AOKIホールディングス<8214>の株価は4日、前日から横ばいの1,748円で取引を終えました。
8月に権利確定日を迎えた優待銘柄が一巡し、個人投資家の関心が9月の権利確定銘柄へと移るなか、同社は毎年9月30日と3月31日を基準日とする株主優待を実施しており、複合カフェ・カラオケの快活CLUBを利用する向きからは人気の高い優待として知られています。
8月7日に発表した2027年3月期第1四半期の決算では、スーツ販売を手がけるファッション事業が営業赤字に転落する一方、カラオケ・複合カフェを展開するエンターテイメント事業が単独で稼ぎ頭という構図になっています。
1. 最新決算からひも解く企業の強み
同社が8月7日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月期)の決算は、売上高430億4,500万円(前年同期比1.6%減)、営業利益11億8,000万円(同49.9%減)、経常利益10億4,100万円(同54.6%減)、四半期純利益3億1,800万円(同75.6%減)と、いずれも大幅な減益となりました。物価上昇による消費者の節約志向の強まりを、同社は経営環境の一因として挙げています。
1.1 稼ぎ頭に浮上したエンターテイメント事業
事業別に見ると、今回の決算で最も稼いだのはエンターテイメント事業でした。売上高185億9,600万円(前年同期比2.0%増)、営業利益16億800万円(同3.9%増)を計上し、連結の営業利益11億8,000万円を単独の営業利益額で上回っています。
快活CLUBやコート・ダジュールといった複合カフェ・カラオケ店舗を展開する事業で、2026年3月期通期では鍵付完全個室店舗の拡大やフィットネス「FiT24」の会員数増加が業績を押し上げ、通期営業利益は前期比21.3%増の72億6,700万円と過去最高益を記録していました。この流れが2027年3月期に入っても続いている形です。
1.2 営業赤字に沈んだファッション事業
一方、スーツ販売を主力とするファッション事業は売上高213億3,300万円(前年同期比4.2%減)にとどまり、営業損益は前年同期の7億5,300万円の黒字から2億200万円の営業損失に転落しました。
紳士服業界は新生活需要が集中する1〜3月期(第4四半期)に利益が偏重しやすい季節性がありますが、コロナ禍の影響が大きかった2021年3月期・2022年3月期を除く直近3期(2023年3月期〜2026年3月期)の第1四半期はいずれも7億〜12億円台の営業黒字を確保しており、今回のような赤字への転落は近年では見られなかった動きです。
冠婚葬祭関連のアニヴェルセル・ブライダル事業も、営業損益が前年同期の5,700万円の赤字から3億100万円の赤字に拡大しました。
1.3 通期予想は据え置き、進捗率は前年より鈍化
こうした状況でも、同社は2027年3月期の通期業績予想を据え置いています。売上高2,000億円(前期比2.8%増)、営業利益180億円(同6.2%増)、経常利益175億円(同6.9%増)、純利益100億円(同5.7%増)、年間配当予想は1株90円(中間30円・期末60円)です。ただし通期営業利益予想に対する第1四半期の進捗率は6.6%にとどまり、前年同期の13.9%から鈍化しています。もっとも同社の業績は下半期、特に第4四半期に利益が集中する季節性があり、この進捗率も踏まえて見ていく必要があります。
なお、同社が2026年9月4日に発表した「統合レポート2026」でも、2027年3月期の売上高2,000億円・営業利益180億円という計画に変更はないとしています。同レポートでは、中期経営計画「RISING 2026」最終年度の先にある2033年度目標として、営業利益300億円・ROE10%以上・EPS180円以上を掲げています。