3. 死亡届はマイナンバーが収録されていれば省略できる

手続きの入口になる届出から見ていきます。

3.1 マイナンバー収録済みなら原則不要

日本年金機構は、個人番号(マイナンバー)が収録されている方は、原則として「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できるとしています。

ただし未支給年金の請求は別に必要です。死亡届が省略できるかどうかと、未支給年金を受け取れるかどうかは別の話になります。

3.2 提出が遅れると受け取り過ぎになる

日本年金機構によると、提出が遅れると年金を多く受け取りすぎることとなり、後でお返しいただく場合があります。

亡くなった月の翌月分以降は受け取れませんので、その分が振り込まれていれば返すことになります。すみやかな提出が求められています。

3.3 請求書は死亡届と一体になっている

請求書の名称は「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」です。届出と請求が1枚の様式になっています。

提出先は年金事務所で、郵送により提出します。地方公務員共済組合の組合員だった方については別の取り扱いになります。

4. 遺族年金と未支給年金は別の手続き

遺族年金と混同されやすい点を整理しておきます。

4.1 受け取れる範囲が違う

遺族基礎年金の対象は子のある配偶者と子、遺族厚生年金は配偶者・子・父母・孫・祖父母です。一方の未支給年金は、その他3親等内の親族まで含まれます。

遺族年金を受け取れる方がいない場合でも、未支給年金は請求できることがあります。

4.2 対象になるお金が違う

未支給年金は、亡くなった方が受け取るはずだった年金です。これから先の生活を支える遺族年金とは、性質が違います。

どちらか一方を選ぶものではありませんので、両方に当てはまる場合は両方の手続きをすることになります。

4.3 請求は同じ窓口でできる

未支給年金の請求も遺族年金の請求も、窓口は年金事務所です。日本年金機構は遺族年金請求書と未支給年金請求書の記入方法をまとめた案内も出しています。

別々に相談に行く必要はありません。

5. 手続きで確かめておきたい3つのこと

請求する前に押さえておく点を挙げます。

5.1 先順位者がいるかを確認する

先順位者がいる場合、後順位の方は未支給年金を受け取れません。配偶者がいるなら子は請求できないという関係です。

親族の間で誰が請求するのかを先に決めておくと、手続きが重複しません。

5.2 生計を同じくしていた書類を用意する

請求できるのは生計を同じくしていた遺族です。それがわかる書類の提出を求められます。

同居していない場合でも生計を同じくしていたと認められることがありますので、判断に迷うときは窓口で確認してください。

5.3 受け取っていた年金の額を確認する

この記事の金額は老齢基礎年金の満額を前提にした目安です。厚生年金もある方は、その分だけ未支給になる額も大きくなります。

年金額の通知書か振込通知書で、月々いくら受け取っていたのかを確かめてから請求してください。

6. 亡くなった月分までは残っている

年金は偶数月の15日に前月・前々月の2か月分が後払いで振り込まれます。そのため亡くなった時点では、受け取っていない月分が必ず残ります。

未支給年金の対象は亡くなった月分までで、時期によって1か月分から3か月分になります。老齢基礎年金の満額なら7万608円から21万1824円が目安です。

請求できるのは生計を同じくしていた遺族で、配偶者から順に7つの順位が決まっています。その他3親等内の親族まで含まれますので、遺族年金の対象外でも請求できることがあります。

7. まとめにかえて

今回は、年金を受給している方が亡くなった際に発生する「未支給年金」の仕組みと手続きについて解説しました。
年金は偶数月に後払いで支給されるため、亡くなった時点では必ず1か月分から3か月分の未支給年金が残ります。請求には配偶者を最優先とする7つの優先順位があり、生計を同じくしていた親族であれば遺族年金の対象外でも受け取れる可能性があります。

ご家族が亡くなられた際の事務手続きは精神的にも体力的にも負担が大きいものですが、期限のある手続きから順番に整理していくことが大切です。親族間で事前に「誰がどのような手続きを行うか」を話し合っておくと、いざというときの助けになるはずです。

参考資料

村岸 理美