2. 名前の似た児童手当とは、どこが違うのか

児童扶養手当と児童手当は名前が2文字違うだけですが、対象にしている世帯も振り込まれる月も別に設計されています。両方受け取れるのかという点にも決まりがあります。

児童手当との対象者・支給月・併給調整の違いは、LIMOの記事「児童手当と児童扶養手当は名前が似ているから同じ制度だと思われがちだが、実際は対象者・支給月・年金との併給調整まで別物。違いをこども家庭庁の情報にもとづき解説」から要点を借りて確認します。

2.1 対象にしている世帯像がそもそも違う

まず対象の範囲からです。

同記事によると、児童手当は令和6年10月分からの制度改正により、高校生年代の子どもを養育するすべての家庭が対象になる全国一律の国の制度です。一方の児童扶養手当は、離婚などにより父または母と生計を同じくしていない児童を養育する、ひとり親世帯を主な対象にした制度だと整理されています。

同記事は、名前が似ているから児童手当をもらっていれば児童扶養手当は関係ないと考えていると、実際にはひとり親世帯であれば両方の対象になり得ることを見落としがちだと述べています。そもそも対象にしている世帯像が異なるという指摘です。

1ページ目で見たとおり、児童扶養手当の支給要件には離婚だけでなく死亡や一定程度の障害の状態も含まれます。ひとり親という言葉だけで判断すると、要件の幅を狭く見てしまうことになります。

2.2 振り込まれる月が偶数月と奇数月で分かれている

支給の月も重なりません。

こども家庭庁の資料によると、児童手当は毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月(偶数月)に、それぞれ前月までの2か月分をまとめて支給する仕組みです。一方、児童扶養手当は毎年1月・3月・5月・7月・9月・11月(奇数月)に支給されます。

出所:LIMO「児童手当と児童扶養手当は名前が似ているから同じ制度だと思われがちだが、実際は対象者・支給月・年金との併給調整まで別物。違いをこども家庭庁の情報にもとづき解説」

同記事は、どちらの手当も同じ月にまとめて振り込まれるはずと思っていると、実際には偶数月と奇数月で交互に振り込まれる形になり、家計の管理をする上で振込月のズレに戸惑うことがあると述べています。両方を受け取っている家庭は、毎月何らかの手当が振り込まれる計算になるという整理です。

要件を満たせば両方受け取れるが、申請はそれぞれ別に必要になる2/2

児童手当と児童扶養手当について、対象・支給月・所得による区分・公的年金との調整・実施主体を並べて比べた表

出所:こども家庭庁「児童扶養手当について」同「児童手当制度のご案内」をもとにLIMO編集部作成

2.3 要件を満たせば両方受け取れるが、年金との調整はある

併給の扱いには2つの側面があります。

児童手当と児童扶養手当は、それぞれ別の制度であるため、要件を満たせば基本的に両方受け取ることができます。一方で、児童扶養手当は、遺族年金・障害年金・老齢年金といった公的年金を受け取っている場合、年金額との間で併給調整が行われる仕組みになっています。

出所:LIMO「児童手当と児童扶養手当は名前が似ているから同じ制度だと思われがちだが、実際は対象者・支給月・年金との併給調整まで別物。違いをこども家庭庁の情報にもとづき解説」

同記事は、ひとり親で年金も受け取っているから児童扶養手当は全額もらえないはずと単純に諦めていると、年金額によっては差額分の児童扶養手当を受け取れる場合があることを見落としがちだと述べています。年金と児童扶養手当の併給調整は年金の種類や金額によって計算が変わるため、年金をもらっているから対象外と自己判断せず、窓口で実際に受け取れる金額があるかを確認することをすすめるという整理です。

この差額の考え方はこども家庭庁も示しています。かつては公的年金を受給する方は児童扶養手当を受給できませんでしたが、平成26年12月以降は、年金額が児童扶養手当額より低い方はその差額分の児童扶養手当を受給できるようになったとされています。

1ページ目で見た改正経緯にも、令和3年3月分手当からひとり親の障害年金受給者についての併給調整の方法が見直されたことが挙げられています。年金を受給している場合の扱いは、過去に変更が入っている部分です。

2.4 申請は別々で、片方の手続きでは連動しない

手続きが自動でつながることはありません。

同記事によると、児童手当は子どもが生まれたときや他の市区町村から転入したときに、現住所の市区町村へ認定請求書を提出することで手続きが始まります。児童扶養手当も同様に市区町村への申請が必要で、児童手当の手続きをしたからといって自動的に認定されるわけではないとされています。

児童手当の手続きをしたのだからひとり親向けの手当も自動的に始まるはずと思い込んでいると、実際には別途申請しない限り児童扶養手当を受け取れないまま何か月も過ぎてしまうことがあると同記事は述べています。離婚や別居など状況が変わったタイミングでは、両方の制度について窓口に確認しておくことが大切だという指摘です。

実務上の注意として、児童扶養手当は自動的に支給が始まる制度ではなく市区町村への申請が必要であり、離婚成立後に児童手当の手続きだけで満足してしまって児童扶養手当の申請自体を忘れているケースを見かけるとも書かれています。

2.5 申請が遅れた分はさかのぼって受け取れないのが一般的

遅れた場合の扱いも共通しています。

同記事は、申請が遅れると遡って支給されるのは原則として申請月の翌月分からで、それより前の月分はさかのぼって受け取れないことが一般的だとしています。状況が変わったら、できるだけ早く窓口で手続きを済ませておくことをすすめるという整理です。

児童扶養手当は所得によって全部支給・一部支給・支給停止に分かれるため、年によって世帯の所得状況が変われば受け取れる金額が変わることもあると同記事は述べています。現況届の時期には、前年の所得状況を早めに確認しておくとよいという指摘です。

1ページ目で見たとおり、所得限度額は前年の所得に基づき算定されます。今年の収入が下がったからすぐに全部支給になるわけではなく、判定に反映されるまでの時間差を前提に見ておく必要があります。

名前が似ているから同じような制度という思い込みは、対象者と支給月のどちらを見ても当てはまらないと同記事は結んでいます。年金を受け取っている場合も自己判断で対象外と決めつけず、市区町村の窓口で実際の受給可否を確認してみることをすすめています。

3. 全部支給と一部支給の段と、児童手当との別立てを押さえる

ここまで、児童扶養手当の支給の枠組みと、児童手当との違いを見てきました。

制度の側は、支給対象が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(障害児は20歳未満)の児童を監護する母等、令和8年4月から月額で全部支給4万8050円・一部支給4万8040円から1万1340円、加算額が児童2人目以降1人につき全部支給1万1350円・一部支給1万1340円から5680円、所得制限限度額が収入ベースで2人世帯の全部支給190万円・一部支給385万円、支給期月が奇数月の年6回、実施主体が都道府県・市・福祉事務所設置町村という形でした。

令和6年11月1日の改正では、所得限度額が収入ベースでお子様1人の場合に全部支給160万円から190万円・一部支給365万円から385万円へ引き上げられ、第3子以降の加算額が全部支給6450円から1万750円へ引き上げられて第2子と同額になりました。11月分と12月分は令和7年1月に支払われています。

児童手当との関係は、対象が全世帯かひとり親世帯か、支給月が偶数月か奇数月か、そして児童扶養手当には公的年金との併給調整があるという3点で分かれ、申請はそれぞれ別に必要という整理でした。

自分の場合にいくら受け取れるか、年金を受給していても受け取れる分があるかは個別の判定になります。手当額や所得限度額の具体的な当てはめと申請の手続きについては、お住まいの都道府県・市・福祉事務所設置町村のひとり親家庭の担当窓口にご確認ください。

参考資料

LIMO編集部家計解説班