米大リーグ(MLB)のロサンゼルス・エンゼルスが、2026年9月1日、球団売却に合意しました。新たなオーナーとなるのは、NFLのロサンゼルス・ラムズなどを保有するKroenke Sports & Entertainment(KSE)です。

売却額は公表されていませんが、米メディアではエンゼルスの評価額が40億ドルと報じられています。直近ではサンディエゴ・パドレスの球団価値が39億ドルと報じられ、MLB球団の売却額は過去最高を更新したばかりです。

この記事では、エンゼルス売却の詳細とKSEの事業内容を整理し、直近20年のMLB球団売却を振り返りながら、球団価値が上昇している背景を考えます。

ココがポイント
  • エンゼルスはKSEが支配持分を取得することで合意。取引完了は2027年第1四半期の予定
  • KSEは多数のスポーツチームを保有するスポーツ・エンターテインメント企業
  • 直近でパドレスも39億ドルで売却成立。MLB球団の価値は過去最高水準
大蔵 大輔
ロサンゼルス・エンゼルスといえば、現在はロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷翔平選手の古巣という印象が強いでしょう。現在は菊池雄星選手が所属しており、日本人にもなじみ深い球団です。

エンゼルスは2002年にディズニー傘下で初のワールドチャンピオンに輝き、翌年から現モノレ体制がスタートしました。

しばらくは地区優勝の常連として君臨し、チーム運営も順調でしたが、2010年代に連発した大型FAがことごとく失敗に終わり、チームの弱体化とそれに伴うファン離れが進行します。

そんななか、日本からやってきた大谷選手はまさに再生シナリオのコアとなる存在でした。2021年以降の大谷選手の活躍は説明するまでもありませんが、それでもエンゼルスの成績は上向かず、ドジャースへの流出を止めることもできませんでした。

モノレ氏はチームの編成に積極的に口を出すオーナーとして知られており、その一貫性のない介入が長期弱体化の大きな原因との声もあります。実際、球団売却の決定に対する選手やファンの受け止め方は非常にポジティブなようです。

1. エンゼルスの売却が決定。正式完了は2027年第1四半期

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@Angels

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2026年9月1日、KSEはモレノ家からエンゼルスの支配持分を取得することで最終合意したと発表しました。

取引はMLBの承認などを条件としており、正式な完了は2027年第1四半期を予定しています。

エンゼルスは2003年にアルテ・モレノ氏が買収しました。モレノ氏のオーナー時代には、2004、2005、2007、2008、2009、2014年にア・リーグ西地区を制覇しています。

一方、2015年を最後に勝ち越しから遠ざかっており、2026年シーズンも低迷しています。2022年にもモレノ氏は球団売却を検討していましたが、そのときは撤回され、実現しませんでした。

今回の取引によってKSEが支配持分を取得しますが、モレノ氏も少数持分を保有する見通しです。

2. 売却額は非公表。40億ドルの評価額との報道

KSEとエンゼルスは、今回の取引金額を公表していません。

一方、米メディア「Los Angeles Times」はエンゼルスの評価額を40億ドルと報じています。この金額を考えるうえで重要なのが、直前に過去最高額を更新したパドレスの売却です。

2026年8月、サンディエゴ・パドレスでは、クワンザ・ジョーンズ氏とホセ・E・フェリシアーノ氏を中心とするグループへの支配持分移転がMLBに承認されました。

球団価値は39億ドルと報じられており、それまでMLB球団売却の最高額だった2020年のニューヨーク・メッツの約24億ドルを大きく上回りました。

エンゼルスの40億ドルという評価額は、パドレスの39億ドルをさらに上回る水準となります。

3. 新オーナー「KSE」とは?

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出所:Kroenke Sports & Entertainment

出所:Kroenke Sports & Entertainment

KSEは、実業家のスタン・クローンキー氏が率いるスポーツ・エンターテインメント企業です。

NFLのロサンゼルス・ラムズ、NBAのデンバー・ナゲッツ、NHLのコロラド・アバランチ、MLSのコロラド・ラピッズ、NLLのコロラド・マンモスなどを保有し、イングランド・プレミアリーグのアーセナルFCにも出資しています。

KSEは単に「スポーツチームを買って運営する会社」ではなく、チーム、スタジアム、エンターテインメント、周辺不動産を一体で手掛ける事業者である点が特徴です。

ラムズの本拠地であるSoFi Stadiumや、周辺のHollywood Parkの開発もKSEが手掛けています。

今回のエンゼルス買収でも、チームの競技成績だけでなく、本拠地や周辺地域を含めた事業展開が注目されます。

4. エンゼル・スタジアムの今後にも注目

エンゼルスは現在、アナハイムのエンゼル・スタジアムを本拠地としています。

現行のリース契約は2032年末までで、延長オプションを行使した場合は最長で2038年まで利用できる可能性があります。

エンゼルスではこれまで、球場周辺の開発を含めた計画が進められてきましたが、2022年にはアナハイム市との土地取引が頓挫しました。

KSEはSoFi StadiumとHollywood Parkの開発を手掛けてきたため、今後は球場や周辺地域の活用についても、その経験が生かされる可能性があります。

ただし、現時点で新球場の建設などが決まったわけではありません。今後のアナハイム市との交渉や球団側の方針を見守る必要があります。