社会保険の手続きは会社がやってくれるもの、と思っている人は多いはずです。
ところが届出のなかには、被保険者本人が出さなければならないものがあります。期限も他とは違います。
この記事では、日本年金機構の資料をもとに届出ごとの期限と提出する人を確認したうえで、届け出ると保険料がどう決まるのかを見ていきます。
1. 【健康保険・厚生年金保険】届出には5日以内と10日以内がある
健康保険・厚生年金保険の届出は、事実が発生してから何日以内という形で期限が決まっています。日数は一律ではありません。
1.1 会社が出すものは5日以内
日本年金機構によると、被保険者資格取得届は事実発生から5日以内に事業主が提出します。従業員が退職・死亡したときの被保険者資格喪失届も、同じく事実発生から5日以内です。
家族を被扶養者にするときの届出も事実発生から5日以内ですが、こちらは被保険者が事業主を経由して提出する形になっています。被扶養者の削除、つまり非該当になったときは「その都度」で、日数の定めがありません。
ここまでの3つは、提出先がいずれも事務センターまたは管轄の年金事務所です。
日数の定めは5日以内と10日以内の2種類。10日以内はこのなかの1つだけです1/2
出所:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」(2025年12月25日更新)ほか各手続きページをもとにLIMO編集部作成
1.2 日数が書かれていないものもある
被保険者の氏名に変更があったときは、そもそも原則として手続きが不要です。マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方、協会けんぽのみに加入している方などに限って届出が必要で、その場合の提出時期が「速やかに」とされています。
70歳以上の方が厚生年金保険に加入する高齢任意加入の申出も、提出時期は「任意」です。しかもこちらは被保険者本人が提出し、提出先は事業所の所在地を管轄する年金事務所とされています。届出の性格によって、期限の書き方も出す人も提出先も変わります。
1.3 1つだけ10日以内のものがある
そのなかで、被保険者所属選択・二以上事業所勤務届だけは事実発生から10日以内です。日数の定めがある届出のうち、10日以内はこれひとつになります。
提出するのも被保険者です。被扶養者(異動)届も提出者は被保険者ですが、こちらは事業主を経由すると明記されています。二以上事業所勤務届にその指定はなく、被保険者が日本年金機構へ提出すると書かれているだけです。
複数の適用事業所に同時に使用されることになった場合に出す届出で、これによって主たる事業所を選択し、管轄する年金事務所または保険者等を決めます。提出先は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所です。
2. なぜ本人が出すことになっているのか
ほかの届出との違いには理由があります。
2.1 会社は片方しか知らない
複数の事業所で働いている場合、それぞれの会社が把握しているのは自社で支払っている給与額だけです。もう一方の勤務先の報酬額までは分かりません。
両社の情報をつなげられるのは本人だけ、という構造になっています。だから提出者が被保険者と決まっています。
2.2 選択した事業所が窓口になる
届出をすると、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターがその被保険者に関する事務を行うことになります。決定した標準報酬月額と保険料額は、そこからそれぞれの事業所へ通知されます。
健康保険組合に加入している事業所を選択した場合は、加入先の健康保険組合にも手続きが必要です。国や地方公共団体等の短時間勤務職員で共済組合制度(短期給付)の適用を受ける場合は、厚生年金保険の被保険者となる場合を除いて、国等の事業所を選択する必要があります。
なお、保険料の合算と按分の流れについては、LIMOの記事「2つの会社から厚生年金保険料が引かれるのは二重払い?二以上事業所勤務の按分計算と10日以内の届出義務を丁寧に整理して解説します」より一部を引用・参照しています。
