4. 【元銀行員の視点】勤務地が変わると、額面と手取りは同じ幅では動かない
地域手当の支給割合の差は、そのまま額面の差になります。ただ、口座に振り込まれる金額の差は、それより小さくなります。
4.1 地域手当は俸給とは別に計算される
地域手当は俸給などに上乗せされる手当で、俸給表の額そのものが変わるわけではありません。同じ級・同じ号給でも、勤務地が違えば月々の支給額が変わります。
給与明細では俸給と手当が別の行に並びます。転勤の前後で比べるときは、どの行が動いたのかを確かめると原因がつかみやすくなります。
4.2 額面が増えれば社会保険料や所得税・住民税も増える
共済組合の保険料や厚生年金保険料は、標準報酬月額をもとに計算します。地域手当も報酬に含まれるため、額面が上がれば保険料も上がる方向に動きます。
所得税は月々の給与から源泉徴収され、住民税は前年の所得をもとに翌年度に課税されます。額面の増え方と手取りの増え方がずれるのは、この仕組みによるものです。
5. 地域手当が変わる異動を控えたときに、順番に見ておきたいこと
勤務地が変わる可能性がある場合、手当の割合だけを見て判断すると見通しを誤ります。確認する順番を決めておくと整理しやすくなります。
5.1 異動保障の期間は異動から3年間
人事院の地域手当の運用では、支給割合の高い地域から低い地域へ異動した場合に、3年間の支給保障が定められています。第10表で内数として示された3万7900人には、この保障を受けている職員が含まれます。
保障期間が終わると、異動先の区分に応じた支給割合が適用されます。3年目までの給与水準を前提に家計を組んでいると、4年目以降に手取りが変わる可能性があります。
5.2 級地区分の再編にともなう経過措置が進んでいる
地域手当の級地区分は、令和6年の人事院勧告を受けた給与法の改正により、7区分から5区分に再編されました。支給割合が下がる地域には、段階的に引き下げる経過措置が設けられています。
第10表の注記には、段階的な見直しにより令和8年度に1パーセントの支給割合が適用される者がいると書かれています。自分が経過措置の対象なのか、今後の割合がどうなるのかは、公表資料だけでは判断できません。
地域ごとの級地は人事院規則で定められます。確定した扱いは勤務先の給与担当に確かめるのが確実です。
5.3 住まいにかかる費用は手当とは別に見積もる
支給割合の高い地域は、家賃や物価も高い傾向があります。手当が増えた分がそのまま家計の余裕になるとは限りません。
住居手当や公務員宿舎の利用条件は手当とは別の制度です。転居をともなう異動では、手当の増減と住居費の増減を分けて見積もっておくと判断しやすくなります。
6. まとめにかえて
令和8年調査では、地域手当の支給区分は1級地6万9683人から非支給地5万7722人まで6つに分かれ、支給区分がある地域に76.8%が勤務していました。
支給割合は1級地20%から5級地4%までで、算定の基礎となる額に調査の平均値を当てはめると1級地は7万5360円という試算になります。同じ調査の平均給与月額では、地域手当等が4万5518円と示されています。
まずは自分の勤務地がどの区分にあたるのかを給与明細と勤務先の資料で確かめるところから始めてみてください。額面と手取りのどちらで考えるかによって、見え方が変わってきます。
参考資料
中本 智恵