10月は、年金から引かれる税や社会保険料が、仮徴収の期間から本徴収の期間へ切り替わる月にあたります。同じ年金額を受け取っていても、口座に振り込まれる額は年の前半と後半で変わります。一覧表に並んでいる平均年金月額は、いずれも引かれる前の額面です。ここでは60歳から89歳までの平均年金月額を1歳刻みで確かめたうえで、仮徴収から本徴収に移ったときに1カ月あたりの手取りがどれだけ動くのかをみていきます。
なお、1歳刻みでみる60歳から89歳までの平均年金月額と、年金から差し引かれる仕組みに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 6月15日に振り込まれた2026年度の年金は、前年度から何がどう変わったのか
公的年金の額は、賃金や物価の動きを織り込んで毎年度見直される仕組みになっています。2026年度は、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額と決まりました。
この改定率が振込に乗るのは2026年6月の支給からで、対象になるのは4月分と5月分です。改定後の額を知らせる通知書も、6月の支給に合わせて日本年金機構から届きます。
年代別の一覧と、手取りに関わる論点をひととおり押さえておきたい方には、【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?が参考になります。
1.1 満額の国民年金と、モデル夫婦世帯の厚生年金は月額いくらになったのか
2026年度に公表された支給額の例(国民年金・厚生年金)
- 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分)(※1):月額7万608円
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)(※2):月額23万7279円
※1:昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※2:厚生年金のモデルケースは、平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、その配偶者が国民年金を満額受給する場合の世帯の給付水準(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金)です。
ここに並んでいるのは、いずれも税や社会保険料が引かれる前の額です。増額の知らせだけを見て家計の予定を組むと、実際の振込額との差でつまずくことになります。
1.2 6月に届く「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」は、どちらで手取りが分かるのか
すでに年金を受け取っている方の手元には、毎年6月に日本年金機構から2種類の通知書が届きます。名前が似ているため同じものと思われがちですが、書かれている中身は別です。
「年金額改定通知書」に載っているのは、その年度(4月分以降)に改定された年金の額です。前年度と比べて増えたか減ったかを確かめるのは、こちらになります。
「年金振込通知書」のほうには、年金から特別徴収される税や社会保険料の内訳と、差し引いたあとに口座へ振り込まれる額が並びます。手取りを確かめるときに開くのは、こちらの1枚です。
1.3 「年金振込通知書」には、差し引かれるものがどう並んでいるのか
年金から差し引かれることになる税と社会保険料
- 介護保険料
- 公的医療保険料(国民健康保険または後期高齢者医療制度)
- 個人住民税・森林環境税
- 所得税・復興特別所得税
受け取る年金の額が一定以上になると、現役のころと同じように、介護保険料や医療保険料、住民税、所得税が年金から差し引かれます(※)。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」に出てくる金額は、これらが引かれる前の「額面」です。実際に口座へ入る額は、そこから減ります。
※年間の受給額が18万円未満である場合など、条件によっては年金からの天引きが行われないケースもあります。
1.4 仮徴収(4・6・8月)と本徴収(10・12・2月)で、差し引かれる額が切り替わるのはなぜか
年金からは、所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)などが差し引かれます。このうち住民税や介護保険料の額は、6月にその年度の決定額が確定します。
ところが、4月と6月の支給日は、その確定を待っていられません。そこで4・6・8月は前年度の情報をもとにした仮の額で差し引き、10・12・2月で、確定した年間の保険料から仮に差し引いた分を引いた残りを納める形に切り替わります。前者が仮徴収、後者が本徴収です。
つまり、年金の額そのものが変わっていなくても、10月を境に振込額が動くことがあります。年間の手取りが12等分では動かないのは、この仕組みによるものです。
2. 60歳代(60〜69歳)で、厚生年金と国民年金の平均月額はどこに集まっているのか
ここからたどるのは、いま実際に受け取られている老齢年金の平均額です。厚生年金と国民年金のそれぞれについて、1歳刻みの平均月額を年齢順に並べます。
ここで示す厚生年金の月額には、基礎年金である国民年金の分が含まれています。上乗せ部分だけの数字ではない点に気をつけてご覧ください。
2.1 60歳代の厚生年金は、63歳と65歳のあいだで平均月額がどれだけ変わるのか
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
2.2 60歳代の国民年金は、65歳を境に平均月額がどう動くのか
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
65歳から69歳をみると、厚生年金は14万円台から15万円台、国民年金は6万円台に集まっています。
64歳までの平均が65歳以降より低く出るのは、繰上げ受給(※1)を選んだ方や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分だけを受け取っている方が同じ欄に含まれているためです。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳から64歳の間に前倒しで受給する制度です。繰上げた月数に応じて年金額が1カ月あたり0.4%減額され、その減額率は生涯適用されます。
※2 特別支給の老齢厚生年金:厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられたことに伴う経過措置です。生年月日などの一定条件を満たす場合に、65歳になる前から受給できます。
3. 70歳代(70〜79歳)の平均年金月額は、60歳代とどこが違うのか
続いて、70歳代の各年齢について平均年金月額をたどります。
3.1 70歳代の厚生年金は、どの年齢でも同じ水準に収まっているのか
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
3.2 70歳代の国民年金は、年齢が上がるにつれてどう下がっていくのか
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
70歳代は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が5万円台から6万円台で推移しています。厚生年金のほうは年齢による上下が小さく、国民年金は年齢が上がるにつれてゆるやかに下がっていく並びです。
4. 80歳代(80〜89歳)の平均年金月額は、どこまで上がって並んでいるのか
最後に、80歳代の各年齢の平均年金月額をみていきましょう。
4.1 80歳代の厚生年金は、89歳に向けてどこまで積み上がっているのか
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
4.2 80歳代の国民年金は、5万円台のどのあたりに収まっているのか
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
80歳代は、厚生年金が15万円台から16万円台、国民年金が5万7000円台から5万9000円台という並びです。
ここまでに並べたのは、いずれも各年齢の平均値です。実際に受け取る額は、現役のころの加入状況や保険料の納付実績によって一人ひとり異なります。
5. 年代別にみた住民税課税世帯の割合は、60歳代を境にどう変わるのか
厚生労働省が公表した『令和6年国民生活基礎調査』をもとに、年代別の住民税課税世帯の割合を確かめます。
- 30〜39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。
住民税が課されている世帯の割合は、年齢層によってかなり違います。
30歳代から50歳代までは約9割が課税世帯であるのに対し、60歳代では79.8%、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、年齢が上がるにつれて下がっていきます。住民税が課されなくなれば、年金から差し引かれる項目のうち住民税の分は消えますから、手取りの決まり方そのものが変わることになります。
5.1 住民税が課されない世帯に用意されている医療・介護の軽減には何があるのか
住民税非課税世帯になると、次のような支援を受けられます。
- 高額療養費制度の自己負担上限額が下がり、月々の医療費の上限が引き下げられる
- 介護保険料が軽減され、毎月差し引かれる額が下がる
- 高額介護サービス費の月額上限も低く抑えられる
- 政府が経済対策として実施する臨時給付金の対象になりやすい
このように、住民税非課税世帯には社会保険料や医療・介護費の軽減措置が用意されています。
ただし、適用の要件や軽減の割合は、世帯の構成や所得の水準、制度の改正によって細かく変わります。ご自身の収入と受け取る年金額のバランスをみながら、制度の中身を正確に押さえておくことが大切です。
6. 2026年8月から届く「公金受取口座登録の意向確認書」を放っておくとどうなるのか
振込額と非課税の線を確かめたあとに控えているのが、行政から届く書類への対応です。とくに2026年の夏以降は、口座の登録に関する新しい郵便物が届きます。
6.1 「みなし同意」の仕組みでは、返送しないと口座がどう扱われるのか
政府は給付金などを速やかに支給するため、マイナンバーに紐づく「公金受取口座」の登録を進めています。その一環として、まだ登録していない年金受給者に対して、2026年8月頃から順次「いま年金を受け取っている口座を公金受取口座として登録してよいか」を確かめる書類が発送されます。
この書類の特徴は、「登録しないでください」という回答を期限内に出さなかった場合、自動的に同意したものとみなして口座が登録される特例制度になっている点です。読まずにしまい込むという対応が、そのまま同意として扱われることになります。
6.2 年金の受取口座を紐づけたくないときは、いつまでに何を返送するのか
「給付金は受け取りたいが、マイナンバーとメインの年金口座を紐づけるのには抵抗がある」「別の口座を登録したい」と考えている場合、書類を放置するという選択はとれません。
年金振込口座の登録を断る場合は、同封されている案内に従って、期限内(到着から45日以内)に「不同意申出書」を返送することになります。
年金の振込口座とは別の口座を登録したい場合は、自動で登録される前に、マイナポータルなどでご自身による口座登録の手続きを済ませておく形になります。何もしないまま期限を過ぎると、年金の振込口座が公金受取口座として自動的に登録される仕組みです。
6.3 口座登録に便乗する詐欺は、どんな言い方で近づいてくるのか
全国規模の行政手続きが始まると、必ず出てくるのが便乗した詐欺です。「口座登録が済んでいないので年金が止まります」「代わりに手続きをするのでキャッシュカードを預かります」といった電話や訪問が想定されます。
意向確認書に関する手続きで、ATMの操作を求められたり、暗証番号を聞かれたりすることはありません。行政が電話で暗証番号を尋ねることもありません。少しでも不審だと感じたら、警察や自治体の窓口へ相談してください。
7. 秋に届く「扶養親族等申告書」を出さないと、翌年の天引きはどう変わるのか
年金を受け取っている方にとって、秋は翌年の手取りを左右する時期です。なかでも「扶養親族等申告書」は、天引きされる所得税に直結する書類です。
「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、翌年の年金から差し引かれる所得税を計算するときに、各種の控除を適用するために使われます。対象になる方には、日本年金機構などから9月に送られてきます。
扶養している配偶者や親族がいる場合、正しく記載して提出すれば控除が適用され、源泉徴収される税額が抑えられます。
提出が遅れたり出し忘れたりした場合でも、その後の支払いで再計算されたり、確定申告で精算されたりします。とはいえ、期限内に出しておくほうが手間は少なくて済みます。
7.1 提出を忘れたときは、どの控除が外れて所得税が増えるのか
「扶養親族等申告書」を出し忘れると、配偶者控除や扶養控除といった人的控除が適用されず、源泉徴収される所得税額が増えることがあります。その結果、翌年2月の年金支給で手取りが減る場合があります。
多く引かれてしまったときは、あとから確定申告(還付申告)を行うことで、払い過ぎた分を取り戻せます。慣れない手続きは負担になりますから、書類が届いたら早めに中身を確かめて返送する習慣をつけておくとよいでしょう。
8. 認知症や死亡で年金の受取口座が止まったとき、暮らしのお金はどうなるのか
年金の手続きや税金の管理をご本人だけが抱え込んでいると、いざというときにご家族が動けなくなります。
ここでは、口座が止まったときに何が起こるのか、そして亡くなったあとの年金の手続きをみていきます。
8.1 口座が凍結されると、引き落としや引き出しはどこまで止まるのか
口座の名義人が亡くなったことを金融機関が把握すると、遺産分割をめぐる争いを避けるため、口座はただちに凍結されます。年金が振り込まれる口座であっても例外ではありません。凍結されれば、入出金だけでなく、水道光熱費などの自動引き落としもすべて止まります。
亡くなる前であっても、認知症などでご本人の意思確認ができないと金融機関が判断した場合、不正利用や財産保護の観点から口座は事実上の凍結状態になります。ご家族であっても、生活費や介護の費用を引き出せなくなることがあります。
ただし、認知症による凍結の場合は、亡くなったときとは異なり、年金の振込や公共料金の自動引き落とし自体は続くのが一般的です。現金の引き出しや窓口での手続き、口座の変更ができなくなるため、元気なうちの備えが要る、という形になります。
8.2 亡くなった月の年金は「未支給年金」として誰が請求できるのか
年金は、亡くなった月の分まで受け取る権利があります。年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、その前月および前々月の2カ月分が支払われる後払いの仕組みです。そのため、亡くなった時期やそれまでの受給の状況によって、受け取っていない分が残ります。
この残った分を「未支給年金」といいます。生計を同じくしていた3親等内の親族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など)が、優先順位に従って自分の名義で請求できます。
手続きは、年金事務所または街角の年金相談センターへ「受給権者死亡届(報告書)」を提出し、あわせて「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出(または郵送)する形になります。
8.3 未支給年金を受け取ると、遺族の所得と非課税の判定はどう動くのか
遺族が受け取った未支給年金は、「故人の遺産(相続税の対象)」ではなく、「受け取った遺族自身の一時所得(所得税の対象)」として扱われます。
一時所得には50万円の特別控除があるため、未支給年金だけですぐに税金が発生するケースは多くありません。ただし、同じ年に生命保険の満期保険金など他の一時所得があると合算されて課税ラインを超えることがありますし、遺族自身の所得が増えることで住民税非課税世帯の線を越えてしまうこともあります。死後の手続きには税務上の論点も含まれることを、ご家族のあいだで共有しておくことが大切です。
9. 天引きと住民税非課税をめぐって、よく届く質問を確認
9.1 Q1. 遺族年金を受け取っていると、住民税の判定はどうなるのか
A. 遺族年金は判定に含まれません。遺族年金や障害年金は、法律で非課税の所得と定められています。そのため、遺族年金をどれだけ受け取っていても、住民税の計算や「住民税非課税世帯」の判定に使う所得には入りません。判定に使われるのは、老齢年金などの課税される所得だけです。
9.2 Q2. 住民税非課税世帯向けの給付金は、毎年届くものなのか
A. 毎年決まって届くものではありません。非課税世帯に向けた臨時の給付金は、物価の高騰への対応といった、その時々の経済対策として決まる一時的なものだからです。これに対して、制度として定められている「年金生活者支援給付金」のような支援は、要件を満たしていれば続けて受け取れます。
9.3 Q3. 自己破産をしたら、これから受け取る年金は差し押さえられるのか
A. 公的年金(国民年金・厚生年金)を受け取る権利は、国民年金法と厚生年金保険法によって差し押さえが禁じられています。自己破産をしたことで公的年金を受け取れなくなることはありません。ただし、すでに銀行の口座へ振り込まれたあとの現金については、差し押さえの対象になる可能性があります。
厚生年金と基礎年金を合わせて月15万円という水準に、どれくらいの人が届いているのかは、来月、6月15日支給分から年金が増える!厚生年金+基礎年金「月15万円(年180万円)」を超える人はどれくらい?2026年度最新金額と106万円の壁見直しを解説で確認できます。
10. 【独自試算】仮徴収(4・6・8月)と本徴収(10・12・2月)で、1カ月あたりの手取りはどれだけ動くのか
ここまでみてきた平均年金月額は、いずれも税や社会保険料が引かれる前の額面です。実際の振込は偶数月に2カ月分ずつ行われ、そこから差し引かれる額は、年の前半(仮徴収)と後半(本徴収)で決まり方が違います。同じ額面のまま、1カ月あたりの手取りがどこまで動くのかを並べてみます。
前提は次のとおりです。
- 額面は「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均年金月額を使います。70歳の厚生年金15万455円、89歳の厚生年金16万6767円、70歳の国民年金6万1011円の3つです。厚生年金の額には国民年金の分が含まれています
- 年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)に2カ月分がまとめて振り込まれるものとします。年額は月額を12倍し、1回あたりの額面は年額を6で割った額とします
- 年金以外の収入はなく、額面は1年を通じて変わらないものとします
- 差し引かれる税・社会保険料の年額を、前年度は額面の10%、当年度は額面の15%と仮定します。実際の割合はお住まいの自治体や年齢、扶養の状況によって変わるため、ここでは動き方を見やすくするための仮定として置きます
- 仮徴収(4・6・8月)の1回あたりは前年度の年額を6で割った額、本徴収(10・12・2月)の1回あたりは当年度の確定年額から仮徴収3回分を差し引いた残りを3で割った額とします
- 金額はいずれも約・目安であり、保証するものではありません
まず70歳の厚生年金です。月額15万455円を12倍すると年額は180万5460円、1回あたりの額面は30万910円になります。前年度の差し引き年額は10%で18万546円ですから、仮徴収は1回あたり3万91円、4・6・8月の3回で9万273円です。
このとき手元に入るのは、1回あたり27万819円。2カ月分ですから、1カ月あたりにならすと約13万5410円です。
6月に当年度の年額が15%の27万819円と確定すると、本徴収の3回で納めるのは、そこから仮徴収の9万273円を引いた18万546円になります。1回あたりは6万182円で、仮徴収の3万91円のちょうど2倍です。
10・12・2月に手元へ入るのは、1回あたり24万728円。1カ月あたりにならすと12万364円で、前半より約1万5046円少なくなります。年間の手取りは153万4641円ですから、12で割った平均は約12万7887円。前半は平均より1カ月あたり約7523円多く、後半は約7523円少ない、という形で前後に振れることになります。
次に、額面が大きいと段差もどう変わるのかをみます。89歳の厚生年金16万6767円で同じ仮定を置くと、年額は200万1204円、1回あたりの額面は33万3534円。仮徴収は1回あたり約3万3353円で、手元に入るのは約30万181円、1カ月あたり約15万90円です。本徴収は1回あたり約6万6707円となり、手元に入るのは約26万6827円、1カ月あたり約13万3414円。前半と後半の差は1カ月あたり約1万6677円で、70歳の約1万5046円より広がります。額面が大きいほど、前半と後半の段差も大きくなる関係です。
国民年金だけを受け取っている場合もみておきます。70歳の平均6万1011円だと年額は73万2132円、1回あたりの額面は12万2022円です。同じ仮定では、仮徴収が1回あたり約1万2202円で手元に入るのは約10万9820円(1カ月あたり約5万4910円)、本徴収は1回あたり約2万4404円で約9万7618円(1カ月あたり約4万8809円)。差は1カ月あたり約6101円と小さくなりますが、もともとの額が小さいぶん、家計に占める重みは軽いとは限りません。
ここで見ていただきたいのは、下がった額の大きさそのものではなく、額面が1円も変わっていないのに手取りが動く、という点のほうです。差し引かれる割合は仮定であり、実際の税額や保険料は所得や自治体、年齢によって異なります。前半と同じペースで暮らして後半に足りなくなった分を投資信託などの取り崩しで埋める場合は、そのときの価格によって元本割れとなることもあります。ご自身の実際の額は、6月に届く「年金振込通知書」に支給日ごとに並んでいますので、そちらで確かめてください。
11. 【監修者コメント・村岸理美】1歳刻みの平均月額は令和6年度の実績で、天引きの割合は人によって違う
今回の1歳刻みデータで注目していただきたいのは、80歳代に入っても厚生年金の平均月額が下がっていない点です。80歳の15万3729円から89歳の16万6767円まで、年齢が上がるほど平均は高くなっています。これは、高齢になるほど年金が増える仕組みがあるためではありません。厚生年金は報酬比例の仕組みですから、現役時代の報酬と加入期間の違い、そして受給を始めた時期の制度の違いが、世代ごとの平均として表れているものと読んでいただきたいところです。
あわせて補っておきたいのが、数字の時点です。1歳刻みの平均月額は「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の実績で、記事の前半にある国民年金1.9%・厚生年金2.0%という改定率は2026年度のものです。時点が違いますので、平均月額に改定率を掛けてご自身の額を出す、という使い方には向きません。また、ここでの厚生年金の額には国民年金の分が含まれています。上乗せ部分だけの金額として受け取らないようご注意ください。
記事中の試算のように、仮徴収の期間と本徴収の期間では、同じ額面でも1カ月あたりの手取りが動きます。ここで補っておきたいのは、この段差の大きさが人によって違うということです。段差が生まれるのは、前年度をもとにした仮の額と6月に確定した年額とのあいだにズレがあるときで、ズレが小さい年には段差もほとんど出ません。逆に、前年に収入が大きく動いた方や、75歳になって加入する医療保険の制度が変わった方は、段差が大きく出ることがあります。ご自身がどちら側に近いのかは、6月に届く「年金振込通知書」に支給日ごとの額が並んでいますので、そこで確かめていただくとよいと思います。
ファイナンシャル・プランナーとしてお伝えしたいのは、年間の手取りは12等分では動かない、ということです。平均額とご自身の額を見比べて一喜一憂するよりも、1年分の振込予定を6回に分けて書き出し、少ないほうの回に合わせて毎月の暮らしを組んでおく。CFPとして家計相談を受けるなかでも、この一手間があるかどうかで秋以降の落ち着き方が変わってきました。まずはねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の見込み額を確かめるところから始めてみましょう。


