年金の平均額というと「厚生年金は約15万円」といった数字が知られていますが、1歳ごとに見ると同じ15万円台のなかでも上下があります。

厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、平均年金月額が1歳刻みで載っています。65歳の厚生年金は14万9862円、89歳では16万6767円でした。

この記事では、2026年度の年金額をおさえたうえで、60歳から89歳までの平均年金月額を1歳ごとに確認していきましょう。

1. 2026年度の年金額と、国民年金・厚生年金の違い

一覧表を見る前に、それぞれの年金がどう決まるのかを整理しておきます。

1.1 1階部分の国民年金は全員が同じ保険料

国民年金の加入対象は、原則として国内に住む20歳以上60歳未満の全員です。

保険料は全員定額で、2026年度は月額1万7920円です。40年間すべて納めると満額を受け取れます。

2026年度の満額は月額7万608円です。昭和31年4月1日以前に生まれた方は月額7万408円になります。

1.2 2階部分の厚生年金は報酬で変わる

厚生年金の加入対象は、会社員や公務員のほか、特定適用事業所で働き一定の要件を満たしたパートの方などです。

国民年金に上乗せして加入する仕組みなので、厚生年金に加入している人は国民年金にも同時に加入しています。

保険料は報酬に応じて決まり、受け取る額も加入期間と納めた保険料によって変わります。同じ年齢でも個人差が出るのはこのためです。

2. 【60歳~69歳】65歳を境に大きく変わる平均年金月額

ここからが本題です。ここで紹介する厚生年金は、民間企業などに勤めていた人が受け取る厚生年金保険(第1号)で、国民年金部分を含む額になります。

2.1 65歳を境に金額が大きく変わる

60歳は厚生年金9万9664円、国民年金4万5186円です。61歳は10万4455円と4万6371円、62歳は10万9323円と4万7784円と続きます。

63歳になると厚生年金は6万8758円まで下がり、64歳は8万3901円です。

65歳では厚生年金14万9862円、国民年金6万1240円に上がります。66歳から69歳は厚生年金が15万1000円台から15万2000円台、国民年金は6万1000円前後で推移します。

2.2 64歳までの金額が少ないのには理由がある

老齢年金の受給開始年齢は原則として65歳です。

63歳と64歳で厚生年金の額が下がるのは、特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分だけを受け取り、老齢基礎年金をまだ受け取っていない人が多く含まれるためです。

60歳から62歳はそもそも受給者数が少なく、繰上げ受給をしている人などが中心になります。繰上げには減額率が適用されるので、国民年金の額も低めに出ています。

60歳から69歳の平均年金月額。65歳を境に金額が大きく変わる1/2

60歳から69歳の平均年金月額。65歳を境に金額が大きく変わる

出所:厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』をもとにLIMO編集部作成

3. 【70歳~89歳】年齢が上がると厚生年金が増える?国民年金との違い

続いて70歳代と80歳代を見ていきます。ここでは厚生年金と国民年金で逆の動きが出てきます。

3.1 厚生年金は年齢が上がるほど高い

70歳は厚生年金15万455円で、そこから73歳の14万5583円までいったん下がります。

75歳から79歳は15万1000円台から15万3000円台に戻り、80歳以降はさらに上がっていきます。

85歳は16万3947円、89歳は16万6767円です。65歳の14万9862円と比べると1万6905円の差があります。

3.2 国民年金は逆に下がっていく

国民年金は70歳の6万1011円から、年齢が上がるにつれてゆるやかに下がります。

75歳は5万9659円、80歳は5万8623円、89歳は5万8572円です。

厚生年金と国民年金で動きが逆になるのは、加入していた制度と当時の報酬水準、そして納付済期間の長さの違いが反映されているためと考えられます。

70歳から89歳の平均年金月額。厚生年金と国民年金で動きが逆になる2/2

70歳から89歳の平均年金月額。厚生年金と国民年金で動きが逆になる

出所:厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』をもとにLIMO編集部作成

4. 年間約42万円が上乗せ?65歳からの「加給年金」3つの条件

平均額のデータとは別に、ご自身の家計を考えるうえでぜひ知っておきたいのが、条件を満たすと65歳から年金額に上乗せされる「加給年金」という制度です。加給年金は、いわば年金における「家族手当」のようなものです。以下の主な条件を満たすと受給できます。

  1. 厚生年金の加入期間が20年以上あること
    ご自身が厚生年金保険に20年(240ヶ月)以上加入していることが大前提となります。
  2. 生計を維持している配偶者や子がいること
    65歳に到達した時点で、ご自身の収入で養っている配偶者または子がいる場合に加算されます。
  3. 配偶者や子の年齢要件を満たしていること
    配偶者は65歳未満であることが条件です。子は18歳に到達した年度の末日までが対象となります。

2026年度(令和8年度)の加給年金額は、配偶者がいる場合で年額24万3800円です。さらに、受給者ご自身の生年月日に応じた「特別加算」があり、昭和18年4月2日以後に生まれた方の場合は17万9900円が加算されるため、合計で年間42万3700円となります。月額に換算すると約3万5000円の上乗せとなり、家計にとって非常に心強いサポートとなります。

村岸 理美

1歳ごとに並べると、65歳の前後で金額が大きく動くのがわかります。加給年金は配偶者の年齢で打ち切られるので、世帯としてはいつまで上乗せがあるのかを先に見ておくと計画が立てやすくなります。