4. 貸付を利用すると、何が起きるか
民間のリバースモーゲージを扱う実務の視点から、この貸付制度を利用した場合に起きることを確認します。
4.1 利息は年3%か長期プライムレートの低い方
貸付利率は、年3%または毎年4月1日時点の長期プライムレートのいずれか低い利率です。借りている間も利息は発生しますが、利率自体は民間のリバースモーゲージと比べて低めに設定される仕組みです。※金利は毎年見直されるため、借入時点の利率は福祉事務所や社会福祉協議会で確認する必要があります。
4.2 返済は「死亡時」か限度額到達時にまとめて
この制度の大きな特徴は、借りている間は毎月の返済が発生しない点です。貸付は、借受人が亡くなるまでの期間、または貸付元利金が限度額に達するまでの期間続き、その時点で初めて返済(償還)を行います。
償還は、多くの場合、相続人が不動産を売却するなどして一括で行うことになります。民間のリバースモーゲージと同様、「住み続けながら借りる」代わりに、最終的には不動産そのものが清算の原資になる仕組みだと理解しておく必要があります。
5. 制度を使う前に確認しておきたいこと
最後に、この制度を検討する際に確認しておきたい点を整理します。
5.1 限度額に達すると、あらためて生活保護の申請に進む
貸付元利金が限度額に達すると、この制度だけでは生活費を賄えなくなります。その段階で、あらためて生活保護の申請に進むことになります。貸付はあくまで一時的な選択肢であり、永続的に生活保護を回避できるものではない点は押さえておく必要があります。
5.2 相続人がいる場合は、事前に話し合っておく
この制度を利用すると、最終的に不動産を売却するなどして返済することになるため、相続人がいる場合は、不動産がどう扱われることになるのか、事前に話し合っておくことをおすすめします。資産運用の相談でも、こうした制度の利用は家族内で認識がずれやすい部分だと感じています。
6. まとめ
生活保護の要件である資産の活用は、持ち家であればただちに売却が必要というものではありません。住み続けたい持ち家がある65歳以上の世帯には、「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」という貸付制度があります。
評価額500万円以上の居住用不動産を担保に、生活扶助基準額の1.5倍以内の金額を、評価額の7割程度まで借りることができます。返済は死亡時か限度額到達時にまとめて行う仕組みで、連帯保証人は不要です。
持ち家があって生活保護の利用をためらっている場合は、まずお住まいの福祉事務所や社会福祉協議会に相談してみてください。
参考資料
和田 直子