4. 児童手当との違いを整理する

ここまで見てきた児童扶養手当は、名前がよく似た「児童手当」とはまったく別の制度です。両方の名前を見聞きして混同している人も多いため、違いを整理しておきます。

4.1 所管は同じでも、対象は大きく異なる

児童手当と児童扶養手当は、現在はどちらもこども家庭庁が所管する制度です。かつて児童扶養手当は厚生労働省が担っていましたが、こども家庭庁の発足にともない、いまは児童手当と同じくこども家庭庁の所管に一本化されています。

それでも、対象になる世帯まで同じというわけではありません。児童手当は0歳から高校生年代までの子を養育するすべての世帯が対象で、所得制限は令和6年10月分から撤廃されています。一方の児童扶養手当は、ひとり親家庭など特定の事情がある世帯に限られ、所得制限もあるため、児童手当よりも対象が絞られた制度だといえます。実際の申請窓口は、どちらも居住する市区町村です。

4.2 支給額や支給月も違う

支給額にも違いがあります。児童手当は3歳未満が月額1万5000円、3歳から高校生年代までが月額1万円で、第3子以降はいずれも月額3万円です。児童扶養手当は前述の通り、児童1人で全部支給の場合が月額4万8050円で、所得に応じて段階的に減額されます。

支給月も異なります。児童手当が偶数月に年6回支給されるのに対し、児童扶養手当は奇数月に年6回支給されます。どちらも自分の家庭がいつ・いくら受け取れるのかを、それぞれ別々に確認しておく必要があります。

4.3 要件を満たせばそれぞれに申請できる

児童手当と児童扶養手当は、所管も目的も異なる別々の制度として運用されています。そのため、児童扶養手当を受け取っている世帯であっても、児童手当の対象年齢や要件を満たしていれば、児童手当もあわせて申請できるのが基本的な考え方です。

ただし、公的年金など他の制度との間には、児童扶養手当額を上回らないよう調整する規定が設けられている場合があります。世帯の状況によって扱いが変わることもあるため、実際に両方を受け取れるかどうかは、児童手当・児童扶養手当それぞれの窓口となる市区町村に個別に確認しておくと確実です。

和田直子

児童手当と児童扶養手当は、名前も振込のタイミングも似ているため、家計簿の上でも一緒くたに考えてしまいがちです。しかし振込元の制度が違う以上、片方の制度でルールが変わっても、もう片方には影響しないことがあります。

それぞれの支給決定通知書や振込明細を見比べて、どちらの制度からいくら入っているのかを分けて把握しておくと、制度改正があったときにも落ち着いて対応できます。

5. 受け取る前に知っておきたい注意点

実際に児童扶養手当を受け取り続けるうえでは、支給日や金額以外にも意識しておきたい手続きがあります。

5.1 現況届の提出を忘れると支給が止まる

児童扶養手当は、毎年決まった時期に「現況届」を提出し、引き続き受給要件を満たしているかどうかの確認を受ける必要があります。この届出を提出しないと、11月分以降の手当が受け取れなくなる場合があるため注意が必要です。

案内の通知が届いたら、忙しくても早めに窓口へ提出しておくと、支給が途切れる心配がなくなります。

5.2 所得や家族構成が変わったら届け出を

再婚や同居する家族の変化、所得の増減など、世帯の状況が変わったときは市区町村への届け出が必要です。届け出が遅れると、後日手当の返還を求められることもあります。

状況が変わりそうなときは、変わったあとに慌てるのではなく、事前に窓口へ相談しておくと手続きがスムーズです。

6. まとめ

児童扶養手当は、多くの自治体で奇数月の11日に年6回支給されます。11日が土日祝と重なる場合は、直前の金融機関営業日に前倒しで振り込まれる点も押さえておきたいポイントです。

支給額は児童1人で全部支給の場合に月額4万8050円が上限となり、所得や児童の人数に応じて金額が変わります。名前が似た児童手当とは所管も対象も支給月も異なる別の制度であり、要件を満たせばそれぞれに申請できるのが基本的な考え方です。

現況届の提出など、受け取り続けるために必要な手続きも忘れずに、自分の世帯がどの制度の対象になるのかを一度整理しておきましょう。

参考資料

和田 直子