年金を受けている方が亡くなると、まだ受け取っていない年金が残ることをご存じでしょうか。
私自身もファイナンシャルプランナーとして数多くの家計相談をお受けしてきましたが、ご家族が亡くなられた直後は葬儀や各種手続きに追われ、お金の申請が後回しになったり、制度自体を知らずに見落としてしまったりするケースをよく目にします。公的なお金の制度は「自分から申請しないともらえない」ことが多いため、正しい知識を持っておくことが大切です。
この記事では、日本年金機構の案内をもとに、未支給年金(まだ受け取っていない年金)として対象になるのが何か月分なのか、誰が請求できるのか、そして実際の手続きにおける3つのポイントを確認していきます。
1. 未支給年金とは?亡くなった月分までの年金が対象
まず、何が対象になるのかを見ていきます。
1.1 亡くなった日より後に振り込まれた分も対象になる
日本年金機構の規定によると、年金を受給している方が亡くなった場合、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち「亡くなった月分までの年金」については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができるとされています。
亡くなったあとに振り込まれた年金であっても、亡くなった月分までの金額であれば、正しい手続きを経ることでご遺族が受け取ることができます。
1.2 年金は偶数月に「前2か月分」が後払いで支払われる
年金が未支給として残るのには、支払いの仕組みが関係しています。日本年金機構によると、年金は原則として偶数月の15日に、前月および前々月の2か月分がまとめて振り込まれます。15日が土曜日、日曜日または祝日の場合は、その直前の平日となります。
つまり、年金は常に「後払い」なのです。この後払いの仕組みがあるため、どのタイミングで亡くなったとしても、ご本人がまだ受け取っていない月分の年金が必ず残ることになります。
1.3 対象になるのは1か月分から3か月分
では、具体的に何か月分が未支給になるのでしょうか。亡くなった時期によって、未支給になる月数は変わります。
たとえば、10月20日に亡くなった場合を考えてみましょう。10月15日の年金支給日に「8月分と9月分」を受け取っていますので、未支給として残るのは10月分の「1か月分」となります。
一方で、10月5日に亡くなった場合はどうでしょうか。直近の支払いは8月15日の「6月分と7月分」であり、次回の支払い日である10月15日を迎える前にお亡くなりになっています。この場合、まだ受け取っていない「8月分・9月分・10月分」の「3か月分」が未支給年金となります。
また、9月に亡くなった場合は「8月分と9月分」の「2か月分」です。
令和8年4月分からの老齢基礎年金(国民年金)の満額である月額7万608円を基準にすると、未支給年金は1か月分で7万608円、3か月分であれば21万1824円が目安となります。会社員として厚生年金も受給していた方の場合は、その分だけ未支給になる金額もさらに大きくなります。
2. 請求できる遺族には「7つの優先順位」が決められている
次に、この未支給年金を誰が受け取れるのかを確認します。請求できるのは、亡くなった方と「生計を同じくしていた遺族(家計を共にしていた、あるいは経済的な援助があったご家族)」です。これには法律で厳格な優先順位が定められています。
2.1 1番目は配偶者、2番目は子
未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族です。順位は1番目が配偶者、2番目が子です。
配偶者には事実婚の関係にある方も含まれます。
2.2 父母・孫・祖父母・兄弟姉妹と続く
3番目が父母、4番目が孫、5番目が祖父母、6番目が兄弟姉妹です。遺族基礎年金や遺族厚生年金より受け取れる範囲が広くなっています。
先順位者がいる場合は、後順位の方は未支給年金を受け取ることができません。
2.3 7番目はその他3親等内の親族
7番目はその他3親等内の親族です。おじ・おば・おい・めいなどが含まれます。
遺族年金の対象にならない関係の方でも、生計を同じくしていれば未支給年金は請求できるという点が違いです。
亡くなったあとに振り込まれた年金を、返さなければいけないと思い込んでいる方がいます。亡くなった月分までなら受け取れるお金です。
