「同じ3人育てているのに、うちだけ児童手当が少ない」——そんな声がSNS上で話題になります。この不公平感の正体は「第3子」の数え方そのものにあります。
この記事では、第3子加算がなぜ「ずるい」と言われるのか、その仕組みと年齢差のあるきょうだいで何が起きるのかを、公式資料にもとづき整理します。
1. 児童手当の「第3子」は、生まれた順番の3番目ではない
まず意味を確認します。
1.1 「22歳年度末までに養育している子」のうち3番目という基準
こども家庭庁の資料によると、第3子以降の加算の判定では、22歳に達した後の最初の3月31日までの子を、上から第1子・第2子・第3子と数えます。「生まれた順で3番目」という意味ではありません。
「3人産んだから加算はずっと続くはず」と考えていると、上の子が22歳年度末を過ぎた瞬間に、数え方の土台が変わることを見落としがちです。
2. 【編集者の視点】
2024年10月の改正で、年齢基準は「18歳到達後の最初の年度末まで」から「22歳到達後の最初の年度末まで」に延長されました。延長は対象拡大の方向ですが、上の子が22歳年度末を超えるタイミングが分岐点であることは変わりません。
※本記事は、編集部がこども家庭庁・自治体が公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・検証しています。
3. 「ずるい」と言われる理由は、年齢差できょうだいの繰り上がりが起きるから
なぜ不公平感につながるのか、具体的に見ていきます。
3.1 上の子が22歳年度末を過ぎると、下の子が繰り上がる
大阪市の案内によると、上の子がこの年齢基準を超えると、それまで第2子・第3子だった子が、それぞれ第1子・第2子へと繰り上がります。第3子だった子が第2子扱いになると、手当額は月3万円から月1万円へ減額されます。「上の子が独立したくらいでは変わらないはず」というのが実際とは異なる思い込みです。
3.2 【20歳・15歳・10歳の3人を養育する世帯の第3子カウント】
- 18歳年度末までの基準(改正前):10歳の子は第2子扱いで月1万円
- 22歳年度末までの基準(改正後):10歳の子は第3子扱いで月3万円
4. 年間で見ると、月2万円の差は年24万円の差になる
どれくらいの金額差になるのか試算します。
4.1 編集部試算:月2万円の差が1年続いた場合
第3子扱いから第2子扱いに繰り上がると、月額は3万円から1万円になり、差額は月2万円です。1年続くと差額は2万円×12か月=24万円になり、複数年積み重なれば100万円を超える差にもなり得ます。
4.2 【第3子扱い→第2子扱いに繰り上がった場合の年間差額試算】
- 第3子扱いのときの月額:3万円
- 第2子扱いに繰り上がった後の月額:1万円
- 月額差2万円×12か月の年間差額:24万円
5. 大学生の子がいても、手続き次第で繰り上がりを防げる場合がある
実は手続き次第で防げるケースもあります。
5.1 「監護相当・生計費の負担についての確認書」の提出が必要
日立市の案内によると、大学生年代の子をカウントすることで下の子が新たに第3子加算の対象になる場合は、「監護相当・生計費の負担についての確認書」の提出が必要です。「大学生になれば自動的にカウントから外れる」と考えていると、確認書を出せば22歳年度末まで継続できる場合があることを見落としがちです。
6. 【編集者の視点】
上の子の高校卒業は、進学・引っ越しなど確認すべきことが重なりやすい時期で、確認書の提出は後回しにされがちな手続きの1つです。
児童手当の所得制限や支給額の基本的な仕組みは、所得制限の年収ラインを整理した別記事もあわせて確認してみてください。
7. まとめ
- 児童手当の「第3子」は、生まれた順ではなく「22歳年度末までに養育している子」のうち3番目という基準で数えます。
- 上の子が22歳年度末を過ぎると、下の子が繰り上がり、月3万円だった手当が月1万円に減額されます。
- この繰り上がりによる差額は、1年で24万円、複数年続けばさらに大きな金額になります。
- 大学生年代の子がいる場合、「監護相当・生計費の負担についての確認書」を提出すれば、カウントを継続できる場合があります。
不公平感の背景には、生まれた順ではなく年齢基準による数え方があると考えられます。
8. よくある質問
8.1 Q. 児童手当の「第3子」とはどういう意味ですか。
A. 生まれた順の3番目ではなく、22歳に達した後の最初の3月31日までの子のうち、上から数えて3番目にあたる子を指します。
8.2 Q. なぜ「ずるい」と言われるのですか。
A. 上の子が22歳年度末を過ぎると下の子が繰り上がり、年齢差で手当の総額に差が生じるためです。
8.3 Q. 繰り上がると手当額はどう変わりますか。
A. 月額は3万円から1万円に減額されます。
8.4 Q. 年間ではどれくらいの差になりますか。
A. 月2万円の差が12か月続くと、年間24万円になります。
8.5 Q. 大学生の子がいる場合、カウントから外れてしまいますか。
A. 「監護相当・生計費の負担についての確認書」を提出すれば、22歳年度末まで含められる場合があります。
8.6 Q. 確認書は誰が提出する必要がありますか。
A. 大学生年代の子を養育し、その子をカウントすることで下の子が新たに第3子加算の対象になる世帯などです。窓口や書式は自治体ごとに異なります。
8.7 Q. この年齢基準はいつから22歳年度末に変わったのですか。
A. 2024年10月の改正で「18歳到達後の最初の年度末まで」から延長されました。
参考資料
齊藤 慧
