4. 成年後見制度利用支援事業は「誰が申し立てたか」で対象外になる場合がある

成年後見制度利用支援事業は、市区町村長が申し立てた場合だけを助成の対象にしている自治体もあります。本人や親族が申し立てる予定なら、まず対象になるかを確かめる必要があります。

4.1  本人申立てを助成対象にする市区町村は1290(親族申立ては1253)

厚生労働省の同調査から、高齢者を対象とした助成制度がある市区町村のうち、申立人ごとに助成の対象にしている自治体の数を見てみましょう。

本人・親族申立てを対象にしていない市区町村もある3/3

本人・親族申立てを対象にしていない市区町村もある

出所:厚生労働省「令和7年度成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果(概要版)」をもとにLIMO編集部作成

  • 市区町村長による申立て:1695市区町村
  • 本人による申立て:1290市区町村
  • 親族による申立て:1253市区町村
  • その他の申立て:974市区町村

市区町村長申立てはほぼすべての自治体が対象にしている一方、本人や親族が申し立てた場合は対象にしていない自治体が400ほど残っています。

国は「第二期成年後見制度利用促進基本計画」を踏まえ、本人・親族申立ての場合や、生活保護以外の低所得者、後見監督人等が選任された場合の報酬も対象に含めるよう、市区町村に検討を求めています。

4.2 東京都北区は本人・親族申立てを対象にした助成制度を設けている

東京都北区は、本人・配偶者・四親等内の親族が申し立てた場合の申立費用と報酬の助成制度を設けています。対象になるのは、次の5つをすべて満たす方です。

  • 本人・配偶者・四親等内の親族の申立てにより、成年後見制度を利用する予定の65歳以上の方
  • 介護保険の保険者が東京都北区である方
  • 住民税非課税世帯(世帯員全員が非課税)で、世帯の資産がおおむね100万円以下、年間収入が単身で150万円以下(世帯員が1人増えるごとに50万円を加算)、居住する家屋など日常生活に必要な資産以外に活用できる資産がないなど、費用の負担が困難な方
  • ほかの自治体の同じ趣旨の制度で助成を受けていない方
  • 成年後見人等が配偶者・四親等内の親族でない方

最後の要件のとおり、配偶者や四親等内の親族が後見人等になる場合は対象外です。

4.3 杉並区の報酬助成は区長申立てで「預貯金60万円以下」が要件

杉並区が「成年後見人等の報酬助成制度」として案内している要件は、区長が審判請求の手続きを行い、家庭裁判所が後見人等を選任していることが前提です。そのうえで、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 助成の申請時点で、本人の預貯金口座の残高等が60万円以下であること
  • すぐに現金化できる資産を持っていないこと
  • ほかの市区町村等から同様の助成を受けていないこと
  • 負債がある場合は、返済計画を明記すること

上限額は、施設入所の場合が月額1万8000円(区民後見人の場合1万円)、在宅その他の場合が月額2万8000円(区民後見人の場合2万円)です。北区と同じ上限額でも、資産の基準や申立人の扱いは自治体によって異なります。

5. 成年後見制度利用支援事業の申請期限と相談先を確認しておく

成年後見制度利用支援事業の助成は、自動では支給されません。自治体ごとに申請期限が決まっているため、家庭裁判所の審判が出たら早めに手続きを進める必要があります。

5.1 申請期限は北区が「審判確定後3か月以内」、杉並区が「審判日の翌日から120日以内」

北区では、審判確定後3か月以内の申請が必要です。

杉並区の報酬助成は、家庭裁判所が決定した報酬付与の審判日の翌日から120日以内に申請します。申請は年度内に1回で、原則として1回につき12か月分までとされています。

後見人等の報酬は、後見人等が家庭裁判所に「報酬付与の申立て」をし、審判で額が決まります。報酬助成の申請はこの審判が前提になるため、審判の時期を後見人等と共有しておくと手続きが遅れにくくなります。

5.2 成年後見制度の相談先は市区町村の担当課や中核機関

助成制度の有無や要件は、お住まいの市区町村の高齢者福祉・障害福祉の担当課で確認できます。

また、成年後見制度の相談窓口などを担う「中核機関」を整備した市区町村は、2025年4月1日時点で1340(約77.0%)でした。

6. まとめ

成年後見制度の利用者は2025年12月末時点で25万9901人と増え続けています。親族以外の専門職が後見人等に選ばれるケースが8割を超え、流動資産100万円未満の方でも報酬は年20万円台が中心です。

こうした費用を支えるのが成年後見制度利用支援事業ですが、対象になる申立人や資産の基準、申請期限は市区町村によって異なります。

家族の判断能力に不安を感じたら、申立ての前にお住まいの市区町村の窓口で、助成制度の対象になるかどうかを確認しておきましょう。

参考資料

和田 直子