年金はいくらもらえるのかという話になると、たいてい平均額が引き合いに出されます。ただ、その平均は年齢によっても男女によっても違います。

厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、平均年金月額が5歳刻みで載っています。65歳から69歳では厚生年金が15万1753円、国民年金が6万1240円でした。

この記事では、公的年金の仕組みをおさえたうえで、年齢別と男女別の平均年金月額を確認していきましょう。

1. 公的年金は2階建ての仕組み

金額を見る前に、日本の公的年金がどう組み立てられているかを確認します。基礎にあたる国民年金と、上乗せの厚生年金という2階建ての構造です。

1.1 1階部分の国民年金

国民年金の加入対象は、原則として国内に住む20歳以上60歳未満の全員です。

保険料は全員定額で、2026年度は月額1万7920円です。40年間すべて納めると、65歳以降に満額の老齢基礎年金を受け取れます。2026年度の満額は月額7万608円です。

1.2 2階部分の厚生年金

厚生年金の加入対象は、会社員や公務員のほか、特定適用事業所で働き一定の要件を満たしたパートの方などです。

国民年金に上乗せして加入する仕組みなので、厚生年金に加入している人は国民年金にも同時に加入しています。

保険料は報酬に応じて変わり、受け取る額も加入期間と納めた保険料によって個人差が出ます。

2. 5歳刻みでみる平均年金月額

それでは実際の金額を見ていきます。ここで紹介する厚生年金は、民間企業などに勤めていた人が受け取る厚生年金保険(第1号)で、国民年金部分を含む額です。

2.1 65歳以上は厚生年金が14万円台から16万円台

65歳から69歳は厚生年金が15万1753円、70歳から74歳が14万7730円、75歳から79歳が15万1377円です。

80歳から84歳は15万7689円、85歳から89歳は16万5486円、90歳以上は16万4027円となっています。

国民年金のみを受け取る場合は、65歳から74歳が6万円台、75歳以上は5万円台です。全体の平均は厚生年金が15万289円、国民年金が5万9310円でした。

2.2 64歳までの額が少ないのには理由がある

60歳から64歳は厚生年金が8万2267円、国民年金が4万7138円と、65歳以上に比べて少なくなっています。

この年代で厚生年金を受け取っているのは、主に定額部分のない報酬比例部分だけを受け取っている人です。

国民年金のほうは、繰上げ受給を選んだ人の額になります。繰上げには減額率が適用されるため、そのぶん低く出ています。

年齢別にみた平均年金月額。厚生年金は国民年金部分を含む1/2

年齢別にみた平均年金月額。厚生年金は国民年金部分を含む

出所:厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』をもとにLIMO編集部作成

3. 厚生年金の平均受給額「男女で年間72万円差」の実態をみる

次に、60歳以上のすべての受給権者について、男女別の平均年金月額を見てみましょう。

3.1 厚生年金は男女で5万8554円の差

厚生年金の平均年金月額は、男性が16万9967円、女性が11万1413円です。

その差は5万8554円で、月額で6万円近い開きがあり、年間にするとその差は約72万円になります。

現役時代の勤続年数の違いや賃金水準の差が反映された結果と考えられます。

3.2 国民年金の差は4013円にとどまる

一方、国民年金の平均年金月額は男性6万1595円、女性5万7582円です。

差は4013円で、厚生年金に比べるとかなり小さくなります。

国民年金は保険料が定額で、納めた月数だけで額が決まるためです。働き方や賃金の差が出るのは、2階部分の厚生年金ということになります。

60歳以上の全受給権者の平均年金月額。男女差は厚生年金で大きい2/2

60歳以上の全受給権者の平均年金月額。男女差は厚生年金で大きい

出所:厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』をもとにLIMO編集部作成

4. 毎年10月に改定!働きながら年金を増やす「在職定時改定」

ここまでは受け取っている額の話でした。実は、働きながら年金を受け取っている人には、毎年この時期に年金額が見直される仕組みがあります。

4.1 在職定時改定という仕組み

令和4年4月から在職定時改定という制度が始まっています。

基準日である毎年9月1日に厚生年金保険の被保険者である老齢厚生年金の受給者について、前年9月から当年8月までの被保険者期間を算入して年金額を計算し直す仕組みです。

対象は65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者に限られます。65歳未満の方は、繰上げ受給をしていても対象になりません。

4.2 改定されるのは10月分から

改定されるのは、基準日の属する月の翌月、つまり毎年10月分の年金からです。

10月分の年金は12月の定期支払分として振り込まれるので、実際に増えた額を手にするのは12月になります。

令和4年3月までは、65歳以降の被保険者期間は退職時や70歳到達時にしか年金額に反映されませんでした。働き続けた効果を退職を待たずに反映させるために設けられた制度です。

村岸 理美

平均額は年齢でも男女でも動くので、ひとつの数字だけを覚えても自分の見込みには近づきません。働きながら受け取っている方は、10月分からの改定もあわせて見ておくとよいと思います。