4. 当選しても書類審査で失格になることも
都立霊園は、民間霊園や寺院墓地にはない資格要件があります。当選しても、その後の書類審査で要件を満たしていないことがわかり、失格となるケースもあるため、事前に確認しておく必要があります。
「令和8年度東京都立霊園使用者の募集 申込みのしおり」によると、書類審査は令和8年9月24日以降、対面で実施される予定です。
- 居住要件:一般・芝生・立体・長期収蔵施設は都内(八柱霊園は都内または松戸市)に5年以上継続して居住、合葬・樹林型合葬埋蔵施設は3年以上継続して居住。募集締切日時点までの住民票で証明する必要があり、一時的に都外へ住民票を移していた期間は通算されません。
- 祭祀の主宰者であることの証明:葬儀の喪主を務めた、法事の施主を務めた、死亡届や火葬許可申請を行った、のいずれかを証明できることが条件。親族というだけで代理申込みはできず、戸籍謄本や葬儀の領収書などの提出が求められます。
- 遺骨の状態に関する条件:小平霊園と八王子霊園の一般・芝生埋蔵施設の申込みには、「一度も埋蔵(葬)、収蔵したことがない遺骨」を所有していること(改葬遺骨でないこと)が必要と明記されています。八柱霊園や多磨霊園・青山霊園などの一般埋蔵施設には、この条件は明記されておらず、他のお墓からの改葬による申込みも可能です。
特に見落とされやすいのが遺骨の状態に関する条件です。
小平霊園・八王子霊園で生前に自分の一般墓を確保しておきたい場合や、すでに他の寺院・霊園に埋葬されている遺骨を改葬したい場合は、この2霊園の一般・芝生埋蔵施設には申込みができません。
生前に一般墓に近い形を確保したい場合は、生前申込みの枠がある合葬埋蔵施設・樹林型合葬埋蔵施設が選択肢になります。
5. 抽選なしで当選した「狙い目」区分も
都立霊園の公募は、毎年ほぼ同じサイクルで行われます。落選しても、来年度に向けて準備しておくことができます。
- 5月下旬:募集数・詳細の発表
- 6月中旬〜7月上旬:申込受付(インターネットまたは郵送、「申込みのしおり」配布)
- 8月中旬:抽選会の実施、結果の順次公開
- 8月下旬:申込者全員への結果通知(8月31日以降)
- 9月下旬〜:当選者への書類審査(9月24日以降、対面で実施)、使用料・管理料の納付、使用許可
今回の公募データの中には、募集数と受付数がほぼ同数で、抽選なしで全員が当選した区分もありました。倍率が低い・1倍程度だった区分の例は次のとおりです。
- 八王子霊園 HA01(芝生埋蔵施設):倍率0.7倍
- 小平霊園 KO01(一般埋蔵施設):倍率0.7倍
- 小平霊園 KO02(一般埋蔵施設):倍率0.7倍
- 八柱霊園 GA03(合葬・直接共同埋蔵、1体用):倍率1.0倍
- 八柱霊園 GA01(合葬・一定期間後共同埋蔵、1体用):倍率1.4倍
HA01・KO01・KO02・GA03は、いずれも受付数が募集数を下回ったため抽選が行われず、申込者全員が当選した区分です。
八王子霊園の芝生埋蔵施設は、使用料128万4000円(4.00㎡)と都内の一般墓としては低めの水準で、中央線沿線や多摩地域にアクセスしやすい方には検討しやすい選択肢です。
小平霊園の一般埋蔵施設(KO01・KO02)は、同じ霊園の合葬埋蔵施設が20倍を超える倍率だったのに対し、抽選なしで当選しています。使用料は340万〜500万円程度とやや高めですが、広い区画を長く使いたい場合の選択肢になります。
八柱霊園の合葬埋蔵施設のうち、納骨後すぐに共同埋蔵される「直接共同埋蔵」区分(GA03)は、遺骨1体あたり5万3000円と費用を抑えられ、承継者を必要としない点も含めて検討しやすい区分です。一定期間個別に保管するタイプ(GA01)は倍率1.4倍でした。
6. まとめにかえて|倍率だけでなく資格要件も見て選ぶ
都立霊園は使用料・管理料の面で有利な選択肢ですが、そのぶん人気の高い霊園・施設種別には申込みが集中し、高い倍率になっています。一方で、視野を広げて霊園や施設の種類を比較すると、抽選なしで確保できる区分も存在します。
来年度以降の申込みを検討する場合は、「霊園の人気」だけでなく、「遺骨の状態(未埋蔵か、生前か、改葬か)」「居住年数」「霊園ごとの倍率の差」を確認したうえで、申込み先を選ぶことをおすすめします。気になる方は、東京都公園協会の公式サイトで最新の募集情報を確認してみてください。
7. 筆者からのコメント
都立霊園の使用料は、倍率が高い区分ほど高くなるわけではありません。
今回最も倍率が高かった小平霊園の合葬埋蔵施設(生前申込区分)は、遺骨1体あたりの使用料が数万円台からと、一般埋蔵施設に比べてむしろ抑えられています。倍率は人気の指標であって、価格の指標ではないのです。これは、価格が需要に応じて動く民間霊園やオークションとは異なる、公的価格ならではの特徴と言えます。
「高倍率だから高い」「低倍率だから安い」と思い込まず、使用料・管理料は区分ごとに個別に確認することをおすすめします。抽選なしで当選できる区分の中にも、承継者を必要としない・費用を抑えられるといった、生前の終活として検討しやすい選択肢があります。人気の霊園名だけで選ばず、自分や家族の状況に合う条件・費用感の区分を、来年度以降の候補として書き出しておくとよいでしょう。
