中東リスクの高まりで金価格が軟調です。NY金先物は2026年2月末の5200ドル台から、現在の4500ドル台へ調整しました(2026年5月29日)。インフレ懸念から金利が上昇しており、金利の付かない金が相対的に売られていると考えられます。

もっとも、金はこれまで歴史的な上昇相場が続いていました。値下がりを機に、「純金積立」を検討する人が増えることも想定されます。

本記事では、2026年5月までの最新データに基づき、「10年間、月1万円を積み立てたら資産はどうなったか」のリアルな運用成績を公開。元本120万円が約419万円(+249%)にまで膨らんだシミュレーション結果を見てみましょう。

1. 【純金積立シミュレーション】毎月1万円×10年間(2016年〜2026年)

もし、純金積立をしていたらどれくらい増えたのか過去10年間の金価格の推移をもとにシミュレーションしてみましょう。

金価格の推移(2016年6月~2026年5月)1/3

金価格の推移(2016年6月~2026年5月)

出所:田中貴金属工業株式会社「金価格推移」をもとに著者作成

1.1  シミュレーション条件

・積立期間:10年間(2016年6月〜2026年5月)
・積立方法:毎月最初の営業日の価格で1万円分を購入(ドルコスト平均法)
・積立回数:120回
・買付手数料:1.65%(税込)を差し引いた9835円分を毎月購入に充当
・評価単価:小売価格×0.9862
※評価単価は2026年5月1日の実績より小売価格から-1.38%のスプレッドを想定

1.2 総投資額(元本)・手数料総額・購入に充てた純額

・総投資額(元本)
・手数料総額・購入に充てた純額
・総投資額(元本): 1万円 × 120カ月 = 120万円

手数料総額: 165円(1万円×1.65%) × 120カ月 = 1万9800円

購入に充てた純額: 120万円 - 1万9800円 = 118万200円

1.3 シミュレーション結果

この10年間は、金価格が1gあたり4700円前後(2016年)から2万5000円超(2026年5月1日)へと、歴史的な急騰を遂げた期間です。

毎月定額で購入し続ける「ドルコスト平均法」を適用し、実際の月初価格で買い付けた結果がこちらです。

純金投資 シミュレーション2/3

純金投資 シミュレーション

出所:著者作成

 ・購入できた金の総量:約164.08g(平均購入単価:約7313円/g)
・評価総額(2026年5月1日):164.08g × 2万5550円/g = 約419万2355円
・評価益:419万2355円 - 120万円 = 約299万2355円

純金積立の実績(2016年6月~2026年5月)3/3

純金積立の実績(2016年6月~2026年5月)

出所:著者作成

評価総額は投資総額の約249%増(約3.5倍)に。10年前は1gあたり4700円前後だった金価格が、2026年5月には2万5000円超まで跳ね上がったことが大きな要因です。

1.4 ドルコスト平均法の威力 取得単価は単純平均より2割安

ここで見逃せないのが、「いつ買えばいいかわからない」という悩みを自動で解決してくれるドルコスト平均法の力です。投資タイミングを分散させる「時間の分散」がはたらき、結果的に高値掴みを防いだことが利益につながっています。

さらに、ドルコスト平均法の力は取得単価にも表れています。上記期間における金の平均価格は9115円でした。一方、平均購入単価は7313円と、「時間の分散」の効果である単純平均より1802円安く買えています。取得した数量全体(約164.08g)では約29万5672円に相当し、利益を押し上げた要因となりました。

ドルコスト平均法では1回あたりの投資額が一定のため、「価格が高い時には少なく、安い時には多く買う」という調整が自動的に行われます。このため、長い期間で見ると取得単価は単純平均よりも下がりやすいという特徴があり、利益に貢献したと考えられます。

2. 【純金積立の注意点】5年、10年のスパンで育てる「守りの資産」

「これだけ増えるなら今すぐ始めたい」と思った方も、以下の注意点だけは必ず押さえておきましょう。

  • 手数料と保管料:ネット証券などを選べば抑えられますが、年会費や買付手数料がかかる場合があります。
  • スプレッド:一般に金の購入と売却には価格差(スプレッド)があるため、短期間で売却すると損が出やすい傾向です。
  • 利息・配当はない:あくまで「売却時の差益」を狙う投資です。
  • NISAは対象外(※一部ETFを除く):純金積立そのものはNISAを使えません。
  • 5年以上の長期保有が「節税」のカギ: 金の売却益には譲渡所得税がかかりますが、5年を超えて保有すると課税対象になる利益が「半分」になるという大きな優遇があります。

「純金積立」は、短期間の価格変動で利益を狙う短期トレードではなく、5年、10年というスパンで「守りの資産」を育てる手法なのです。

3. まとめにかえて

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、2026年1~3月の金の総需要(トンベース)は前年同期比2%増えました。うち「金地金」への投資は同50%増と突出しており、現物の金に対する需要は世界的に高まっているようです。

WGCは、今後の見通しとして当面は地政学リスクの高まりが金需要を下支えすると予想します。もちろん、予想に反して需要が伸びず、価格が下落する展開もあるでしょう。

本記事のシミュレーションが示す通り、金の強みは「長期保有」と「ドルコスト平均法」の組み合わせにあります。

たとえ一時的に価格が下がっても、定額で買い続けることで購入単価は平準化され、5年、10年後には大きな実を結ぶ可能性が高まります。2026年、新たな資産形成として「純金積立」を検討してみてはいかがでしょうか。

【投資に関するご注意事項】

  • 情報提供の目的:本記事は純金積立に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買や投資を推奨・勧誘するものではありません。
  • 自己責任の原則:実際の投資判断は、最新の市場動向やリスクをご自身でご確認のうえ、規約をよくお読みになり、ご自身の責任と判断で行ってください。
  • 過去の実績について:記事内に掲載しているシミュレーション結果は過去の実績(2016年〜2026年)に基づくものであり、将来の運用成果や金価格の動向を保証・約束するものではありません。
  • 情報の最新性:掲載されている金価格、手数料、税制等の情報はすべて執筆時点(2026年5月)のものです。これらは予告なく変更される場合があるため、実際の取引にあたっては必ず各公式サイトや最新の情報をご確認ください。

参考資料

若山 卓也