厚生年金で「月20万円以上」を受け取っている人は、全体の18.8%です。5人に1人に届きません。

この数字はよく紹介されるので、目にしたことがあるかもしれません。今回はその18.8%を、もう一段だけ開けてみます。

18.8%にあたるのは302万7673人です。そのうち男性が約294万人、女性が約9万人でした。同じ「20万円以上」でも、男女で32倍の開きがあります。

10月15日は木曜日で、年金の支給日にあたります。この日に入るのは2カ月分ですから、月20万円の方なら通帳には40万円が並ぶ計算です。その景色を見ている人が、どれくらいいるのかという話になります。

なお、公的年金の制度や平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

1. 公的年金は2階建て。まず土台の確認から

数字に入る前に、基本的な制度をわかりやすく解説します。

【1階部分】国民年金(基礎年金)の概要

  • 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人
  • 保険料:国民年金保険料は所得にかかわらず一律ですが、年度ごとに見直されます(2026年度は月額1万7920円)
  • 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受け取ることができます(2026年度は月額7万608円)

【2階部分】厚生年金の概要

  • 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
  • 保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変動します。ただし、保険料計算の基となる収入には上限が設けられています(※2)
  • 受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます

※1 特定事業所:1年のうち6カ月以上、適用事業所における厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く、共済組合員を含む)の総数が51人以上となる見込みの企業などを指します。

※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

この2階建てを、ひとりの人生の側から見てみます。1階には20歳から60歳になるまで全員が入りますが、2階に入っているかどうかは、そのときどう働いていたかで変わります。会社や役所に勤めているあいだは2階にも入り、独立して自分で商売を始めれば1階だけになり、配偶者の扶養に入れば保険料の負担なしで1階に残ります。

1階の側にも区分があって、自営業や学生、無職の方が第1号、勤め人が第2号、第2号に扶養されている配偶者が第3号です。ただ、この区分は一生ひとつではありません。就職すれば第1号から第2号へ、辞めれば第2号から第1号へ、扶養に入れば第3号へと移っていきます。多くの方が、人生のどこかで一度は移っているはずです。

ここで押さえておきたいのが、2階にいた期間だけが、あとで2階の額として積み上がるということです。同じ40年働いていても、そのうち何年を2階で過ごしたか、どれくらいの収入で保険料はいくら納めていたかで、受け取る額は変わります。金額の話に入る前に、この積み上がり方の違いを頭に置いておいてください。

2. 年金の平均月額「厚生年金と国民年金」月いくらがふつう?

まず全体の平均を置いておきます。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

令和6年度末時点で、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者は1608万5696人。内訳は男性1067万9944人、女性540万5752人で、男性が2倍近く多くなっています。

厚生年金は「人によって大きな差が生じる」というところが、この記事の入口になります。厚生年金の男女差は16万9967円と11万1413円で5万8554円。ところが国民年金では6万1595円と5万7582円で、差は4013円しかありません。

ここが今回の話の入口になります。1階だけを見ると男女差は4000円ほどしかないのに、1階と2階の合計では5万8554円まで開きます。差がついているのは2階部分、つまり厚生年金に加入して働いた期間と、その間の報酬です。この構造が、「月20万円以上」の内訳にそのまま出てきます。

厚生年金に加入するのは会社員や公務員など。人によっては育児や介護などで働き方をセーブしたり、また会社員だったけれどもフリーランスとなったりなど、現役時代の働き方が変わる方も。働き方に合わせて将来の年金額は変わるものです。

宮野 茉莉子
平均を見るときは、1階だけの額なのか、1階と2階の合計なのかを必ず確かめてください。5万9310円と15万289円では、同じ「年金の平均」でも意味がまるで違います。次から、20万円以上の層の中身に入ります。

3. 厚生年金「月20万円以上」は18.8%、302万7673人

本題に入ります。

同じ概況の「厚生年金保険(第1号)男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数」は、年金月額を1万円刻みで区切って人数を出しています。1万円未満から30万円以上まで、31の階級に分かれています。

この表から20万円以上の階級を足し上げると、302万7673人になりました。受給権者1608万5696人に対して18.8%です。

ほかの金額帯も並べておきます。10万円以上が81.0%、12万円以上が67.4%、15万円以上が49.8%、20万円以上が18.8%、25万円以上が2.3%、30万円以上が0.1%です。15万円のあたりでちょうど半分に割れて、そこから先は急に細くなっていきます。

ここで、この記事の入口に戻ります。10月15日に振り込まれるのは2カ月分です。平均の15万289円の方なら30万578円、月20万円の方なら40万円が1回で入る計算になります。通帳の桁だけを見ると多く感じますが、月あたりに直せば元の額です。また、基本的にはここから税金や社会保険料が天引きされます。

そして18.8%という数字は、ここまでは「全体の話」でした。男女に分けると、景色が変わります。

厚生年金「10万円以上」から「30万円以上」まで、男女の割合を並べる1/2

厚生年金「10万円以上」から「30万円以上」まで、男女の割合を並べる

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

20万円のところで、棒の長さがまったく違うことが分かります。