4. 2026年の国内の金価格も、ドル建て価格と為替の両方を受けて動いている

年平均で見た関係は、月ごとの動きにも表れます。田中貴金属工業の月次の金価格推移と、日本銀行の為替相場の統計で、2026年の動きを確認します。

4.1 2026年2月をピークに、ドル建て価格は下がった

田中貴金属工業の月次の金価格推移では、ドル建て価格の月平均は2026年2月の5019.53ドルから、7月には4073.92ドルまで下がりました。海外の相場の調整については、LIMOの記事「【純金積立シミュレーション】10年続けていたら資産3.5倍に…「月1万円×10年間」でどのくらい増えた?《2016年~2026年》」でも、2026年5月の時点で次のように触れています。

NY金先物は2026年2月末の5200ドル台から、現在の4500ドル台へ調整しました(2026年5月29日)。

出所:【純金積立シミュレーション】10年続けていたら資産3.5倍に…「月1万円×10年間」でどのくらい増えた?《2016年~2026年》

4.2 2026年7月から9月は、ドル建て価格が6.2%上がる一方、円高で国内価格の上昇は2.2%

2026年7月から9月にかけて、ドル建て価格の月平均は4073.92ドルから4324.72ドルへ6.2%上がりました。同じ期間に為替(T.T.S.)は163.59円から157.42円へ円高に動き、国内価格の月平均は2万1479円から2万1953円へ2.2%の上昇にとどまっています。

日本銀行の統計でも、東京市場のドル・円相場(17時時点の月中平均)は2026年7月の162.45円から9月は156.23円へと円高に動いていました。

4.3 2026年9月の平均で計算すると、1円の円高・円安で1グラムあたり約139円動く

2026年9月のドル建て価格の月平均4324.72ドルを1トロイオンス約31.1035グラムで割ると、1グラムあたり約139.0ドルです。ドル建て価格が変わらなければ、為替が1円動くごとに国内の金価格は計算上1グラム約139円動きます。

10円の円高なら1グラム約1390円、10グラムの金なら約1万3900円の評価額の差になる計算です。国内価格に含まれる費用などは考えていません。

5. 円建てで金を持つときは、外貨建ての資産と同じく為替の影響を受ける

金も、円で持つ限り為替の影響を受ける資産です。

5.1 金の評価額が変わったら、ドル建て価格と為替のどちらが動いたかを確かめる

手元の金の評価額が上がったり下がったりしたときは、田中貴金属工業の月次の金価格推移で、ドル建て価格と為替のどちらが大きく動いたかを見比べられます。

2022年のように為替だけで国内価格が大きく動く年もあれば、2016年のように為替がドル建て価格の上昇を打ち消す年もあります。理由を分けて見ておくと、値動きを冷静に受け止めやすくなります。

5.2 外貨預金や外国株式とあわせて、為替の影響を受ける資産の割合を把握しておく

外貨預金、外国株式や外国債券の投資信託、そして金は、いずれも円高になると円での評価額が下がりやすい資産です。家計の資産を書き出すときは、これらを合わせてどれくらいの割合になっているかを見ておきましょう。

円の預金と、為替の影響を受ける資産の割合を把握しておくと、円高に振れたときに家計全体がどの程度影響を受けるのかを見通しやすくなります。

6. まとめ

田中貴金属工業の年次の金価格推移では、国内の金価格の年平均は2012年の1グラム4321円から2025年は1万7302円へ約4.0倍になりました。同じ期間にドル建て価格は約2.06倍、為替は1ドル80.81円から150.62円へ動き、掛け合わせると約3.83倍です。

2022年はドル建て価格がほぼ横ばいでも円安で国内価格が19.5%上がり、2016年は円高で国内価格が3.7%下がりました。金の値動きを見るときは、ドル建て価格と為替の2つに分けて確かめておきましょう。

参考資料

中本 智恵