4. 住宅ローンを全額繰上返済したら、抵当権抹消の登記を申請する
住宅ローンを全額返しても、自宅の登記簿に記録された抵当権は自動では消えません。抵当権を消すには、法務局に抵当権抹消の登記を申請します。
4.1 抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1000円
登録免許税法の別表第一では、登記の抹消にかかる登録免許税を「不動産の個数一個につき千円」と定めています。土地と建物が1つずつなら不動産は2個なので、2000円です。
同じ申請書で20個を超える不動産の抹消を受ける場合は、申請件数1件につき2万円とされています。
4.2 抵当権抹消の書類は、全額返済のあとに銀行から届く
みずほ銀行は、抵当権抹消関係書類を全額返済日以降に原則として届け出の住所へ郵送すると案内しています。不動産の売却などで全額返済日の当日に書類が必要な場合は、全額返済日の2〜3週間前までに取引店へ連絡するよう求めています。
届いた書類は、抵当権抹消の登記を申請するときに使います。引っ越しなどで住所が変わっている場合は、書類の送り先が古い住所のままになっていないか、先に銀行へ確かめておくと安心です。
5. 住宅ローンの全額繰上返済にかかるお金を、計算例で確かめる
全額繰上返済で銀行に払う手数料と、抵当権抹消の登録免許税を合わせると、いくらになるのかを計算してみます。土地と建物が1つずつの戸建てで、保証会社の手数料はかからない場合の計算例です。
- 三井住友銀行・SMBCダイレクトで申し込む場合:手数料0円+登録免許税2000円=2000円
- 三菱UFJ銀行・インターネットで申し込む場合:手数料1万6500円+登録免許税2000円=1万8500円
- 3行のいずれかで窓口(店頭)から申し込む場合:手数料3万3000円+登録免許税2000円=3万5000円
同じ銀行でも、窓口で申し込むかインターネットで申し込むかで、払う額が変わります。登記を司法書士に頼む場合は、別に報酬がかかります。
6. 住宅ローンを全額返す前に、手元に残すお金と団体信用生命保険を確かめる
銀行の窓口で住宅ローンのご相談を受けていた頃、退職金が入ったので住宅ローンを全部返したいというご相談をよくいただきました。そのときに一緒に確かめていただいたことが2つあります。
6.1 全額繰上返済に回したお金は、あとから引き出せない
繰上返済で返したお金は、預金のように引き出すことはできません。医療や介護、自宅の修繕など、これから必要になりそうなお金を先に分けておき、残りで返せるかどうかを考えます。
預金をすべて返済に回すと、急な出費があったときに、かえって金利の高い借入れに頼ることにもなりかねません。
6.2 住宅ローンを完済すると、団体信用生命保険の保障もなくなる
団体信用生命保険(団信)は、返済中に万一のことがあったときに、住宅ローンの残りを保険金で返す仕組みです。住宅ローンを完済すると、この保障もなくなります。
団信に入っていることを生命保険の代わりと考えていた場合は、完済したあとの家族の備えをどうするかも、あわせて考えておきたいところです。
7. まとめ
J-FLECの調査では、借入金がある二人以上世帯は18.7%で、借入金額を回答した世帯の住宅ローン残高は平均1295万円、中央値900万円でした。2000万円以上が残っている世帯は28.4%です。
3メガバンクの全額繰上返済の手数料は、三井住友銀行のSMBCダイレクトなら無料、三菱UFJ銀行のインターネットなら1万6500円で、窓口(店頭)ではいずれも3万3000円です。返したあとは、不動産1個につき1000円の登録免許税で抵当権抹消の登記を申請します。借りている銀行の手数料一覧と返済予定表を手元に置いて、手続きの方法を選びましょう。
参考資料
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年」
- 三菱UFJ銀行「借入後に必要な住宅ローン手数料」
- 三井住友銀行「ローン手数料(住宅ローン等)」
- みずほ銀行「ご利用中の契約内容変更の手数料一覧」
- みずほ銀行「【ネット住宅ローン、住宅ローン】全額返済の手続方法を知りたい。」
- e-Gov法令検索「登録免許税法」
中本 智恵