4. 就業者負担軽減支援金に税金はかからず、差押えの対象にもならない

受け取ったあとの扱いについても、大綱案は書き分けています。既存の制度との関係が整理されている部分です。

4.1 譲渡・担保・差押えができないとされている

大綱案では、支援金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができないとされています。

ただし、国税の滞納処分により差し押さえる場合はこの限りではないという例外が書かれています。

また、支援金に対して租税その他の公課は課することができないとされています。受け取った金額に所得税や住民税がかかる形にはしない、という整理です。

4.2 生活保護制度では収入認定の対象とするとされている

一方で、生活保護制度においては支援金を収入認定の対象とするとされています。

大綱案は、公課を課さない取扱いによって既存の社会保障制度の支給要件等に影響を及ぼさないようにするとしたうえで、生活保護制度についてはこの扱いを明記しています。

なお、認定や支給に関して市町村が処理する事務は法定受託事務とする案になっています。ここにも「地方と協議中」の注記が付いています。

5. 食料への支出額は世帯の人数で2倍近い差がある

令和9年度と令和10年度の支援金は、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲で行われるとされています。そこで、家計が食料にどれだけ使っているかを家計調査で見ておきます。

5.1 単身世帯は月4万9321円、二人以上の世帯は月9万4895円

総務省統計局の家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果によると、1世帯当たり1か月平均の食料への支出は次のとおりです。

  • 総世帯:7万7394円
  • 二人以上の世帯:9万4895円
  • 単身世帯:4万9321円

二人以上の世帯のエンゲル係数は28.6%で、前年から0.3ポイントの上昇となりました。

ここで使われている食料費は、統計局の注記により他の世帯への贈答品やサービスの支出を含まない金額です。上の9万4895円を消費支出で割った数字とは一致しません。

二人以上の世帯と単身世帯では、1か月の食料への支出額に2倍近い開きがあります2/2

総世帯7万7394円・二人以上の世帯9万4895円・単身世帯4万9321円という1か月平均の食料への支出額を横棒で比べた図

出所:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとにLIMO編集部作成

5.2 税率が下がるのは酒類・外食を除く飲食料品

大綱案で税率1%の対象となるのは、現行の軽減税率の適用対象となっている飲食料品です。範囲は税率8%のときから変更しないとされています。

家計調査の「食料」には外食も含まれるため、支出額の全額がそのまま税率引下げの対象になるわけではありません。

6. 令和11年4月には半年分相当額を先に支給する案になっている

消費税率の引下げが終わるときの接続についても、大綱案に記述があります。

6.1 令和11年度は支給が2回になる

大綱案では、令和11年4月に、令和10年度の受給資格者に対して令和11年度以降の制度による支援額の半年分相当額を基本とした額を先行して支給するとされています。

その後、令和11年度の受給資格者に対して、当該支援額の半年分相当額を基本とした額を支給するとされています。令和11年度中の支給は、この2回という整理です。

年度替わりの地方自治体の事務負担を十分考慮しつつ、と条件が付いており、具体的な執行等については地方と協議するとされています。

6.2 いま確かめておけること

支援金の額も所得の線引きも、大綱案の段階ではまだ数字が入っていません。それでも、公的給付支給等口座の登録状況は今の時点で確認できます。

マイナポータルから登録の有無を確かめられます。登録していれば職権認定の対象になり得るとされているためです。

自分が支援金の対象になるかどうか、いくら受け取れるかについては、制度の詳細が決まってから所管する窓口に確認してみましょう。

7. 大綱案の段階でも、対象と受け取り方は読める

令和8年9月11日の大綱案では、新しい制度の名称が就業者負担軽減支援金とされ、支援金制度は令和9年4月から導入すると書かれました。令和11年度は本格導入の時期にあたります。

対象は中低所得の現役勤労者です。勤労所得が所得下限額を超えることが要件に置かれているため、働いていない方は入りません。ただし、就労して税と社会保険料を現役並みに負担している中低所得の高齢者も対象とすると書かれています。

受け取り方は、基準日である1月1日時点の住所地の市町村長に請求して認定を受ける形です。公的給付支給等口座の登録者は、市町村長が職権で認定できるとされ、運用では職権認定を原則とすると書かれています。

支給は毎年1回、認定または決定の日から2か月以内。支援額は1000円単位で端数を切り上げるとされています。

ここまではあくまで大綱案の内容で、認定や支給に関する部分には「地方と協議中」の注記が付いています。金額の水準や所得の線引きは、これから法制上の措置を経て決まっていきます。

参考資料

中本 智恵