2. 受け取ったあと、どこに置くか

1000万円を超える金額が一度に入金されると、銀行から専用の商品を案内されることがあります。

窓口での注意点は、LIMOの記事「退職金をすぐ銀行の「高金利プラン」で運用するのは?窓口での注意点と新NISA時代に老後資金を減らさない3つの資産防衛策」から要点を借りて確認します。

2.1 退職金口座は狙われやすい

まず何が起きるかです。

LIMOの記事「退職金をすぐ銀行の「高金利プラン」で運用するのは?窓口での注意点と新NISA時代に老後資金を減らさない3つの資産防衛策」は、退職金口座を狙われやすいターゲットだと表現しています。まとまった金額が入金された時点で、金融機関側から見て分かる状態になるためです。

案内されるのは、退職金専用の特別金利定期預金や、定期預金と投資信託を組み合わせたセットプランです。同記事は、これらをすぐに契約するのは危険だとしています。

2.2 年3.0%の表示には期間の条件がある

特別金利の中身です。

「退職金限定!特別金利定期預金 年3.0%」といった広告を見ると、1000万円預ければ30万円の利息がもらえると期待してしまいがちです。しかし、商品概要の注意書きを確認する必要があります。

出所:LIMO「退職金をすぐ銀行の「高金利プラン」で運用するのは?窓口での注意点と新NISA時代に老後資金を減らさない3つの資産防衛策」

同記事は、この年3.0パーセントという表示が3か月満期を前提にしたものである点を挙げています。年利の表示でも、適用される期間が3か月なら受け取る利息は年間分ではありません。

2.3 セットプランには手数料の構造がある

組み合わせ商品にも注意点があります。

同記事によると、窓口で勧められる定期預金と投資信託のセットプランは、定期預金の高い金利と引き換えに、同時に購入する投資信託の購入時手数料が発生する構造になっています。

定期預金で受け取る利息より、投資信託の手数料のほうが大きくなる場合があるという指摘です。金利の数字だけを見て判断すると、全体では持ち出しになることがあります。

2.4 2000万円を1つの銀行に置くとペイオフの上限を超える

預け先を分ける理由もあります。

A. ペイオフ(預金保険制度)の観点からリスクが存在します。万が一、その銀行が破綻した場合、保護されるのは「元本1000万円までとその利息」となります。残りの1000万円部分は破綻した銀行の財産状況に応じて削られる可能性があります。2000万円以上の退職金を現金で保管する場合は、2つ以上の異なる金融機関(例:1000万円ずつ)に分けて預け入れるのがリスクの低い管理方法です。

出所:LIMO「退職金をすぐ銀行の「高金利プラン」で運用するのは?窓口での注意点と新NISA時代に老後資金を減らさない3つの資産防衛策」

統計で見た定年退職者の平均額は大学・大学院卒で1896万円でしたが、退職金以外の預金と合わせれば1000万円を超える人は少なくありません。同記事は、複数の銀行に分散して預け入れるのが基本動作だとしています。

2.5 投資に回す分も一度に入れない

運用する場合の入れ方です。

同記事は、2000万円の退職金のうち増やすお金として600万円を投資に回すと決めた場合でも、一度に600万円分の投資信託を購入するような行為には注意が必要だと述べています。

購入のタイミングを分けることで、価格が高いときにまとめて買ってしまう事態を避けられるという整理です。時期を分散させる考え方が挙げられています。

2.6 使う時期でお金を分けてから決める

判断の順序も示されています。

同記事は、退職金を受け取ったらまず使う時期でお金を分けることをすすめています。当面の生活費として使うお金、数年以内に使う予定があるお金、当面使う予定のないお金に分け、それぞれで置き場所を変えるという考え方です。

個人向け国債の変動10年についても、金利上昇局面での安全性という観点から選択肢の1つとして挙げられています。円定期預金にはペイオフの1000万円という上限があるという整理と合わせて、商品ごとのリスクとリターンを比較する形になっています。

同記事は、窓口で勧められた商品をその場で決めず、いったん持ち帰って比較することを防衛策としています。

3. 支給の実態と、置き方の判断を分けて確かめる

ここまで、退職給付の支給実態と、受け取ったあとの置き方を見てきました。

統計の側は、退職給付制度がある企業で勤続20年以上かつ45歳以上の退職者がいた企業割合が29.2パーセント、退職事由は定年56.5パーセント・自己都合31.7パーセント・会社都合6.1パーセント・早期優遇5.7パーセントです。定年退職者の1人平均退職給付額は大学・大学院卒の管理・事務・技術職1896万円、高校卒の管理・事務・技術職1682万円、高校卒の現業職1183万円で、どの学歴でも早期優遇が最も高くなっています。

置き方の側は、退職金専用の特別金利定期預金の年利表示には満期までの期間という条件が付くこと、定期預金と投資信託のセットプランには購入時手数料の構造があること、預金保険で保護されるのは1金融機関につき元本1000万円までとその利息であることの3点です。

まずは自分の勤め先に退職給付制度があるか、どの事由で辞めることになるかを規程で確かめるところからになります。実際の支給額と受け取り方は勤務先の人事・総務に、商品の条件は金融機関の窓口にご確認ください。

参考資料

LIMO編集部家計解説班