9月は敬老の日を含む月にあたり、親世代の暮らしとお金の置き場所を家族で話す機会が生まれやすい時期です。そこでよく出てくるのが、口座の名義を分けておけば世帯としての見え方も変わるのではないか、という問いです。ご相談でも、名義をどう振り分けるかというご質問をよくいただきます。ただ、住民税が課されない世帯にあたるかどうかは、名義ではなく住民票の世帯にいる人の全員の前年所得で決まる、という印象があります。ここでは神戸市の基準で線の位置を確かめ、そのうえで住民票の世帯を2つに分けたときに保険料が合計でどう動くのかをみていきます。
なお、住民税非課税世帯の収入基準と優遇制度に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 住民税非課税世帯になると軽くなる負担とは?
所得の水準が一定の線を下回る世帯は、住民税が課されない世帯として扱われ、公的な支援の対象になる場合があります。物価の上昇への対応として現金が配られた場面が記憶に残りやすいのですが、軽くなるのはその場かぎりの給付だけではありません。毎月の保険料や、学費のように年単位で出ていくお金の側にも、効いてくる仕組みが置かれています。
収入基準の一覧と、優遇制度それぞれの中身は、【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイドで確認できます。
住民税非課税世帯を対象にした優遇措置の一覧1/6
LIMO編集部作成
1.1 国民健康保険料の応益割は、世帯ごとにどの割合まで下がるのか
国民健康保険料のうち、所得の大小によらず頭数と世帯数に応じてかかる部分が応益割です。ここに次の減額が用意されています。
応益分保険料(均等割・平等割)の「7割・5割・2割」のいずれかを減額
7割なのか2割なのかは、世帯の所得の水準で分かれます。この後の試算では、同じ「非課税世帯」であっても7割と2割のどちらに当たるかで結果が大きく変わることを確かめます。
1.2 介護保険料の減額は、誰を対象にして、どこが自治体に委ねられているのか
- 第1号被保険者(65歳以上)が対象。減額される金額は自治体ごとに異なる
対象の年齢は全国で共通ですが、いくら下がるかは市区町村の設定によります。介護保険料は世帯の課税状況を見て段階が決まる仕組みになっているため、世帯の形を変えると影響が及ぶ項目でもあります。
1.3 国民年金保険料については、どういう手続きを選べるのか
- 全額免除・一部免除・納付猶予のいずれか
納めない期間をそのまま置いておくのと、免除や猶予の手続きを踏むのとでは、あとから受け取る年金額の計算が変わってきます。手続きが取れるかどうかは年金事務所で確かめておきたいところです。
1.4 保育料が無償の扱いになるのは、子どもが何歳までなのか
- 0歳から2歳までの保育料が無償化
- これにより、0~5歳までの保育料が無料になる
1.5 高等教育の修学支援新制度は、世帯の何を見て免除と給付を決めているのか
- 授業料・入学金の免除または減額
- 返還を要しない給付型奨学金
- 上記により大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化
ここに挙げた5つはいずれも「世帯」を単位にして判定されます。そこで次に、その世帯という単位が誰の何を数えているのかを整理します。
2. 「均等割」と「所得割」住民税非課税世帯の判定基準を確認
住民税は、都道府県と市区町村に納める地方税です。地域の行政サービスを支える財源にあてられます。世帯の一人ひとりにかかる部分は、次の2つの層でできています。
2.1 均等割と所得割という2つの層が、どちらも消えている状態を確認
- 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
- 所得割:所得に応じて税額が決まる部分
この2つがどちらも発生していない状態が「住民税非課税」で、住民票の世帯にいる人の全員がその状態であるときに、その世帯は住民税非課税世帯として扱われます。ここが名義の話とすれ違うところです。ご自身の所得が線の内側にあっても、同じ世帯に課税されている方が1人いれば、世帯としては対象になりません。
所得割だけがかからない状態にとどまる世帯もあります。そのどちらであれば支援の対象になるのかは市区町村ごとの定めによるため、お住まいの窓口で確かめる必要があります。
もう一つ押さえておきたいのは、受け取っているお金のすべてが判定の計算に入るわけではないという点です。遺族年金や障害年金は非課税所得と定められているため、判定に使う所得の計算からは外れます。金額が大きくても、この2つは数えられないということです。
3. 65歳以上のひとり世帯はいくらまで非課税?
住民税がかからないとされる主な条件は、次のいずれかに当てはまるかどうかで分かれます。
- 生活保護を受給している
- 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年所得が135万円以下
- 前年所得が自治体の定める基準額を下回る
1と2は全国で同じ扱いですが、3の基準額は市区町村ごとに決められています。世帯の形を変えることを考える場面では、この3番目の線が住んでいる自治体でどこに引かれているのかを先に確かめる必要があります。同じ所得でも、地域によって内側か外側かが分かれるからです。
4. 配偶者や扶養親族が1人いる世帯の収入目安
基準の形を具体的に見るために、ここからは兵庫県神戸市の設定を例にとります。
35万円×(本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族数)+10万円+21万円
式の末尾にある21万円は、同一生計配偶者または扶養親族がいる世帯にだけ足されます。ここでいう同一生計配偶者とは、生計を一にしていて、前年の合計所得金額が58万円以下の配偶者のことです。式で求めた額を前年の所得が超えていなければ、住民税(市県民税)はかかりません。
式の形に注目すると、数えられているのは人数です。本人に配偶者や扶養親族の数を足して35万円をかけるので、同じ世帯に数えられる人が増えれば線は上に動きます。口座の名義をどう分けても、この人数の部分は変わりません。
ここでいう所得は、受け取った金額そのものではなく、そこから各種の所得控除を差し引いたあとの数字です。次の章では、この式を実際の年収に置き換えます。
5. 扶養・社会保険の壁で手取りはどう変わる?
線の位置を動かすのは、世帯の人数だけではありません。給与か年金かという収入の種類によっても変わります。神戸市の基準を収入の額に置き換えると、次のようになります。
ひとりだけの世帯では、給与と年金でいくらまでなのか
合計所得金額が45万円以下になる方が対象です。
- 給与収入のみで収入金額が110万円以下
- 年金収入のみで収入金額が155万円以下(65歳以上)
- 年金収入のみで収入金額が105万円以下(65歳未満)
配偶者か扶養親族が1人いる世帯では、線がどこまで上がるのか
合計所得金額が101万円以下になる方が対象です。
- 給与収入のみで収入金額が166万円以下の方
- 年金収入のみで収入金額が211万円以下の方(65歳以上)
- 年金収入のみで収入金額が171万3334円以下の方(65歳未満)
ひとりだけの世帯であれば、給与だけの場合は年収100万円以下、65歳以上で年金だけの場合は155万円以下が一つの目安です。配偶者や扶養親族がいれば線は上がり、65歳以上の夫婦で年金だけなら年収211万円程度までが視野に入ります。
ここで見ておきたいのは、線が上に動くのは世帯に数えられる人が増えたときであって、資産の置き場所を移したときではないという点です。後半の試算では、住民票の世帯を2つに分けたときに保険料の側で何が起こるのかを確かめます。
5.1 世帯の誰かが線を越えた年に、世帯全体の負担はどう変わるのか
この制度で意識しておきたいのが、収入が境界をまたいだときに起こる実質的な負担増です。判定が世帯単位なので、越えたのが本人でなくても、世帯としての優遇はそこで途切れます。
働く時間を増やした結果、世帯としての優遇が外れる流れを確認
境界の近くで勤務時間を増やし、年収を少し押し上げた結果、非課税の対象から外れて優遇や給付が届かなくなる、という順序で起こります。増えた収入の額よりも、外れたことで失った軽減の合計が大きくなると、働いた時間に対する手取りの伸びが鈍く感じられます。年金の繰下げによって受け取る額が増えた場合も、境界をまたぐという点では同じ形です。
世帯の手取りで見たとき、分岐点はどのあたりに来るのか
線の近くにいる世帯が見るべきなのは、額面の収入ではなく、税と社会保険料を引いたあとに残る額です。そこで組み立てると、選択肢は2つに整理できます。配偶者の扶養の範囲に収めるか、社会保険料の負担増(約20万〜30万円)を上回って手取りが実質的に増える水準(目安として年収150万〜153万円以上)まで進めるか、です。
社会保険の壁(106万円や130万円)を少しだけ越える働き方は、手取りが目減りしたり伸び悩んだりする原因になります。時給と勤務時間、勤め先の規模を踏まえて、世帯としての分岐点がどこにあるのかを先に押さえておきましょう。
6. なぜ年金生活になってもすぐ非課税世帯に該当しないのか
もう一つ気をつけておきたいのが、いつから非課税世帯として扱われるのかという時期の問題です。
6.1 住民税の計算にどの期間の所得が使われるのかを確認
住民税は、その年の1月1日から12月31日までの所得をもとに計算され、翌年の6月から課税が始まる形です。したがって、今の収入がゼロであっても、前年の収入が線を越えていれば、今年は課税されている世帯として扱われます。
6.2 退職して最初の1年に前年並みの負担が残るのはなぜなのか
3月に定年を迎え、4月から年金だけで暮らす世帯を想定します。世帯に入ってくる額は4月を境に大きく下がる一方、退職した年の6月ごろから納める住民税は、会社員だった前年の給与をもとに計算された額のままです。
そのため、年金だけの生活に入ってその年の所得が線を下回っても、世帯の住民税が非課税へ切り替わるのは退職した年の翌々年の6月以降です。最初の数カ月から1年ほどは、前年の所得をもとにした住民税と国民健康保険料の納付が続きます。この期間ぶんの現金は、あらかじめ手元に置いておく必要があります。
6.3 配偶者と死別して世帯の人数が変わったとき、判定はどう動くのか
この時差は、夫婦のどちらかが亡くなった場合にも効いてきます。世帯主が課税されていて配偶者が非課税だった場合、世帯としては課税されている扱いです。世帯主が亡くなり、残った方が単身の世帯になれば、その方自身の前年所得が線の内側であれば非課税世帯になります。世帯に数えられる人が減ったことで、判定の結果が変わる例です。
ただし、世帯の状況が変わったときの国民健康保険料の計算のやり直しや、給付金がどの時点の世帯と所得で判定されるのかという扱いは複雑です。大きな出来事があったときは、自分たちの世帯がいつから対象になるのかを、市区町村のホームページで確かめたうえで窓口に相談しておきましょう。
7. 80歳以上の住民税「課税」世帯割合は52.4%まで低下
年代ごとに、住民税が課税されている世帯の割合はどう動くのか。厚生労働省「令和6年 国民生活基礎調査」で確かめます。
- 29歳以下:63.0%
- 30〜39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※ 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
※ 総数には、年齢不詳の世帯を含む
※ 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む
40~49歳の88.2%を頂点に、60~69歳では79.8%、70~79歳では61.3%、80歳以上では52.4%へと下がっていきます。年齢が上がるにつれて課税されている世帯の割合が減っていく形です。
高齢期に入ると、世帯の収入の中心は給与から年金へ移り、水準そのものも下がっていきます。そこへ、65歳以上に設けられた公的年金等控除が重なります。遺族年金は非課税所得として扱われるため、そもそも所得に数えられません。これらが積み重なる結果として、高齢の世帯は非課税の側に入りやすくなっています。
ここで世帯という単位を思い出すと、40代や50代の子と70代の親が同じ世帯にいる場合、親の側が線の内側にいても、世帯としては課税されている扱いになります。世帯を分けるという発想が出てくるのは、この重なりがあるからです。
8. 総所得のすべてが年金という世帯は41.3%、この内訳から何が見えるのか
公的年金を受け取っている世帯のうち、収入のすべてを年金で賄っている世帯は41.3%です(厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」)。残る半数超の世帯は、年金に何らかの収入を組み合わせて暮らしていることになります。
- 20%未満:4.2%
- 20〜40%未満:9.7%
- 40〜60%未満:13.6%
- 60〜80%未満:14.1%
- 80〜100%未満:17.1%
- 100%(すべてが公的年金・恩給):41.3%
公的年金・恩給を受け取っている高齢者世帯を分布で見ると、総所得の80%以上を年金が占める世帯は58.4%、総所得のすべてが年金という世帯は41.3%でした。年金への寄りかかり方が、世帯によってここまで幅を持っていることになります。
すべてを年金で賄っている41.3%の世帯は、収入の種類が1つに絞られているため、線の位置との距離が年金額だけで決まります。残りの世帯は就労や運用など別の収入が混じるので、世帯としてどこに立っているかは、名義の並びではなく、収入の中身を足し上げてみないと分かりません。
9. 所得は少ないが資産はあるという世帯が生まれるのは、判定が何を見ているからなのか
厚生労働省の調査では、住民税非課税世帯に占める「世帯主が65歳以上の高齢者世帯」の割合が75%以上とされています。現役を引退して収入が年金だけになれば所得は下がるため、線を下回る世帯が増えるという構造です。
9.1 前年の所得だけで判定していることの何が問われているのか
判定に使われるのは、世帯にいる人全員の前年の所得だけです。預貯金や不動産をどれだけ持っているかは数に入りません。まとまった退職金や自宅があるシニア層でも、年金収入などが少なく所得が基準を下回っていれば、その世帯は非課税として扱われます。逆に、働きながら子育てをする現役世代は、わずかな所得の差で課税される側にまわり、支援が届かないということが起こります。資産と所得の開きをどこまで判定に持ち込むかは、公平性の論点として議論が続いています。
9.2 給付の要件に資産を加えるかどうかは、どこまで議論されているのか
資産はあるが所得は低いという層をどう支援するのかについては、公平性の観点から見直しを求める声が出ています。今後の経済対策や給付付き税額控除の検討でも、所得の要件に世帯の資産をどう重ねるかが長期的な課題として挙げられました。いま判定の中心にあるのは住民税の非課税といった所得の基準ですが、制度をどう持続させるかという議論がどこへ向かうのかは見ておく必要があります。
10. 世帯の判定についてよく寄せられる質問を確認
10.1 Q1. 試算ツールの結果だけで、世帯が非課税かどうか決められるのか
A. 試算ツールが返すのは目安の数字です。配偶者控除や医療費控除、社会保険料控除がどこまで当てはまるかで所得の計算結果は大きく動きますし、基準の位置そのものも自治体によって違います。世帯としての判定を確かめるには、お住まいの役所が発行する課税証明書や非課税証明書によることになります。
10.2 Q2. 年度の途中で世帯主が亡くなったとき、世帯の判定はどうなるのか
A. 判定に使われるのは、毎年1月1日時点の状況と前年の所得です。年度の途中で世帯主が亡くなった場合でも、1月1日時点で課税されたその年度の住民税の納税義務は消えません。相続人が引き継ぐことになります。世帯の状況が変わったあとに非課税世帯へ当たるのかどうか、各種給付金の判定がどうなるのかは、自治体や時期によって基準が異なります。お住まいの市区町村の窓口で確かめてください。
11. 【独自試算】住民票の世帯を2つに分けると、国民健康保険料と介護保険料は合計でいくら動くのか
口座の名義を分けても判定は動きませんが、住民票の世帯を分ければ判定の単位そのものが変わります。ただし、下がる項目と上がる項目が同時に出てきます。国民健康保険料と介護保険料を1つの表に並べて、合計でどちらに動くのかを確かめます。
前提は次のとおりです。
- 同じ住所に、給与収入があって住民税が課されている子と、65歳以上で公的年金155万円だけの親が住み、いまは1つの世帯として届け出ているものとします。神戸市の基準では、この年金収入は合計所得金額45万円にあたります
- 2人とも国民健康保険に加入しているものとします
- 国民健康保険の応益割は、均等割が1人あたり年4万円、平等割が1世帯あたり年3万円と仮定します
- 親の介護保険料は、基準額が年7万円と仮定します
- 所得に応じてかかる部分(応能割)は、世帯を分けても総額が変わらないものとして比較から外します
- 金額はすべて仮定で、実際の額と減額の割合、介護保険料の段階は自治体ごとに異なります。いずれも約・目安であり、保証ではありません
まず、世帯を分けない場合です。国民健康保険の応益割は、均等割4万円が2人分で8万円、平等割が3万円で、合わせて11万円になります。世帯に課税されている子がいるため、応益割の減額は受けられません。親の介護保険料も世帯の課税状況を見て段階が決まるので、基準額の7万円のままです。合計は18万円です。口座の名義を親から子へ、あるいは子から親へ移しても、この18万円は動きません。
次に、世帯を2つに分けた場合です。子の世帯は均等割4万円と平等割3万円で7万円、親の世帯も同じ計算で7万円になります。親の世帯だけが非課税となり、応益割が7割減額に当たったとすると、親の世帯の負担は7万円の3割にあたる2万1000円です。国民健康保険料の合計は7万円と2万1000円を足した9万1000円になります。あわせて親の介護保険料が基準額の5割の段階に下がったとすると3万5000円で、合計は12万6000円です。分けない場合の18万円と比べると、年5万4000円の減となります。
ところが、親の世帯が7割ではなく2割の減額に当たった場合は、結果が大きく変わります。親の世帯の負担は7万円の8割にあたる5万6000円で、国民健康保険料の合計は12万6000円。介護保険料が3万5000円のままなら、合計は16万1000円です。減ったのは年1万9000円にとどまります。世帯を分けたことで平等割が3万円から6万円へ二重にかかるため、減額の割合が浅いほど、その増加分に打ち消されていくわけです。
さらに、親の年金収入が155万円を上回って、親の世帯も非課税でなくなった場合を置いてみます。応益割の減額も介護保険料の段階の引き下げも当たらないので、国民健康保険料は子の世帯7万円と親の世帯7万円で14万円、介護保険料は7万円のままで、合計21万円です。分けない場合の18万円より、年3万円増えます。世帯を分けたこと自体が負担増に転じる形です。
ここで見ていただきたいのは減る額の大きさではなく、下がるか上がるかが、親の世帯が非課税の線の内側に収まるかどうかと、減額の割合が7割なのか2割なのかで決まるという関係のほうです。均等割と平等割の額、減額の割合、介護保険料の段階はいずれも自治体ごとに違いますし、世帯分離には生計が別であるという実態も求められます。手続きを検討する前に、お住まいの市区町村の国民健康保険と介護保険の担当窓口で、ご自身の世帯の実際の額を出してもらってください。
12. 【監修者コメント・村岸理美】応益割の「7割・5割・2割」と介護保険料の段階は、自治体ごとに違う数字
今回のデータで最も注目していただきたいのは、応益割の減額が「7割・5割・2割」の3段階に分かれているという点です。同じ非課税世帯という言葉でくくられていても、下がり方は3倍以上の幅があります。どの段階に当たるかは世帯の所得の水準で決まり、線の内側に入ったかどうかだけでは決まりません。
記事中の試算のように、世帯を2つに分けると平等割が二重にかかる一方で、親の世帯に減額が当たれば応益割は下がります。ここで補っておきたいのは、試算で置いた均等割4万円・平等割3万円・介護保険料の基準額7万円が、いずれも計算を見やすくするための仮定だということです。実際の額は市区町村ごとに条例で定められていますし、介護保険料の段階の数と各段階の割合も自治体によって違います。記事の5万4000円や1万9000円という差額は、そのまま自分の世帯に当てはめられる数字ではありません。
あわせて、判定に使う年金収入155万円という目安は、65歳以上で年金収入だけの方の場合であり、神戸市の基準を使った数字です。65歳未満なら105万円、配偶者や扶養親族が1人いれば211万円と、条件によって位置が動きます。2ページ目でふれている外貨で持つ形についても、円に戻すときの相場によって元本割れが起こることがあります。CFPとして家計相談を受けるなかでも、世帯を分ける手続きだけを先に決めてしまい、あとで国民健康保険料の通知を見て驚かれるケースを見てきました。ファイナンシャル・プランナーとしてお伝えしたいのは、名義や世帯の形をどう変えるかより先に、いまの世帯がどの段階に当たっているのかを確かめることが大切だということです。まずは課税証明書と保険料の決定通知書を並べ、そのうえで市区町村の窓口に相談してみてください。


