子供を持つ親にとって、七五三は大きなイベントの一つ。それと同時に、どちらの祖父母を招待し、参拝するかなど頭を悩ますことも多いですよね。しかし、トラブルが写真撮影や参拝だけに収まらないのが七五三でもあります。今回は、筆者の周辺で見聞してきた七五三に関するトラブルで意外と多かった、祖母から昔の衣装が送られてくる話を紹介します。

突然、自分が着た七五三の衣装が届いた

A子さんは長女が3歳になる年、近所の大手チェーン店のスタジオで早撮りをしました。七五三シーズンを迎えると料金も高くなるのと、秋の土日は予約がギッシリ詰まって慌ただしい中で撮影するのを避けたからです。

夏の終わりに撮影したその日に、11月の参拝で着用する着物も予約。夫婦そろって気に入った、水色の着物に淡い黄色の被布のセットを選びました。数日後、遠方に住む実母に七五三の写真撮影をしたことや、写真が入っているフォトフレームを送ることを連絡しました。喜んでくれると思っていたA子さんに、実母は思いもよらない言葉をかけてきました。

「11月の参拝ではA子が着ていた衣装を着て欲しいの」と口にし、数日内に送ると言って聞きません。何とか話をずらそうと思っても、「あの着物は高かったから処分できなかった」「孫娘が着てくれると嬉しい」と話が止まらず、A子さんは拒否することもできず、仕方なく要求を受け入れることに。

届いた荷物を開けると、昭和な雰囲気を醸し出す真っ赤な着物が目に飛び込んできましたが、数え年での七五三が主流で、当時2歳だったA子さんには写真撮影や参拝の記憶はほとんどありません。悩んだものの、やはりこの着物を自分の娘に着させたいという気持ちは湧いてこず、11月の参拝時には予定通りスタジオのものを着用しました。

しかし、着脱が簡単な被布は神社での参拝後にA子さんが昔着たものと交換して写真を撮り、「着物はスタジオもので娘が気に入っているから脱がない」という説明をメールで送りました。実母に「ちゃんと使いました」という証拠を送ることで、角を立てないように配慮したそうです。

「孫の七五三のために保管していたの」とサラリと言う義母

2人の男の子に恵まれたBさんは、長男の5歳の七五三に向けて、早割キャンペーンを利用したり参拝の予約も抜かりなく入れるなど、着々と準備をしていました。参拝用の着物は長男の意見を取り入れて予約するなど、夏を迎える前にほとんどのことを済ませていたそうです。

しかし、お盆に旦那さんの実家に帰省したところ、思わぬ事態に巻き込まれたのです。「これ、大切に保管していたのよ」と義母が子供用の袴を持ってきました。

Bさんは義母の言わんとしたことを直ぐに察知。結婚当初から旦那さんから「いくら言っても母さんは何でも残しているから困る」と聞かされていました。今までも、旦那さんが使っていた抱っこ紐や子供服を出産のお祝いとしてまとめて渡されるなど経験していたのです。

何度も「男の子の孫が生まれたら着て欲しいとずっと思って保管していたの」と口にする義母に、Bさんはもちろんのこと旦那さんも反論することはできません。とりあえず受け取って帰宅したものの、長男はデザインが気に入らなく着る気はゼロ。苦肉の策として、2歳年下の次男用にとBさんは実母に頼み込んで裾上げをしてもらいました。

幸い、次男が「お兄ちゃんと同じ袴だ」とせがみ、喜んで着てくれたので、「次男がどうしてもこっちを着たいと言うことを聞かなくて」と説明し、義母の顔を立てることに成功。しかし、行事があるたびにありがた迷惑な荷物が増えるのではと、Bさん夫妻は戦々恐々としています。

実母から送られた草履は見るも無残な状態で茫然