iDeCo(イデコ)の一番のデメリットは、やはり60歳までは原則引き出せないことでしょう。積み立てたお金は途中で入用になったとしても引き出すことができないのです。老後資産形成のために作られた制度だけあるということもできますが、他に必要なお金があれば別途貯めておかなければなりません。

また、元本確保型の商品もあるとはいえ、いきなり投資信託に投資するという点に抵抗を感じるケースもあるようです。まだまだ投資が広く根付いていない日本では、そもそも投資信託の仕組みがわからずに手を出せないという人もいるかもしれません。ただ、預貯金の金利がほとんどつかない現状なのはご存知の通りです。まずはお金を育てていくための勉強を始めてみてはどうでしょうか。

iDeCo(イデコ)の規制緩和の内容は?

最後に、この夏に報道されたiDeCoの規制緩和について、もう少し見てみたいと思います。今回の規制緩和が影響を及ぼすのは、企業型確定拠出年金(DC)に加入している会社員の人たちです。企業型確定拠出年金に加入している会社員の人たちは、条件付きでiDeCoに加入することができますが、その条件というのが「企業型年金加入者においては、企業型年金規約において個人型年金への加入が認められている方」※という表現です。

もっと詳しく言えば、「マッチング拠出を行わないこと」や「会社の負担金額の上限を引き下げること」などの条件がありますが、このような条件をなしにして、希望する会社員の人たちが全員iDeCoに加入できるようにするというのがこの夏に報道された規制緩和の内容です。

さらに、今は60歳までとなっている掛金の拠出期間を70歳までに延長することも検討されているというのです。今は60歳を超えても、65歳を超えて正社員ではなくなっても契約社員や業務委託として働き続ける人たちもいます。つまり、「現役世代」として働く期間が延びているのに合わせて、70歳まで掛金を拠出できるようにしようという試みで老後資産づくりの後押しをしようというのです。

確かに働く期間が長ければ、その期間もお金を積み立てておきたいですよね。さらに、今は60歳から70歳の間に受け取りを開始することになっているのですが、それを70歳以降に受け取り開始できるように変更もするようです。こうなると、iDeCoもさらに利便性が上がり、より今の日本の状況に合わせた制度になりそうです。

※「iDeCoの概要」(厚生労働省)参照

まとめ

”自分で作る年金”iDeCoは、将来の自分を支えるためのお金です。働きながら老後のお金を積み立てるのが大変な時期もあるかもしれませんが、自分が積み立てて運用した分が自分を助けるので、うまく制度を利用しつつ老後のお金を準備していきましょう。

大塚 ちえ