3. 届け出ると保険料はどう変わるか
2つの会社の給与から保険料が引かれていても、それは二重払いではありません。ただし届出をしないと、正しい計算になりません。
3.1 合算してから按分する
LIMOの記事「2つの会社から厚生年金保険料が引かれるのは二重払い?二以上事業所勤務の按分計算と10日以内の届出義務を丁寧に整理して解説します」から引用します。
- ①報酬月額の合算:A社・B社それぞれの報酬月額を合算します
- ②標準報酬月額の決定:合算した月額をもとに、1つの標準報酬月額を決定します
- ③保険料の按分:決定した保険料額を、A社・B社それぞれの報酬額の割合で按分します
出所:LIMO「2つの会社から厚生年金保険料が引かれるのは二重払い?二以上事業所勤務の按分計算と10日以内の届出義務を丁寧に整理して解説します」
別々に計算されるのではなく、いったん足してから割り戻す仕組みです。報酬の多い会社ほど負担する割合も大きくなります。
資格取得届が出ていることが前提で、通知は選択した事業所の側から届きます2/2
出所:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」(2025年12月25日更新)をもとにLIMO編集部作成
3.2 届け出ないと計算が始まらない
この計算は自動では行われません。届出をしないままだと、それぞれの会社が自社の報酬額だけで標準報酬月額を決めた状態が続きます。
合算後の標準報酬月額が等級の上限に届かない範囲であれば、別々に計算しても総額は大きく変わりません。ただし上限に当たる場合などには差が出るため、本来より多く負担していることもあります。
給与明細の天引き額だけを見ても、合算後の計算になっているかどうかは分かりません。届出が済んでいれば標準報酬月額の決定通知が出ていますので、心当たりがあるときは勤務先の担当部署か管轄の年金事務所で届出の有無を確かめてください。
4. 出す前に確かめておくこと
まず、それぞれの事業所から被保険者資格取得届が出ているかを確認してください。日本年金機構は、この届書の提出にあたっては資格取得届の提出が前提になると注記しています。
次に、いつ加入要件を満たしたかを特定します。10日という期限はその日から数えます。
そして、どちらを主たる事業所にするかを決めます。加入先の健康保険と手続きの窓口が、この選択で変わります。資格確認書、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証が交付されている場合は、届書に添付することになります。
なお、70歳以上の方の場合は「厚生年金保険 70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」をあわせて提出します。
5. 期限の違いと、出す人の違いを分けて確かめる
健康保険・厚生年金保険の届出は、資格取得届と資格喪失届が事実発生から5日以内で事業主の提出です。被扶養者(異動)届は、認定が事実発生から5日以内、非該当がその都度で、いずれも被保険者が事業主を経由して出します。
氏名変更届は原則として不要で、必要な場合だけ事業主が速やかに提出します。高齢任意加入の申出は提出時期が任意で、被保険者本人が提出します。
そのなかで被保険者所属選択・二以上事業所勤務届だけは、事実発生から10日以内です。提出するのは被保険者で、事業主を経由するという指定はありません。両方の勤務先の報酬を知っているのは本人だけだからです。
この届出をすると、2社の報酬月額を合算して1つの標準報酬月額を決め、保険料をそれぞれの報酬額の割合で按分します。出していなければ、この計算は始まりません。自分の届出状況や保険料の内訳は、勤務先の担当部署または管轄の年金事務所にご確認ください。
参考資料
- 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
- 日本年金機構「70歳以上で複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
- 日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」
- 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)の氏名に変更があったときの手続き」
- 日本年金機構「70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き」
- LIMO「2つの会社から厚生年金保険料が引かれるのは二重払い?二以上事業所勤務の按分計算と10日以内の届出義務を丁寧に整理して解説します」
LIMO編集部社会保障解説班