4. 特別支給の老齢厚生年金を受けている方は、高年齢雇用継続給付で年金の一部が支給停止される

高年齢雇用継続給付を受け取るときは、65歳になるまでの老齢年金との関係も確認が必要です。日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」をもとに見ていきます。

4.1 年金の支給停止は最高で標準報酬月額の4%

厚生年金保険に加入しながら65歳になるまでの老齢年金を受けている方が高年齢雇用継続給付を受けると、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止されます。支給停止される額は、最高で標準報酬月額の4%に当たる額です。

停止率は、標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の何%かで決まります。ハローワークのパンフレットに載っている早見表から、主な割合を確認しましょう。

標準報酬月額の割合が低いほど、年金の停止率は高くなる3/3

標準報酬月額の割合が低いほど、年金の停止率は高くなる

出所:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」をもとにLIMO編集部作成

  • 75%以上:0.00%
  • 74%:0.31%
  • 72%:0.97%
  • 70%:1.66%
  • 68%:2.40%
  • 66%:3.17%
  • 64%以下:4.00%

標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の75%以上の場合や、高年齢雇用継続給付の支給限度額以上の場合は、調整は行われません。※60歳到達日が2025年4月1日より前の方などは、支給停止額が標準報酬月額の最大6%です。

4.2 特別支給の老齢厚生年金の対象は男性が昭和36年4月1日以前、女性が昭和41年4月1日以前の生まれ

日本年金機構が調整の対象として案内しているのは、65歳になるまでの老齢年金です。ハローワークのパンフレットでは、65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」との調整として説明されています。

日本年金機構は、特別支給の老齢厚生年金の生年月日の要件を、男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前の生まれとしています。自分が受け取れるかどうかは、年金事務所で確認できます。

4.3 申請しなかった月も、年金の一部支給停止が解除されない場合がある

日本年金機構によると、初回の高年齢雇用継続給付の支給申請が認められたあとは、支給申請をしなかった月があっても、申請できる期間中は年金の一部支給停止が解除されません。

退職したとき、65歳に達したとき、申請しなかった月以後の不支給決定などの雇用情報が提供されたときに、さかのぼって解除され、その期間の年金が支払われます。

60歳以降の収入は給与・給付金・年金の3つを合わせて見通すことが大切です。給付金の額だけでなく、年金がどれだけ止まるかもあわせて、年金事務所とハローワークの両方で確かめておくと安心です。

5. 雇用継続給付の申請期限は、高年齢雇用継続給付と介護休業給付で数え方が違う

雇用継続給付は、原則として事業主がハローワークに申請します。やむを得ない理由がある場合や、本人が自ら手続きしたい場合は、被保険者本人が申請することもできます。

5.1 高年齢雇用継続給付の初回申請は「支給対象月の初日から4か月以内」

高年齢雇用継続基本給付金の初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から数えて4か月以内に行います。2回目以降は、原則として2か月に一度、ハローワークが指定する支給申請月に申請します。

初回には、60歳到達時等の賃金証明書と受給資格確認票を添えて提出します。給付金は、支給決定からおおむね1週間で本人の口座に振り込まれます。

5.2 介護休業給付金は「休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日」まで

介護休業給付金は、1回の介護休業が終わるごとに申請します。期限は、休業終了日(3か月以上にわたるときは開始日から3か月を経過する日)の翌日から数えて2か月を経過する日の属する月の末日までです。

パンフレットの例では、介護休業終了日が7月25日の場合、申請できるのは7月26日から9月30日までです。

5.3 雇用継続給付の申請期限を過ぎても、2年の時効の範囲内なら申請できる

厚生労働省のリーフレットによると、申請期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの2年間は申請が可能です。

  • 高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金:支給対象月の末日の翌日から2年を経過する日まで
  • 介護休業給付金:休業を終了した日の翌日から2年を経過する日まで

ただし、申請期限内に申請するのが原則です。期限を過ぎてしまったときは、まずハローワークに相談しましょう。

5.4 介護休業給付を受けられる月は、高年齢雇用継続給付を受けられない

その月の初日から末日まで続けて介護休業給付(または育児休業給付)を受けられる休業をしていた月は、高年齢雇用継続給付を受けることはできません。60歳以降に親や配偶者の介護で休業する場合は、この扱いも知っておきましょう。

6. まとめ

雇用継続給付のうち、高年齢雇用継続給付は60歳以降に賃金が75%未満に下がった方に、介護休業給付は家族の介護で休業する方に支給されます。2026年8月1日からは、支給限度額がそれぞれ39万7369円、36万6222円に引き上げられました。

2025年4月1日以降に60歳に達した方の高年齢雇用継続給付は最大10%で、特別支給の老齢厚生年金を受けている方は年金の一部が止まる場合もあります。

どちらの給付も事業主を通した申請が基本です。対象になりそうな方は、勤務先の担当者に早めに相談し、申請期限までに手続きを進めましょう。

参考資料

和田 直子