2. 先取りで貯める仕組みのつくり方
支出が多い時期でも着実に貯めている世帯に共通するのが、「先取り」の仕組みです。生活費を使ったあとの残りを貯蓄に回すのではなく、収入が入った時点で先に貯蓄・投資へ移してしまう方法です。編集部の視点から、始め方を整理します。
2.1 「先取り」は自動振替と財形で仕組み化する
まず、給与振込口座から自動で別口座へ資金を移す「自動振替」を設定します。勤務先に財形貯蓄制度があれば、給与天引きで貯められるため、手間なく続けられます。金額は、無理のない少額からで十分です。
大切なのは、貯蓄を「意志の力」ではなく「仕組み」で続けることです。
2.2 長期の資金は新NISA・iDeCoも選択肢に
老後資金など長期の目的には、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇のある制度を、つみたてで活用する選択肢もあります。ただし投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、教育費など近い将来に使うお金は預貯金で確保したうえで、無理のない範囲で検討したいところです。
いったん仕組みをつくってしまえば、あとは自動的に積み上がっていきます。家計に余裕が出てきたら、少しずつ金額を増やしていくとよいでしょう。
先取りは、金額の大きさより続けることが大切です。まずは無理のない額から自動で積み立て、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。仕組みにしてしまえば、忙しい時期でも貯蓄は自然に積み上がります。
3. 編集部よりコメント
40歳代・50歳代二人以上世帯の貯蓄は、40歳代で平均1486万円・中央値500万円、50歳代で平均1908万円・中央値700万円でした。2000万円以上の世帯がある一方で貯蓄のない世帯もあり、備えの差は小さくありません。
その差を分けるのが、本文でみた「先取り」を続けられるかどうかです。編集部から、先取りを無理なく続けるためにできることを、3つお伝えします。
一つ目は、先取りする金額を「教育費から逆算」して決めることです。大学入学などでまとまったお金がいつ・いくら必要になるかを書き出せば、それまでに準備すべき額が見え、毎月いくら先取りすればよいかが決まります。冒頭でふれた教育費の不安も、ゴールが具体的になると、ずいぶん軽くなります。
二つ目は、その先取りの原資を固定費から生み出すことです。通信・保険・住宅ローンなどを一度見直せば、日々の生活を切り詰めなくても、毎月まわせる金額を増やせます。
三つ目は、年に1回「家計の棚卸し日」を決めることです。夫婦で貯蓄額と目標を確認し、先取りの金額を見直す日を、年度替わりや誕生月などに設けておくと、収入や支出の変化にも無理なく合わせられます。
40歳代・50歳代は、教育費や住宅ローンで家計がいちばん重くなる時期です。それでも、老後まで10〜20年の時間が残されています。
この時期に効くのは、意志の力ではなく仕組みです。給与が入ったら先に貯める分を分け、その額は教育費のピークから逆算して決める。原資は固定費の見直しから生み出す。
そして年に一度、夫婦で棚卸しをして金額を調整する。この流れをつくっておけば、日々の暮らしを切り詰めなくても、着実に蓄えは積み上がっていきます。まずは今週のうちに、ひとつだけ手をつけてみてください。
4. まとめにかえて
今回は、40歳代・50歳代二人以上世帯の平均貯蓄額(40歳代1486万円・50歳代1908万円)と中央値(500万円・700万円)を確認しました。平均が中央値を上回るのは一部の高額世帯が押し上げているためで、実感に近いのは中央値のほうです。
教育費などで支出が重なる時期でも着実に貯めている世帯に共通するのが、「先取り」の仕組みでした。生活費の残りを貯めるのではなく、収入が入った時点で先に貯蓄・投資へ移す。自動振替や財形を使えば、意志の力に頼らず続けられます。
今日からできることは3つです。まず、先取りの金額を教育費のピークから逆算して決めること。次に、その原資を通信・保険・住宅ローンなどの固定費の見直しから生み出すこと。
そして、年に一度「家計の棚卸し日」を決め、夫婦で貯蓄額と目標を確認すること。老後まで、40歳代なら20年前後、50歳代でも10年前後の時間があります。まずは1つ、今週のうちに動き出してみましょう。
参考資料
宮野 茉莉子
