75歳以上の方などが加入する後期高齢者医療制度は、医療機関の窓口で支払う自己負担のほかに、保険料や税金、現役世代が加入する医療保険からの支援金などで支えられています。

厚生労働省が2026年9月9日に公表した「令和6年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」によると、2024年度の後期高齢者医療広域連合の単年度収入は18兆3498億円でした。このうち被保険者の保険料は1兆7394億円で、収入全体の9.5%にとどまります。

この記事では、社会保障全体の給付と負担を確認したうえで、後期高齢者医療制度のお金の流れを見ていきます。記事後半では、国民生活基礎調査から75歳以上の方の通院の状況や高齢者世帯の所得、保険料の滞納の状況も整理します。

1. 【社会保障】2026年度の社会保障給付費は144.1兆円「医療」だけで44.6兆円

まずは、後期高齢者医療を含む社会保障全体の給付と負担を、厚生労働省「給付と負担について」から確認します。

1.1 給付の約3割が医療、財源の約6割を「保険料」で負担

社会保障給付費は、2026年度(予算ベース)で144.1兆円、対GDP比で20.8%です。内訳は、年金が63.7兆円(44.2%)、医療が44.6兆円(30.9%)、介護や子ども・子育てなどを含む福祉その他が35.8兆円(24.8%)となっています。

これを支える負担は、保険料が84.5兆円(59.9%)、公費が56.6兆円(40.1%)です。保険料は被保険者の拠出が44.8兆円、事業主の拠出が39.7兆円、公費は国が38.9兆円、地方が17.7兆円です。このほか、積立金の運用収入なども財源になっています。

2026年度(予算ベース)の社会保障給付費の給付と負担です。1/5

社会保障給付費の給付と負担(2026年度予算ベース)

出所:厚生労働省「給付と負担について」をもとにLIMO編集部作成

1.2 生涯でみると、医療の給付は高齢期に大きくなる

厚生労働省は、2022年度の実績などをもとに、1人あたりの社会保険や保育・教育などの給付と負担を年齢ごとに示したイメージも公表しています。

このイメージでは、現役期には公的年金や医療保険、雇用保険の保険料、税金などの負担が中心です。一方、65歳以降は老齢年金の給付が大きくなり、医療の給付も年齢が上がるにつれて増え、介護の給付も加わります。高齢期の医療は、現役世代を含めた社会全体の負担で支えられていることが分かります。

2. 【後期高齢者医療】収入18兆3498億円のうち、本人の保険料は「9.5%」

次に、後期高齢者医療制度を運営する都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合の財政状況を確認します。

2.1 最も大きいのは現役世代からの支援金で39.4%

2024年度の単年度収入は18兆3498億円で、前年度から7135億円(4.0%)増えました。

内訳で最も大きいのは、現役世代が加入する医療保険からの支援金にあたる後期高齢者交付金で、7兆2246億円(39.4%)でした。次いで国庫支出金が5兆9267億円(32.3%)、都道府県支出金が1兆5402億円(8.4%)、市町村負担金が1兆4395億円(7.8%)です。

2.2 被保険者の保険料は1兆7394億円、前年度から12.5%増

被保険者が納める保険料は1兆7394億円で、収入全体の9.5%です。前年度の1兆5456億円から1938億円(12.5%)増えました。

このほか、保険料の軽減分にあたる保険基盤安定(保険料軽減分)が3853億円あります。

後期高齢者医療広域連合の単年度収入の内訳を、2023年度と2024年度で比べました。2/5

後期高齢者医療広域連合の単年度収入の内訳

出所:厚生労働省「令和6年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」をもとにLIMO編集部作成

3. 【後期高齢者医療】保険給付費は17兆9900億円「1人あたり約88.2万円」

続いて、支出と収支の状況を見てみましょう。

3.1 支出の大半は保険給付費

2024年度の単年度支出は18兆3453億円で、前年度から6585億円(3.7%)増えました。このうち医療の給付にあたる保険給付費は17兆9900億円で、支出のほとんどを占めます。

被保険者数は2039万人で、前年度から50万人増えました。保険給付費を被保険者数で割ると、1人あたり約88.2万円になります(LIMO編集部算出)。

3.2 精算後の単年度収支は350億円の赤字

国庫負担などの精算を反映した精算後単年度収支差引額は350億円の赤字で、前年度の198億円の赤字から赤字幅が152億円広がりました。

一方、前年度からの繰越金などを含めた収支差引合計額は3714億円の黒字です。

後期高齢者医療広域連合の支出と収支、被保険者数です。3/5

後期高齢者医療広域連合の支出と収支

出所:厚生労働省「令和6年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」をもとにLIMO編集部作成