5. 直近20年のMLB球団売却。近年は大型化が進む

MLBでは過去20年間、複数の球団でオーナー交代が行われています。

主な売却事例を振り返ると、球団価値の上昇が分かります。

  • 2006年:ワシントン・ナショナルズ - レーナー家が4.5億ドルで買収
  • 2009年:シカゴ・カブス - リケッツ家が8.45億ドルで買収
  • 2010年:テキサス・レンジャーズ - チャック・グリーンバーグ氏らのグループが約5.7億ドルで買収
  • 2011年:ヒューストン・アストロズ - ジム・クレイン氏らのグループが6.8億ドルで買収。
  • 2012年:ロサンゼルス・ドジャース - グッゲンハイム・ベースボール・マネジメントが21.5億ドルで買収
  • 2012年:サンディエゴ・パドレス - ロン・ファウラー氏らのグループが8億ドルで買収
  • 2017年:マイアミ・マーリンズ - ブルース・シャーマン氏らのグループが12億ドルで買収
  • 2020年:ニューヨーク・メッツ - スティーブ・コーエン氏が率いるグループが約24億ドルで買収
  • 2024年:ボルティモア・オリオールズ - デービッド・ルーベンスタイン氏らのグループが17.25億ドルで買収
  • 2026年:サンディエゴ・パドレス - クワンザ・ジョーンズ氏とホセ・E・フェリシアーノ氏を中心とするグループへの支配持分移転がMLBに承認。球団価値は39億ドルと報道
  • 2026年:ロサンゼルス・エンゼルス - KSEが支配持分を取得することで合意。取引額は非公表で、球団評価額は40億ドルと報道

2000年代の取引は10億ドルを下回っていましたが、2012年のドジャース売却では21.5億ドル、2020年のメッツ売却では約24億ドルまで上昇しました。

そして2026年には、パドレスが39億ドル、エンゼルスが40億ドルと報じられ、その高騰ぶりが顕著になっています。

6. 球団価値を押し上げる「スポーツ+ビジネス」

MLB球団の価値が上昇している背景には、複数の収益源があります。

チケットやグッズ販売に加え、放映・配信権、スポンサー収入、球場での飲食・イベントなど、球団はさまざまな収益を生み出します。

また、球場は試合開催だけに使われる施設ではありません。コンサートやイベント、飲食、商業施設などと組み合わせることで、試合がない日にも収益を生み出せます。

この点はKSEの事業モデルとも重なります。

SoFi StadiumとHollywood Parkの開発を手掛けるKSEにとって、エンゼルスの買収は野球チームというコンテンツに加え、南カリフォルニアでのスポーツ・エンターテインメント事業を広げる機会にもなります。

球団の希少性も無視できません。MLBは30球団で構成されており、新規参入のハードルは高く、既存球団を取得すること自体に大きな価値があります。

そのため、近年の球団買収では現在の収益だけでなく、放映・配信、スポンサー、スタジアム活用、周辺開発などを含めた将来の成長余地も評価されていると考えられます。

7. スポーツトレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

今回のエンゼルス売却で注目したいのは、KSEが複数のプロスポーツチームとスタジアム、不動産開発を手掛けていることです。

エンゼルスでは今後、選手補強や育成だけでなく、エンゼル・スタジアムを含めた本拠地の価値向上も重要なテーマになります。

パドレスの39億ドルに続き、エンゼルスも40億ドルの評価額が報じられたことから、MLB球団の価値は一段と上昇しています。

今後は「強いチームを作る」だけでなく、球場や周辺地域を含めてスポーツコンテンツの価値を高められるかが、球団経営の重要な競争軸になりそうです。

参考資料

大蔵 大輔