7. 必要書類は、基本は申請書。事業所が変わった場合など、状況によって添付書類が増える
協会けんぽの傷病手当金支給申請書のページによると、添付書類が必要になるのは、状況によります。たとえば、支給開始日以前の12か月以内に事業所の変更があった場合や、定年再雇用などで健康保険の記号・番号が変わった場合は、「健康保険加入状況等申告書」が必要です。
この申告書には、以前の事業所の名称、所在地、使用されていた期間が分かる書類として、記入します。協会けんぽのページには、記入例も載っています。転職したばかりの人や、再雇用で記号・番号が変わった人は、確認しておきたい書類です。
ほかの公的な給付を受けている場合にも、その額が分かる書類が必要になることがあります。具体的な書類は、協会けんぽの申請書のページで、受けている給付ごとに確認してください。マイナンバーを使った情報照会を希望する場合は、一部の書類を省けることがあります。
ただし、協会けんぽがマイナンバーを未収録の場合や、照会の結果、情報を取得できない場合は、添付書類の提出が必要になることがあります。ページには、被保険者の記号・番号を記入した場合は、個人番号の記入は不要、とも書かれています。
また、協会けんぽは、申請時の事務負担の軽減のため、賃金台帳や出勤簿の写しなど、不要な書類は添付しないよう、注意を促しています。添付書類は、主に必要なものが掲載されていて、場合によっては、ここにない書類が必要になることもある、とされています。
代理人が提出する場合は、別の書類が必要です。法定代理人は、戸籍謄本などの証明書類と、写真付き身分証明書のコピーです。任意代理人は、委任状(任意の様式)と、写真付き身分証明書のコピーです。
8. 電子申請のアップロードは、JPEG・PNG・PDFで、マイナンバーが写った画像は使えない
電子申請の「アップロード必要書類」のページによると、添付書類は、画像データをアップロードします。別途、原本(紙)を郵送する必要はありません。
マイナンバー(個人番号)が記載された画像は、アップロードしないよう、注意書きがあります。スマートフォンなどで撮影するときは、四隅のマークが、すべて写るように撮影します。申請に使った添付書類のデータや原本は、再度のアップロードが必要になる場合に備えて、保管します。
傷病手当金の事業主記入用と療養担当者記入用の申請書は、入力用PDFを使う場合、必ずPDFをダウンロードして、Adobe Readerで開く必要があります。入力用PDFは、スマートフォンやタブレットには対応していません。パソコン専用です。
手書用を使う場合は、印刷して記入し、その写真をアップロードします。資格喪失日以降の期間に関する申請では、事業主記入用のアップロードは不要、とされています。退職後の期間の申請は、この点が違います。
9. 申請の期限は、提出した日ではなく、休んだ日ごとにその翌日から2年
協会けんぽの傷病手当金支給申請書のページによると、健康保険の現金給付を受ける権利は、これを行使することができる時(給付の種類ごとに定められた日)から2年で時効により消滅します。傷病手当金の消滅時効の起算日は、労務不能であった日ごとに、その翌日です。
つまり、2年は、申請書を出した日からではなく、休んだ日ごとに数えます。長く休んでいる場合、古い日付の分から、順に時効にかかる可能性があります。「まとめて出せばよい」と考えていると、古い分が期限を過ぎる場合があります。
協会けんぽのよくあるご質問では、会社を長期間休む場合の申請の頻度について、1か月単位で、給与の締切日ごとに申請することをお勧めする、と案内しています。理由は、傷病手当金の申請に、給与の支払いの有無について、事業主の証明が必要なためです。
たとえば、給与の締切日が月末なら、月末ごとに、その月の分の申請書を整える形です。事業主の証明が、1か月ごとに揃いやすくなるためです。毎月の申請が難しい場合は、勤務先の担当者や協会けんぽ支部と、まとめて出せる範囲を相談してください。
申請の前に、傷病手当金の対象になる条件も、確認しておきます。協会けんぽのページによると、業務外の病気やケガの療養のための休業で、仕事に就けないことが必要です。連続する3日間(待期)の後の、4日目以降に仕事に就けなかった日が対象です。給与が支払われている間は、支給されません。
10. 入金は、審査の結果支払い可能であれば、受付日から10営業日以内。進み具合は支部に聞く
協会けんぽは、審査の結果、お支払い可能であれば、受付日から10営業日以内にお支払いする、としています。協会けんぽ支部の窓口での、現金によるお支払いは行っていません。審査結果は、書面で送付されます。
よくあるご質問には、現在の進み具合を確認したいときは、加入している協会けんぽ支部に問い合わせる、と書かれています。問い合わせるときは、手元に資格情報のお知らせを用意しておくよう、案内されています。電子申請なら、画面で審査状況を確認できます。
申請に不備があると、返戻(申請書の返却)になり、再申請が必要になります。電子申請の場合は、返却された申請データを使って、再申請できます。返戻になると、その分、入金が遅れます。提出前に、記入もれと、添付書類を確認しておくことが、大切です。
なお、傷病手当金の支給額は、支給開始日以前の12か月の標準報酬月額の平均をもとに計算されます。金額の計算方法は、【傷病手当金】月収30万なら日額6667円(月約20万)病気・ケガで働けないときの補償、連続3日の待期を経て通算1年6か月まででも説明されています。
11. 退職後も、資格喪失後の継続給付として申請できる。電子申請も使える
協会けんぽの傷病手当金のページによると、資格喪失の日の前日(退職日など)までに、被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も、引き続き支給を受けられます。
被保険者期間には、任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者、国民健康保険に加入していた期間は含まれません。ただし、一度、仕事に就ける状態になった後に、再び仕事に就けない状態になっても、傷病手当金は支給されません。
よくあるご質問には、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさない、と注意が書かれています。退職日の過ごし方は、継続給付に関わります。退職を考えている場合は、退職日の前に、加入している協会けんぽ支部へ、確認しておきたい点です。
資格喪失後の期間の申請では、電子申請のアップロード必要書類のページに、事業主記入用のアップロードは不要、と書かれています。電子申請は、すでに資格を失っていても、当時の資格を選んで利用できます。この点は、すでに説明したとおりです。
退職後も受け取れるかについては、「傷病手当金」は退職後も受け取れる?資格喪失後の継続給付、押さえておきたい2つの条件でも説明されています。
12. 健康保険組合や共済組合に加入している場合は、様式や申請先が違う場合がある
この記事で扱ったのは、協会けんぽに加入している被保険者の場合です。協会けんぽのページは、提出先を、加入している協会けんぽ支部としています。健康保険組合や共済組合に加入している場合は、加入先の組合の案内に従います。
組合ごとに、申請書の様式、提出先、電子申請の有無、受付時間は違う場合があります。本記事で確認した資料からは、組合の運用の細部は分かりませんでした。勤務先の担当者か、保険証に記載の保険者に、確認してください。
加入している保険者の確認方法は、協会けんぽのページに、「資格情報のお知らせ」または「マイナポータル」で確認できる、と書かれています。協会けんぽの場合、加入支部も、同じ書類で確認できます。
13. 【編集者の視点】
協会けんぽの複数のページを読み比べると、傷病手当金の申請は、手順が多いというより、確認する点が散らばっていることが分かります。申請書のページ、電子申請のページ、よくあるご質問のページに、必要な情報が分かれて載っています。
その中で、特に見落としやすいと思ったのは、2つです。1つは、期限が、提出した日ではなく、休んだ日ごとに数えられること。もう1つは、受付の時間が、入金の期限に関わることです。この2つは、申請が遅れると、お金に響く部分です。
制度の細かな運用は、保険者や個別の事情で違います。この記事の内容を、そのまま当てはめず、加入している協会けんぽ支部や、勤務先の担当者に、確認する前の整理として、使ってください。
療養しながらの手続きは、本当に大変だと思います。一人で抱え込まずに、勤務先の担当者や、協会けんぽ支部に、気軽に相談してみてください。申請のコツは、早めに動くことと、受付番号や書類の控えを残しておくことです。手続きや金額は、必ず保険者に確認してください。
※本記事は、編集部が全国健康保険協会が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
14. まとめ
傷病手当金の申請書は、本人、事業主、療養担当者(医師等)の3者が記入し、加入している協会けんぽ支部に出します。令和8年1月13日から、電子申請が始まりました。申請できるのは被保険者と社会保険労務士で、事業主は電子申請できません。
電子申請は平日8時から21時で、17時15分以降に送信完了した申請は、翌営業日の受付日になります。入金は、審査の結果支払い可能であれば、受付日から10営業日以内です。編集部の試算では、令和8年11月13日(金)の17時と17時30分で、入金の期限の目安が、11月30日と12月1日に分かれます。
申請の期限は、休んだ日ごとにその翌日から2年です。長く休む場合は、1か月単位で給与の締切日ごとの申請が、協会けんぽの案内で勧められています。個別の扱いは、加入している協会けんぽ支部や保険者に確認してください。
15. よくある質問
15.1 Q. 傷病手当金の申請は、どこに出しますか?
加入している協会けんぽ支部です。電子申請なら、提出先の支部を選ぶ必要はありません。紙の申請書は、支部へ郵送します(協会けんぽ)。
15.2 Q. 電子申請は、いつから使えますか?
令和8年1月13日から使えます。傷病手当金支給申請書も対象です(協会けんぽ)。
15.3 Q. 電子申請は、誰が使えますか?
協会けんぽの被保険者と、社会保険労務士です。事業主は電子申請できません。代理人も、社会保険労務士を除き、使えません(協会けんぽ)。
15.4 Q. 電子申請は、何時まで使えますか?
平日の8時から21時です。17時15分以降に送信完了した申請は、翌営業日の受付日扱いになります(協会けんぽ)。
15.5 Q. 申請書には、誰が記入しますか?
本人のほか、事業主記入用と、療養担当者(医師等)記入用があります。電子申請では、事業主記入用と療養担当者記入用の申請書を、アップロードします(協会けんぽ)。
15.6 Q. いつまでに申請すればよいですか?
休んだ日ごとに、その翌日から2年で、時効になります。1か月単位で、給与の締切日ごとの申請が、勧められています(協会けんぽ)。
15.7 Q. 申請してから、いつ入金されますか?
審査の結果、支払い可能であれば、受付日から10営業日以内です。進み具合は、加入している協会けんぽ支部に問い合わせます(協会けんぽ)。
15.8 Q. 転職したばかりの場合は、追加の書類が必要ですか?
支給開始日以前の12か月以内に事業所の変更があった場合は、健康保険加入状況等申告書が必要です(協会けんぽ)。
15.9 Q. 退職後も、申請できますか?
退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があるなどの条件を満たせば、資格喪失後も受け取れます。電子申請も使えます。退職日に出勤すると、条件を満たさなくなります(協会けんぽ)。
参考資料
- 全国健康保険協会「傷病手当金」
- 全国健康保険協会「健康保険傷病手当金支給申請書」
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」よくあるご質問
- 全国健康保険協会「申請できる方(電子申請)」
- 全国健康保険協会「ご利用の手順(電子申請)」
- 全国健康保険協会「サービス提供時間(電子申請)」
- 全国健康保険協会「アップロード必要書類(電子申請)」
- 全国健康保険協会「電子申請サービスについて」(令和7年度第3回評議会 資料3)
齊藤 慧