3. NISA口座で見落としやすい落とし穴は2つあります

非課税のメリットが大きい新NISAですが、使い始めてから気づく落とし穴もあります。主なポイントを2つ整理しておきましょう。

3.1 1. 配当金は受取方法で扱いが変わる

株式やETFの配当金・分配金を非課税で受け取るには、証券会社経由で受け取る「株式数比例配分方式」を選んでおく必要があります。配当金領収証を郵便局などに持参して受け取る方式や、銀行口座へ直接振り込ませる方式を選んでいると、NISA口座で保有していても配当金に課税されます。

大口株主等を除く上場株式等の配当の場合、所得税等15.315%と地方税5%を合わせた20.315%が課税されます(出典:国税庁「No.1535 NISA制度」、「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」)。

3.2 2. 損失は「ないものとみなされる」

特定口座などで損失が出た場合は、ほかの口座の利益と相殺する「損益通算」や、翌年以降に損失を繰り越す「繰越控除」ができます。しかしNISA口座で出た損失は、税制上「ないもの」として扱われます。そのため、課税口座との損益通算や繰越控除は行えません。

3.3 配当金の受取方法はどこで確認できる?

配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」になっているかどうかは、証券会社の管理画面や口座開設時の書面で確認できます。自宅に配当金領収証が郵送で届いている場合は、別の受取方式になっている可能性があるため、一度確認しておきましょう。

4. 2027年から何が変わる?

金融庁が2025年12月に公表した「令和8(2026)年度税制改正について」によると、令和9年(2027年)からの開始を目指して、次のような改正が盛り込まれています。

  • 未成年者向け口座(こどもNISA)の導入予定:つみたて投資枠の年齢要件を撤廃し、0歳から17歳までを対象にする内容です。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円とされています。12歳以降は、子の同意があれば親権者による払出しが可能となる見込みです。
  • つみたて投資枠の対象商品の拡大予定:投資対象となる指数の追加や、債券を中心とした投資信託の要件拡大などが予定されており、選べる商品が広がる見通しです。

これらは税制改正大綱などに基づく予定の段階にあり、今後の法改正の成立状況によって内容が確定します。

5. まとめにかえて|来年1月に向けて、年内にできること

来年1月からスムーズに積立を始めるために、年内のうちに準備を進めておきましょう。

まず、証券会社や銀行などの金融機関でNISA口座の開設を申し込みます。次に、無理なく続けられる毎月の積立額を決めましょう。早見表を参考に、家計に合った金額を選ぶことが大切です。すでに口座をお持ちの方は、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」になっているか、設定画面で確認しておくと安心です。

監修者
熊谷 良子

資産形成は、思い立った時が始めどきです。「今年は口座を作っただけで終わってしまった」という方も、気に病む必要はありません。来年のスタートに向けて、仕組みと落とし穴を知ったこと自体が、すでに一歩前に進んだ証拠です。使いこなせなかった理由が分かれば、次の一年は動き方を変えられます。

最初から完璧な計画を立てようとすると、かえって動き出せなくなります。まずは少額から始めて、値動きや仕組みに少しずつ慣れていけば十分です。積立額は、あとから見直すこともできます。途中でわからないことが出てきたら、一人で抱え込まず、金融庁や国税庁の公的な情報で確認しながら進めていきましょう。

年内に口座の準備と設定を済ませておけば、気持ちよく来年1月を迎えられます。将来の自分や家族のために、無理のない範囲で前向きな一歩を踏み出してみてください。小さく始めた積立も、続けるほどに力を発揮していきます。

参考資料

池上 翠