3人以上の場合の控除の合計と、相続が始まった年ごとの売る期限を確かめ、元銀行員の視点で期限の優先順位を整理します。
※仏壇の処分費用は名古屋市「粗大ごみ処理手数料の例」、登録免許税は国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」、税額は国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」の税率をもとにしています。
1. 実家に仏壇が残ったままでも売れる?売却を止める法律の決まりはなく、仏壇は遺産分割とは別に引き継ぐ「祭祀財産」
仏壇が残っていることを理由に、実家を売れなくなる法律の決まりはありません。仏壇や家財のうち何を残し、何を片付けて引き渡すかは、売主と買主が売買契約で決めます。
仏壇そのものの引き継ぎ方は、ほかの遺産と分けて定められています。民法第897条は、系譜・祭具・墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぎ、亡くなった人の指定があればその人が引き継ぐとしています。
- 【仏壇の引き継ぎ】祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぐ(民法第897条)。慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定める
- 【相続税】日常礼拝をしている仏壇・仏具は相続税がかからない財産(骨とう的価値があるなど投資の対象となるものは除く)
- 【実家の家と土地】遺産分割の対象。売るには、引き継いだ人の名義に変える相続登記が要る
国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」でも、墓地や墓石と並んで、仏壇・仏具が挙げられています。仏壇は家と土地とは別に、誰が引き継ぐかを家族・親族で決めておくことになります。
2. 実家の仏壇の処分費用は?粗大ごみなら名古屋市は2000円、東京都中央区は200円から3200円
仏壇を引き継ぐ人がいない場合や、引き継いでも置き場所がない場合は、処分することになります。仏壇を粗大ごみとして受け付けている自治体では、手数料が決まっています。
- 【名古屋市】仏壇 2000円(粗大ごみ処理手数料の例)
- 【東京都中央区】「箱物家具」として申し込み、手数料は200円から3200円
出し方や手数料は自治体ごとに違い、大きさで区分が分かれることもあります。実家のある市区町村の案内で確かめることができます。
仏壇を手放す前に閉眼供養(魂抜き)をするかどうかは、宗派や菩提寺の考え方によります。お布施などの費用や、遺品整理を業者に頼む費用には公的な統計がないため、ここでは金額を挙げていません。