同じ収入でも、住んでいる地域によって手元に残るお金は変わってきます。家賃や教育費の水準が違えば、貯蓄に回せる額も変わるためです。

総務省統計局が2026年5月19日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」を見ると、都道府県庁所在市ごとの平均貯蓄額に大きな開きがありました。もっとも少ない市は777万円で、全国平均2059万円の4割にも届きません。

この記事では、平均貯蓄額が少ない都道府県庁所在市を確認したうえで、その差が年間収入だけで説明できるのかを見ていきます。

1. 都道府県庁所在市別・平均貯蓄額が少ないのはどこか

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」から、二人以上の世帯の平均貯蓄額を見ていきます。都市階級・地方・都道府県庁所在市別の表8-1を使いました。

47市のうち平均貯蓄額が少ない10市は次のとおりです。

  • 47位:那覇市:777万円
  • 46位:青森市:1194万円
  • 45位:鹿児島市:1275万円
  • 44位:新潟市:1360万円
  • 43位:札幌市:1414万円
  • 42位:秋田市:1437万円
  • 41位:宮崎市:1471万円
  • 40位:大分市:1471万円
  • 39位:松山市:1526万円
  • 38位:盛岡市:1605万円

全国の平均貯蓄額は2059万円です。最下位の那覇市777万円は、全国平均を1282万円下回る水準でした。

一方でもっとも多かったのは千葉市の2951万円で、那覇市とは約3.8倍の差があります。

平均貯蓄額が少ない都道府県庁所在市10市を、年間収入とあわせて並べた一覧1/2

平均貯蓄額が少ない都道府県庁所在市の10市を、貯蓄額と年間収入をあわせて示した一覧表

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にLIMO編集部作成

2. 貯蓄が少ない地域は年間収入も低い傾向にある

貯蓄が少ない市は、年間収入も低い水準に集まっていました。

最下位の那覇市は年間収入526万円で、これも47市中でもっとも低い数値です。青森市は貯蓄1194万円に対して年間収入530万円、札幌市は貯蓄1414万円に対して年間収入570万円でした。

全国の平均年間収入は681万円です。那覇市、青森市、札幌市はいずれもこれを100万円以上下回っています。

地方別に見ても同じ傾向でした。貯蓄が最も多いのは関東地方の2515万円、最も少ないのは沖縄地方の699万円で、年間収入も関東地方755万円に対して沖縄地方547万円となっています。

3. 年間収入が高くても貯蓄が少ない地域がある

ただし、年間収入の高さと貯蓄額の多さは一致していませんでした。

下位10市に入った松山市は、年間収入719万円で47市中9位です。全国平均681万円を38万円上回っているにもかかわらず、貯蓄は1526万円で39位にとどまっていました。

年間収入5位の広島市も、貯蓄は1972万円で18位です。年間収入10位の福島市は貯蓄19位、年間収入6位の山形市は貯蓄22位でした。

逆の例もあります。貯蓄6位の奈良市は年間収入600万円で全国平均を81万円下回りますが、貯蓄は2359万円ありました。津市も年間収入581万円に対して貯蓄2083万円で16位です。

年間収入と貯蓄の順位が一致しない都道府県庁所在市を並べたもの2/2

年間収入が全国平均を下回るのに貯蓄が上位の市と、年間収入が上位でも貯蓄が下位の市を並べた棒グラフ

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にLIMO編集部作成

収入が多ければ貯蓄も多くなる、という単純な関係ではないことがわかります。

和田 直子

収入と貯蓄が比例しない背景には、主に3つの構造的要因があります。

  • 年齢構成: 高齢化率の高い地域は、年間収入(年金等)が低くても現役時代の蓄えにより貯蓄が高くなります。
  • 住宅ローン等の負債: 単純な貯蓄額だけでなく、負債を差し引いた「純貯蓄」で評価する必要があります。
  • 地域の生活コスト: 教育費や自家用車の維持費など、固定費の地域差が手元に残る資金に影響します。