3. 火葬にかかる費用は条例の額を超えた分が基準額に加算される

葬祭扶助の基準額には、上乗せの仕組みが2つ用意されています。1つめが火葬に関する加算です。

条件は2段階になっています。まず葬祭に要する費用の額が基準額を超える場合であること、そのうえで葬祭地の市町村条例に定める火葬に要する費用の額が、一定の額を超えることです。

一定の額とは、1級地および2級地では大人600円・小人500円、3級地では大人480円・小人400円です。これを超えるときは、その超える額が基準額に加算されます。

火葬料は自治体の条例で決まるため地域差があります。その差を基準額の側で吸収するための仕組みです。

4. 死体の運搬にかかる費用にも加算の仕組みがある

2つめは、死体の運搬に関する加算です。

こちらも葬祭に要する費用の額が基準額を超える場合が前提で、自動車の料金その他死体の運搬に要する費用の額が、1級地および2級地では1万9220円、3級地では1万3630円を超えるときが対象になります。

加算されるのは、2万8460円から上記の額を控除した額の範囲内で、超える額です。無制限に加算されるわけではなく、上限のある計算になっています。

5. 遺留した金銭や有価証券は葬祭費用に充てられる

生活保護法第76条は、遺留金品の処分について定めています。

第18条第2項の規定により葬祭扶助を行う場合、保護の実施機関はその死者の遺留の金銭および有価証券を保護費に充て、なお足りないときは遺留の物品を売却してその代金を充てることができるとされています。

亡くなった方に預貯金や現金が残っていれば、まずそれを葬祭の費用に充てるという考え方です。第18条第2項の2つめの場合に「その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき」と書かれているのも、同じ考え方にもとづいています。

6. 生活保護は原則として申請にもとづいて開始する

葬祭扶助を含め、生活保護の手続きの入口は申請です。

生活保護法第7条は、保護は要保護者、その扶養義務者またはその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとすると定めています。

ただし但し書きがあり、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても必要な保護を行うことができるとされています。

葬儀の手配は日程が短く、判断を急ぎがちな場面です。まず葬祭地の福祉事務所に連絡し、対象になるかどうかを確かめてから進めると、あとから食い違いが起きにくくなります。

7. まとめ

葬祭扶助は、亡くなった方本人ではなく葬祭を行う人に対して支給される扶助です。

対象になるのは、被保護者が死亡して葬祭を行う扶養義務者がないときと、死者に葬祭を行う扶養義務者がなく遺留した金品で費用を満たせないときの2つの場合です。

基準額は1級地および2級地で大人22万2000円以内、小人17万7600円以内、3級地で大人19万4300円以内、小人15万5400円以内と定められています。

火葬料や運搬費については加算の仕組みもあります。対象になるかどうかは条文で決まっているので、判断に迷ったら葬祭地の福祉事務所に相談してみてください。

参考資料