4. 転居に関する手当は3年で区切られる。4年目からの家計をどう見るか
この手当は異動から3年間の支給と説明されています。支給が続く期間と、そのあとをどう見ておくかを考えてみましょう。
4.1 3年目までと4年目以降で手取りが変わる
たとえば単身赴任手当の基礎額が支給される職員が、500キロメートル以上700キロメートル未満の転勤をしたとします。
転居に関する手当は月4万1000円なので、3年間の合計は147万6000円です。
4年目からはこの分がなくなるため、同じ暮らし方を続けると毎月4万1000円の不足が出る計算になります。
4.2 次の転勤があるかどうかで見通しが変わる
3年より前に次の転勤があれば、新しい距離区分で支給が始まります。
一方で同じ勤務地に4年以上とどまる場合は、手当がない状態が続きます。
二重の生活費がかかっているうちに、住まいの費用や帰省の回数を含めて見直しておくと、支給が終わったあとの負担が読みやすくなります。
5. 【元自治体職員の視点】転居のあとは役場の窓口で何を確かめるか
手当のほかに、転居そのものにともなって動く手続きもあります。役場で保険料の計算を担当していた立場から、確かめておきたい点を挙げます。
5.1 個人住民税を納める市区町村は1月1日の住所で決まる
個人住民税は、その年の1月1日に住所があった市区町村が課税します。
年度の途中で引っ越しても、その年度分は引っ越し前の市区町村に納める決まりです。
住民税の課税情報を参照して国民健康保険料や後期高齢者医療保険料を計算していた立場からいうと、この「いつ時点の住所か」という考え方は、窓口でも説明する機会がありました。
5.2 家族と離れて暮らすと世帯の数え方が変わる
単身赴任で住民票を分けると、住民票のうえでは世帯が2つになります。
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は世帯を単位に計算するため、世帯が分かれると保険料の出方も変わります。
国家公務員は国家公務員共済組合の組合員なので、本人がこの影響を受けるわけではありません。ただし、同居していた家族が国民健康保険に加入している場合は確かめておきたい点です。
5.3 問い合わせ先は転居前と転居先の両方の市区町村
手続きの窓口は、引っ越し前の市区町村と引っ越し先の市区町村に分かれます。
保険料や住民税の扱いは制度が細かく分かれているので、迷ったときは両方の窓口で確かめるのが確実です。
6. まとめにかえて
令和8年8月7日の人事院勧告で、転居をともなう転勤をした国家公務員に支給する「転居に関する手当」の新設が示されました。
支給額は異動前後の住居の距離で決まり、単身赴任手当の基礎額が支給される職員は月1万1000円から10万5000円、それ以外の職員は月6000円から4万3000円です。
勧告の段階なので、実際の支給は今後の給与法の改正を待つことになります。
手当が増えるのはありがたい一方で、転居にともなう住民票や保険の手続きは自分で動かないと進みません。転勤の話が出たら、金額の確認とあわせて手続きの段取りも見ておきましょう。
参考資料
太田 彩子