歳を重ねると医療費がかさみやすく、家計への影響を感じている人もいるのではないでしょうか。
また、入院や手術で医療費が高くなったとき、気になるのは「結局自分はいくら払うことになるの?」という点です。
「高額療養費制度」は1か月あたりの医療費の自己負担を限度額までに抑えられる制度ですが、2026年8月からは自己負担限度額が引き上げられています。
また、中には高額療養費制度の対象とならず、全額が自己負担となる費用もあります。
今回は、75歳以上の人が知っておきたい高額療養費の自己負担限度額や、払い戻しを受けるための申請方法について詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
1. 高額療養費制度を利用する人は「年間1280万人」
2026年8月、高額療養費制度の見直しが行われました。
今回の見直しは公的医療保険制度の持続可能性確保を目的としており、月単位の自己負担限度額が2026年8月・2027年8月の2段階に分けて引き上げられることになっています。
厚生労働省が示す推計によると、年に1回でも高額療養費に該当する人は、年間1280万人にのぼります。年齢別の内訳は、以下のとおりです。
【年に1回でも高額療養費に該当する人】
70歳未満:約410万人
70歳以上:約870万人
今後は限度額の引き上げによって、医療費負担が増える人もいます。
全国保険医団体連合会の「高額療養費の限度額引き上げに伴う患者影響調査」によると、限度額の引き上げによって考えられる生活への影響として、以下のような回答が示されています。
- 食費・衣料費などを削る:74.3%
- 趣味・交際費などを削る:73.6%
- 貯金を切り崩す:76.7%
- 家族が仕事を増やす:23.6%
- 車、家、土地などを手放す:16.5%
- 金銭的援助を受ける:13.6%
- 世帯分離や離婚:13.5%
- 生活保護の受給:13.1%
- 影響はない:2.3%
全体の7割を超える人が、限度額引き上げにより食費・交際費の削減や貯蓄の切り崩しなどの影響があると回答していました。
一方で、今回の見直しにより新たに年間の上限額が設けられたため、継続的に高額な医療費が発生する場合、これまでと比較して年間の医療費負担が軽減されるケースもあります。
まずは高額療養費制度がどのように変わるのかを正しく理解し、ご自身や家族の状況を踏まえたうえで、家計への影響を考えてみましょう。
次章では、2026年8月からの高額療養費の限度額について解説します。
2. 《70歳以上・収入別》2026年8月からの自己負担限度額はどうなる?
2026年8月からは、高額療養費制度における自己負担限度額が以下のように引き上げられます。
【70歳以上・収入別の限度額】
- 年収約1160万円〜:27万300円+1%(年間上限168万円)
- 年収約770万円〜1160万円:17万9100円+1%(年間上限111万円)
- 年収約370万円〜770万円:8万5800円+1%(年間上限53万円)
- 年収約156万円〜370万円:6万1500円(年間上限53万円)
- 非課税:2万5700円(年間上限29万円)
- 一定所得以下(年金収入80万円以下など):1万5700円(年間上限18万円)
一般的な所得区分である年収約156〜370万円に該当する場合、毎月の医療費は6万1500円・年間の医療費は53万円が上限です。
また、70歳以上かつ収入が一定以下の人には、外来特例が設けられています。これにより、月ごとの外来医療費の負担額も上限までに抑えられます。
- 年収約156〜370万円:2万2000円(年間上限21万6000円)
- 非課税:1万1000円(年間上限9万6000円)
- 一定所得以下:8000円
2027年8月からは、収入別にさらに細かく区分して上限額が設定される予定です。