9月は、夏の賞与が支給されてから数か月が経ち、冬の賞与までのあいだにあたる月です。手元に残った分を振り返って、来年の配分を考えやすい時期でもあります。
年収という言葉で思い浮かべるのは、たいてい月給と賞与を合わせた1年分の金額です。国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」による給与所得者の平均給与は477.5万円で、男女別では男性が586.7万円、女性が333.2万円でした。
ただ、この1年分の金額のうち賞与が占める部分は、勤め先の業績や景気の動きで上下します。節目として意識されることの多い「年収600万円」が統計上どのあたりにあるのかを、男女別・年代別に確かめていきます。
なお、給与所得者の年収の分布に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 「年収600万円超」の人は給与所得者全体の何割にあたるのか「男女で開く差」
賞与を含めた1年分の金額で年収600万円に届いている人は、どのくらいいるのか。国税庁の給与階級別の分布から順に見ていきます。
「600万円超」から「2500万円超」までの区分を合わせると、年収600万円を超える人は全体で24.9%を占めていました。10人のうち2人から3人という比率です。
男女で分けると、その比率は大きく離れます。男性では36.2%がこの水準に達していますが、女性では9.7%です。男性のなかでは3人に1人を上回り、女性のなかでは10人に1人に満たない。同じ「上位およそ4分の1」でも、内側の構成はこれだけ違います。
2. 世代が進むと平均給与はどのように変わっていくのか「男性・女性それぞれの推移」
年齢とともに給与も上がっていくというイメージがあります。ただ、年齢階層別の平均給与を男女で並べると、線の形はそれぞれ別のものになります。
2.1 男性の平均給与は、どの年代までどのように積み上がるのか
男性は、25〜29歳の437.6万円から年代が進むにつれて金額を伸ばし、55〜59歳で734.6万円という最も高い水準に達します。この年代では、年収600万円という目安をはっきり上回る形です。
その後は下がります。役職定年や定年退職の時期にあたる60〜64歳では604.4万円となり、5年ほどで130万円前後の落差が生まれます。
2.2 女性の平均給与は、年代ごとにどの範囲で動いているのか
女性の線は、上がっていく形にはなりません。25〜29歳の370.1万円が最も高く、そこから55〜59歳の356.2万円まで、どの年代も350万〜370万円台の範囲を行き来します。男性のように50代へ向けて大きく伸びる区間は現れません。
結果として、30代以降は年代が進むほど男女の差が開いていきます。年齢とともに年収が増えるという全体の傾向は、主に男性側の数字が押し上げているものだということになります。
3. 令和6年分の統計から、賞与を含めた年収をどう見ておくか
あわせて押さえておきたいのが、世帯単位の統計との違いです。厚生労働省が2026年7月15日に公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」では、次のように示されています。
2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2000円で、前年比7.3%増加。1986年の調査開始以来、最大の伸び率となっています。
こちらは世帯単位で数えた所得で、一人当たりの平均給与とは調べ方も単位も違います。ただ、どちらの統計でも金額が伸びていること自体は共通しています。
問題は、その伸びの安定度です。1年分の年収のうち、毎月決まって入る月給の部分と、勤め先の業績や景気で動く賞与の部分は、性格がまったく違います。家計の計画を、どちらの部分に合わせて組むのか。ここが分かれ道になります。
4. 【監修者コメント・中本智恵】平均給与477.5万円は賞与を含んだ額面で、毎月一定に入る金額ではない
銀行の窓口でご相談をお受けしていた頃、「年収の12分の1が毎月入ってくる」という前提で家計を組んでいる方に多く出会いました。この記事で示した平均給与477.5万円、男性586.7万円、女性333.2万円は、国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」による1年分の給与の平均で、賞与を含んだ額面の金額です。毎月同じ額が入ることを示した数字ではないという点は、知っておいていただきたいところです。
もうひとつは、額面ではなく手取りで見るという点です。年収600万円超が全体の24.9%という区分も額面で切ったもので、そこから社会保険料と税が引かれます。賞与からも社会保険料は引かれるため、支給額と手元に入る額は一致しません。賞与の支給の有無や算定の方法は勤め先の制度で決まりますので、就業規則や賞与に関する規定、勤め先の担当部署で確かめていただきたいところです。社会保険料の扱いは加入している健康保険の担当部署、税の扱いは税務署とお住まいの市区町村と、管轄はばらばらですので、順に当たっていただくのが安心です。


