4. 国の「特別障害者手当」との違いを整理する
重度心身障害者手当と混同されやすいのが、国の「特別障害者手当」です。名前は似ていますが、根拠となる法令も金額も異なります。
4.1 月額も支給のペースも異なる
国の特別障害者手当は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律に基づく手当です。20歳以上で、著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別な介護を必要とする在宅の方が対象になります。
令和8年度の月額は3万450円で、物価の変動を反映して前年度の2万9590円から引き上げられました。
2つの手当の違いを整理すると、次のようになります。
- 東京都の重度心身障害者手当:東京都の条例に基づく手当。月額6万円が毎月支給される
- 国の特別障害者手当:国の法律に基づく手当。令和8年度の月額は3万450円で、支給は年4回
国の特別障害者手当の支給は2月・5月・8月・11月の年4回で、それぞれの前月分までがまとめて振り込まれます。毎月支給される東京都の重度心身障害者手当とは、支給のペースが異なります。
対象になる障害の基準や所得制限のしくみも、それぞれの制度で別に定められています。
4.2 申請先は同じ区市町村の窓口である
制度は別ですが、どちらも申請の窓口はお住まいの区市町村です。
片方の名前しか知らずに窓口へ行った場合でも、状況に応じてもう一方の制度の案内を受けられることがあります。該当する可能性のある手当をまとめて確認しておくと安心です。
5. 申請から支給までの流れを押さえておく
東京都の重度心身障害者手当は、申請しなければ支給が始まりません。手続きの流れは次のとおりです。
- お住まいの区市町村の障害福祉担当窓口で申請する
- 東京都心身障害者福祉センターが障害の程度を判定する
- 認定されると、申請した月の分から手当が支給される
必要書類は区市町村によって異なりますが、申請書のほか、マイナンバーの確認書類などが求められるのが一般的です。
障害の程度の判定は、東京都心身障害者福祉センターへの来所のほか、出張による判定を選べる場合があります。移動が難しい方は、申請の際に窓口で相談しておくとよいでしょう。
支給されるのは申請した月の分からで、障害の状態になった時点までさかのぼって受け取れるわけではありません。該当する可能性に気づいた時点で、早めに窓口へ相談することが大切です。
受給が始まったあとも、所得状況の確認などのための届け出が必要になる場合があります。区市町村から案内が届いたら、期限内に対応しましょう。
6. 東京都以外の「重度心身障害者手当」は別の制度である
「重度心身障害者手当」という名前の手当は、東京都以外の自治体にもあります。ただし、中身は自治体ごとに別の制度です。
たとえば埼玉県桶川市の重度心身障害者手当は、重度の障害のある方に月額5000円(中度の方は月額2500円)を支給する市の制度です。
受給者本人に住民税が課税されていると支給が停止され、支給月も3月と9月の年2回です。月6万円が毎月支給される東京都の手当とは、金額もしくみも大きく異なります。
本記事で解説した月6万円の手当は、東京都内にお住まいの方が対象です。都外にお住まいの場合は、同じ名前の手当があっても内容が異なるため、お住まいの自治体の案内で確認してください。
また、東京都内でも、区市町村が独自の障害者向けの手当を設けている場合があります。都の手当とあわせて、お住まいの区市町村の制度も確認しておくと取りこぼしを防げます。
7. まとめにかえて
東京都の重度心身障害者手当は、常時複雑な介護を必要とする重度の障害のある方に、月額6万円を支給する都独自の手当です。
対象になるかどうかは手帳の等級だけでは決まらず、東京都心身障害者福祉センターの判定によります。所得制限があるほか、施設への入所中や3か月を超える入院中は支給されません。
65歳以上になると新規の申請はできず、支給も申請した月の分から始まります。介護の負担を支える制度を取りこぼさないためにも、該当する可能性があれば早めにお住まいの区市町村の窓口で確認しておきましょう。
参考資料
和田 直子