6. 毎月分配型投資信託のメリット・デメリットを整理する
毎月分配型投資信託には、取り崩しの手間を減らせるという利点がある一方で、見過ごせない注意点もあります。
6.1 メリット:決まったタイミングで自動的に現金化できる
毎月分配型投資信託の最大の利点は、自分で売却の判断や手続きをしなくても、決まったタイミングで自動的に分配金という形で現金を受け取れることです。年金の支給日と組み合わせて生活費の管理をしやすくなるほか、複数のファンドを組み合わせれば、分配のタイミングを分散させることもできます。
6.2 デメリット:分配金は確約されたものではない
一方で、分配金の額はあらかじめ確約されたものではなく、運用状況によって減額されたり、支払われなくなったりすることがあります。前述のとおり、分配金の一部または全部が特別分配金(元本払戻金)として支払われている場合、実質的には自分の資産が目減りしているだけの状態です。加えて、信託報酬などの運用コストが保有期間中ずっとかかり続けること、NISAの対象外であるため税制上の優遇を受けられないことも、デメリットとして押さえておく必要があります。
7. リスクを抑える工夫、複数のファンドに分けて持つ
毎月分配型投資信託を検討する場合、1本にまとめて資産を集中させるのではなく、複数のファンドに分けて保有することもリスクを抑える工夫の一つです。
7.1 1本の運用状況に資産全体が左右されるのを避ける
投資対象の資産や地域、運用方針が異なる複数のファンドに分けて保有しておけば、一つのファンドの分配金が減額・停止された場合でも、資産全体への影響を小さく抑えることができます。株式や債券、REITなど、異なる値動きをする資産を組み合わせたファンドを選ぶことで、分散効果はより高まります。
8. リスクを抑える工夫、NISA枠と組み合わせて「疑似的な毎月分配」をつくる
毎月分配型そのものはNISAの対象外ですが、NISA口座で保有できるファンドを工夫して組み合わせることで、似たような受け取り方を作ることもできます。
8.1 奇数月・偶数月・年2回など、分配タイミングが異なるファンドを組み合わせる
NISAで購入できる投資信託のなかにも、年数回(奇数月、偶数月、年2回など)決算・分配を行うタイプがあります。こうしたファンドを分配のタイミングが重ならないように複数組み合わせることで、非課税の枠内で、疑似的に毎月に近いペースで分配金を受け取る仕組みを作ることも可能です。
8.2 「分配金目的」でファンドを選ぶことになる点には注意
ただし、これは分配金の受け取りやすさを優先してファンドを選ぶことになるため、本来NISAが目指す「長期・積立・分散投資による資産形成」という趣旨とはやや異なる使い方になります。非課税のメリットは大きいものの、分配のタイミングだけを基準にファンドを選ぶと、運用方針やコストの確認がおろそかになりがちな点には注意が必要です。
最後に、毎月分配型投資信託を実際に選ぶ際に気をつけたいポイントを整理します。
9. 毎月分配型投資信託を選ぶときの注意点
毎月分配型投資信託を検討する場合は、次の3点を確認しておきましょう。
9.1 1口あたりの分配金の大きさだけで選ばない
分配金の金額が大きいファンドほど魅力的に見えますが、前述のとおり、分配金が多いことは必ずしも運用成績が良いことを意味しません。基準価額の推移や、分配金に占める普通分配金・特別分配金の割合も合わせて確認しましょう。
9.2 分配金が減る・なくなるリスクを理解しておく
分配金は運用状況に応じて減額されたり、支払われなくなったりする可能性があります。分配金を生活費の一部として計算に組み込む場合は、金額が変動する、あるいはなくなる可能性も想定しておく必要があります。
9.3 全額を投じず、預金や個人向け国債などと組み合わせる
取り崩す資産のすべてを毎月分配型投資信託に投じるのではなく、普通預金や定期預金、値動きのない個人向け国債などと組み合わせて保有することが大切です。値動きのない資産を一定割合確保しておけば、投資信託の基準価額が下落する局面でも、当面の生活費に困ることを避けられます。
10. まとめ
毎月分配型投資信託は、現役世代が資産を積極的に増やしていくための方法としては、税制面(NISA対象外)や複利効果の観点から効率が良いとはいえません。一方で、年金生活のように資産を取り崩していく局面においては、預貯金だけで取り崩すよりも資産の寿命を延ばせる可能性がある選択肢の一つとして候補に挙がります。
ただし、投資信託である以上、想定した利回りが得られず資産の寿命を縮めてしまう可能性も当然あります。毎月分配型投資信託だけに頼るのではなく、複数のファンドや預貯金、個人向け国債などに資産を分散させておくことが、取り崩し期の資産運用では欠かせません。
【免責事項】
- 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
- 投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。
参考資料
和田 直子
