児童扶養手当は月額がいくら、と一つの数字で語られることが多い手当です。ただ、実際の金額は前年の所得によって全部支給と一部支給に分かれ、一部支給の側には4倍以上の幅があります。
こども家庭庁の児童扶養手当制度の概要によると、令和8年4月からは全部支給が月額4万8050円、一部支給が月額4万8040円から1万1340円です。所得限度額は収入ベースで、2人世帯の全部支給が190万円、一部支給が385万円とされています。
この記事では支給対象と要件、令和8年4月からの手当額と加算額、所得限度額、そして令和6年11月の改正で何が引き上げられたのかを順に確認します。
1. 【児童扶養手当】令和8年4月からは全部支給4万8050円、一部支給は4万8040円から1万1340円まで開く
まず、誰に支給される手当なのかを確かめます。
1.1 支給対象は18歳の年度末までの児童を監護する母等
対象の範囲が年齢で区切られています。
こども家庭庁の児童扶養手当制度の概要によると、支給対象者は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を監護する母等です。障害児の場合は20歳未満とされています。
区切りになるのは誕生日ではなく年度末です。18歳になった後も、その年度が終わるまでは対象に含まれる形です。障害児については別に20歳未満という枠が置かれています。
1.2 支給要件は父母の離婚・死亡・障害・生死不明など
どういう状況が要件になるのかが示されています。
支給要件は、父母が婚姻を解消した児童、父又は母が死亡した児童、父又は母が一定程度の障害の状態にある児童、父又は母の生死が明らかでない児童等を監護していることとされています。
離婚だけが要件ではありません。死亡、一定程度の障害の状態、生死が明らかでないという場合も並べられています。
こども家庭庁は事業の目的を、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当を支給し、児童の福祉の増進を図ることだとしています。
1.3 令和8年4月からは全部支給が4万8050円
手当額は前年の所得で2つに分かれます。
令和8年4月から、月額は全部支給が4万8050円、一部支給が4万8040円から1万1340円と示されています。
全部支給と一部支給の上限はわずか10円差です。一方で一部支給の下限は1万1340円で、上限との差は4倍以上に開きます。所得によって受け取る額が大きく動く設計だということです。
1.4 令和7年度からの引き上げ幅も示されている
前年度との比較も併記されています。
令和7年度単価は全部支給が4万6690円、一部支給が4万6680円から1万1010円でした。令和8年4月からの見込額と比べると、全部支給は1360円の引き上げになります。
毎年度の単価が改定される仕組みです。一つの数字を覚えておくのではなく、どの年度の額なのかを確かめる必要があります。
1.5 加算額は児童2人目以降1人につき付く
子どもの人数による上乗せもあります。
加算額は児童2人目以降1人につき、令和8年4月から全部支給が1万1350円、一部支給が1万1340円から5680円です。令和7年度単価は全部支給が1万1030円、一部支給が1万1020円から5520円でした。
1人目の分が本体の手当額で、2人目以降にこの加算が積まれる形です。加算額も全部支給か一部支給かで変わり、一部支給の側には幅があります。
1.6 所得限度額は収入ベースで2人世帯の全部支給が190万円
支給の可否と段は所得で判定されます。
所得制限限度額は収入ベースで、前年の所得に基づき算定されます。2人世帯の場合、全部支給が190万円、一部支給が385万円と示されています。
収入190万円までが全部支給、385万円までが一部支給という区切りです。この2つの線をまたぐかどうかで、受け取る額が段で変わります。
限度額の判定は前年の所得に基づくため、今年の収入がすぐ反映されるわけではありません。状況が変わってから金額に効いてくるまでに時間差があることになります。
1.7 判定そのものは所得ベースで決まっている
収入ベースの金額には注意点があります。
限度額は所得ベースで定められていて、収入ベースの金額はそこから換算した目安です。給与所得控除の計算が変われば、所得ベースの線が同じでも収入ベースの数字だけが動きます。
所得ベースでは、扶養する児童等の数が0人で69万円、1人で107万円、2人で145万円が全部支給の線です。源泉徴収票や課税証明書と突き合わせるときは、収入額ではなく所得額で見ておくほうが確実です。
1.8 支給期月は年6回で奇数月
振り込まれる回数も定められています。
支給期月は1月、3月、5月、7月、9月、11月です。年6回で、いずれも奇数月にあたります。
毎月入るのではなく、2か月分がまとめて奇数月に入る形です。こども家庭庁の改正経緯によると、支払回数を年3回から年6回に見直したのは令和元年11月分手当からとされています。
1.9 実施主体は都道府県・市・福祉事務所設置町村
手続きの相手も確かめておきます。
実施主体は都道府県、市、福祉事務所設置町村です。補助率は国が3分の1、都道府県・市・福祉事務所設置町村が3分の2とされています。
町村の場合は、福祉事務所を設置しているかどうかで窓口が変わることになります。児童手当が市区町村を実施主体としているのとは区分が違います。
受給者数は令和7年3月時点で77万7962人で、内訳は母が73万8913人、父が3万5915人、養育者が3134人と示されています。児童扶養手当給付費負担金の令和8年度予算は1532億円で、前年度の1530億円から増えています。
1.10 令和6年11月の改正で所得限度額と第3子以降の加算額が上がった
直近の改正がどこに効いたのかを確かめます。
こども家庭庁のページには、令和6年11月1日から児童扶養手当法等の一部が改正され、所得限度額と第3子以降の加算額が引き上げられると記載されています。
所得限度額については、収入ベースでお子様1人の場合、全部支給が160万円から190万円に、一部支給が365万円から385万円に引き上げられました。扶養する児童等の数が0人なら全部支給が122万円から142万円、2人なら215万7000円から244万3000円という具合に、人数ごとに幅が示されています。
第3子以降の加算額については、これまで全部支給6450円、一部支給6440円から3230円だったものが、令和6年11月分から全部支給1万750円、一部支給1万740円から5380円に引き上げられ、第2子の加算額と同額になりました。子どもの人数による段差が1か所減ったことになります。
適用と支払いの時期はずれます。令和6年11月分の手当から引き上げが適用されますが、同年11月分及び12月分の手当については、2か月分の支給月である令和7年1月に支払われるとされています。
改正経緯としては、平成28年8月分手当からの多子加算額の倍増、平成30年8月分手当からの全部支給の所得制限限度額の引き上げ、令和元年11月分手当からの支払回数の見直し、令和3年3月分手当からのひとり親の障害年金受給者についての併給調整の方法の見直し、そして令和6年11月分手当からの所得制限限度額の引き上げと第3子以降の多子加算額の増額が並べられています。
ところで、この手当は名前の似た児童手当とどう違うのでしょうか。両方受け取れるのかという点も含めて確かめます。
なお、児童手当との対象者・支給月・併給調整の違いについては、LIMOの記事「児童手当と児童扶養手当は名前が似ているから同じ制度だと思われがちだが、実際は対象者・支給月・年金との併給調整まで別物。違いをこども家庭庁の情報にもとづき解説」から一部を引用・参照しています。
