自分で書いた遺言書は、法務局に預けておくことができます。
法務省によると、自筆証書遺言書保管制度で遺言書を預けるときの手数料は、保管の申請1件(遺言書1通)につき3900円です。ただし用紙の余白が足りないと、書き直さない限り預かってもらえません。
この記事では手数料と様式のルールを確認したうえで、遺言書に添える財産目録のもとになる預貯金の分布を見ていきます。
1. 【自筆証書遺言書保管制度】法務局が自筆証書遺言を預かる仕組み
この制度で預かるのは、民法第968条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書に限られています。まず費用から確かめます。
1.1 保管の申請は1通につき3900円
出発点は、預けるときの費用です。
法務省は、遺言書の保管の申請の手数料を、申請1件(遺言書1通)につき3900円と示しています。手続きができるのは遺言者本人です。相続が始まった後、関係相続人等が請求する遺言書情報証明書の交付は1通につき1400円、遺言書が保管されているかどうかだけを確かめる遺言書保管事実証明書の交付は1通につき800円です。
閲覧の手数料は方法によって分かれます。モニターによる閲覧は1回につき1400円、原本の閲覧は1回につき1700円です。申請書等や撤回書等の閲覧は1件につき1700円とされています。
1.2 納付は収入印紙。撤回と変更の届出は手数料なし
払い方も決まっています。
法務省は、納付は収入印紙により行うとしています。収入印紙は手続きを行う遺言書保管所(法務局)で購入することができます。手続き当日、担当者からの指示があったら手数料納付用紙に貼付して納めます。
一方、遺言者による保管の申請の撤回や、住所等の変更の届出については手数料がかかりません。変更の届出は全国どこの遺言書保管所に対しても可能で、郵送でも行えます。
1.3 余白は上5ミリ・下10ミリ・左20ミリ・右5ミリ
ここでつまずく人がいます。
法務省は、用紙はA4サイズで、最低限、上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、左20ミリメートル、右5ミリメートルの余白をそれぞれ確保するよう求めています。これは法務局における遺言書の保管等に関する省令の別記第1号様式で定められた様式のルールです。
余白が確保されていない場合や、余白に1文字でも何らかの文字等がはみ出してしまっている場合は、書き直さなければ預かってもらえません。複数ページになるときは、各ページに「1/2」「2/2」のように総ページ数まで分かる形でページ番号を書き、番号も必ず余白の内側におさめます。ただし遺言書が1枚の場合は、ページ番号の記載は不要です。
1.4 A4片面のみ。ホチキスで綴じない
紙の使い方にも条件があります。
両面に記載して作成された遺言書は預かってもらえません。財産目録も同様です。複数ページある場合でもホチキス等で綴じず、スキャナで読み取るためすべてのページをバラバラのまま提出します。封筒も不要です。
財産目録は自書でなくてもよく、通帳のコピー等を添付する方法でも作成できます。その場合はその目録のすべてのページに署名押印が必要で、通帳のコピーなら銀行名、支店名、口座名義、口座番号等が分かるページをコピーします。
1.5 申請できるのは遺言者本人だけ。予約が必須
誰が行くのかも決まっています。
遺言書の保管の申請ができるのは遺言者本人のみで、代理人による申請や郵送による申請はできません。手続きには予約が必須です。申請先は遺言者の住所地、本籍地、または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所から選びます。
ただし2通目以降を追加で申請する場合は、最初に保管の申請をした遺言書保管所に対してしか行えません。当日は遺言書、保管申請書、住民票の写し等、顔写真付きの身分証明書、手数料を持参します。
1.6 手続きが終わると保管証を受け取る
終わったときに渡されるものがあります。
法務省は、手続き終了後に保管証を渡すとしています。保管証には遺言者の氏名、出生の年月日、手続きを行った遺言書保管所の名称、そして保管番号が記載されます。
保管証は再発行ができません。遺言書を預けていることを家族等に伝えるときは、保管証の写しを渡すなどすると確実だと案内されています。
1.7 相続開始後は家庭裁判所の検認が不要
この制度の大きな効果がここです。
法務省は、本制度に保管された遺言書については、相続開始後の家庭裁判所における検認が不要になるとしています。原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間管理されます。
データでも管理しているため、原本を保管している遺言書保管所にかかわらず、全国どこの法務局でもデータによる閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けられます。ただし原本の閲覧は、原本を保管している遺言書保管所でしかできません。
1.8 通知は2種類。指定者通知は3名まで
知らせが届く仕組みも用意されています。
ひとつは関係遺言書保管通知です。相続人等のうち誰か一人が閲覧をしたり遺言書情報証明書の交付を受けたとき、その他すべての関係相続人等に対して遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。特段の手続きは不要ですが、誰も閲覧等をしなければ通知はされません。
もうひとつは指定者通知です。遺言者が希望する場合に限り、あらかじめ指定した3名までに対して、法務局が戸籍担当部局との連携で死亡の事実を確認したときにお知らせが届きます。指定できるのは推定相続人や受遺者等、遺言執行者等に限られます。
1.9 2026年3月2日の省令改正で、手続きが使いやすくなった
制度は少しずつ手直しされています。
法務省によると、2026年3月2日(令和8年3月2日)に「法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第8号)が公布・施行されました。改正は3つです。
1つめはDV被害者の住所等の非表示措置の新設です。遺言書情報証明書や閲覧の画面に表示される遺言者の住所・本籍や、受遺者等・遺言執行者等の住所について、DV被害者やこれに準ずる方に被害が生ずるおそれがあるときは、表示しない措置を申し出られるようになりました。保管の申請と同時でも、すでに遺言書が保管されている場合でも申し出ができます。
2つめは請求書の記載事項・添付書類の省略の範囲の拡大です。請求書への遺言者の死亡日の記載や、死亡を証明する書類の添付を省略できる範囲が広がりました。
3つめは様式の簡素化です。申請書・届出書・請求書の様式から記名欄が削除され、遺言書が1枚の場合はページ番号の記載が不要になりました。これまでの様式も引き続き使用できます。
なお、2026年2月2日からは、保管申請の提出書類を電子メールで事前にチェックする試行の対象が39都道府県・68の遺言書保管所に広がっています。ご自身のケースの手続きは、最寄りの遺言書保管所にご確認ください。
貯蓄現在高の階級別分布や2つの統計の定義の違いに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

