4. 施設に入った親の後期高齢者医療で、家族が戸惑いやすい2つのこと

後期高齢者医療の保険料を担当していた頃、施設に入った親の手続きで家族から相談を受けることがありました。多かったのは次の2つです。

4.1 住民票を移したのに、後期高齢者医療の書類は元の都道府県の側から届く

住所地特例が適用されると、加入しているのは元の都道府県の広域連合のままです。引っ越し先の市区町村に問い合わせても、保険料の額や通知のことは答えられない場合があり、窓口を行き来する家族もいました。

また、後期高齢者医療の書類は住民票の住所へ送るのが原則です。例えば西宮市は、介護施設などに入所している場合や、認知症などで本人が郵便物を管理できない場合は、送付先の変更を申請できると案内しています。家族などの代理人も申請できます。

4.2 介護保険の住所地特例とは範囲が違う

介護保険にも住所地特例があります。西宮市によると、介護保険は他の市町村の施設に入所・入居して住所を移した場合に、元の住所地の市町村の被保険者になる仕組みです。

後期高齢者医療の住所地特例は、他の都道府県へ移った場合に関わるものです。同じ県内の別の市に移ったときは、介護保険は特例の対象になっても、後期高齢者医療は同じ広域連合のままという違いがあります。2つの制度で窓口も分かれているので、それぞれ確かめておくと混乱しにくくなります。

5. 施設への入所が決まってから住所を移すまでに後期高齢者医療で確かめておくこと

他の都道府県の施設に親が移る場合に、後期高齢者医療で確かめておきたいことを時系列で並べます。

5.1 入所の前に、施設が住所地特例の対象になるかを聞いておく

住所地特例の対象になるのは、法律で定められた病院や施設に入った場合です。施設の種類によって扱いが変わることがあるので、入所先の施設と、いま住んでいる市区町村の窓口の両方で確かめておきます。

5.2 転出のときに、元の市区町村の窓口で後期高齢者医療の扱いを確かめる

住民票を移す転出の手続きのときに、後期高齢者医療の窓口にも寄っておくと、住所地特例の扱いや必要な届出をその場で確かめられます。施設の名称や所在地がわかる書類を持っていくと、話が早く進みます。

5.3 入所したあとは、書類の送付先を見直しておく

保険料の通知などが届いても、本人が施設で受け取れないと、家族が気づかないまま納期限を過ぎることがあります。送付先の変更ができるかを、加入している広域連合の市区町村に確かめておくと安心です。

5.4 施設を出て一般の住宅に移るときは、加入先が変わる

施設を出て子どもの家など一般の住宅に住所を移すと、住所地特例の対象ではなくなります。その場合は、移った先の都道府県の広域連合に加入し、保険料もその料率で計算されます。退所が決まったら、早めに窓口で手続きを確かめておきます。

6. まとめにかえて

後期高齢者医療制度は、住んでいる都道府県の広域連合に加入するのが原則です。ただし、他の都道府県の病院や介護保険施設、有料老人ホームなどに入って住所を移した場合は、住所地特例によって元の広域連合の被保険者のままになります。

令和8・9年度の保険料の全国平均は月7989円ですが、実際の料率は広域連合ごとに違います。住所地特例が適用されれば、保険料も元の都道府県の料率で計算されます。

親が他の都道府県の施設に移るときは、入所の前と転出のときに、市区町村の後期高齢者医療の窓口で住所地特例の扱いと書類の送付先を確かめておきましょう。

参考資料

太田 彩子